ルカとF組の教室
指導室から退室した私はとぼとぼと廊下を歩いて教室へ向かう。
「反省文10枚…」
書ける気がしないよー!
渚のこともあるしもうどこから手を付けたらいいのか。
質問したいこともいっぱいあるし案内とか必需品の買い物とか頭がめちゃめちゃになるよ!
そんなことを考えていると廊下の奥の方からこちらを呼ぶ声が聞こえた。
「ナギ!どこ行ってたんだよ!」
声の方を見るとよく知っている顔がいた。
「あ、ルカちゃん」
ルカ・ヴェール、暗い青髪ショートの女の子だ。
初等部からの友達で仲良くしてくれている。
私と違ってとても優秀だ。
「探したぞ。近くにいないから念話も届かないし。クラス教えあう約束してたろ?」
心配そうにこちらを見てくる。
「ごめんルカちゃん、ちょっと事情があって…。実はね、」
その時、先生の言葉が脳内をめぐる。
『お前の口を縫い付けるからなー!ひーっひっひっひっひぃ!』
ひぃっ!身震いが…!
あの先生…待って!あの先生何て名前!?
もうダメだ!どう説明してもいいかわからないし全部だめだよ!
「い、いろいろあって何も言えないんだよ。口止めされてるし…。あぁ!ごめんなさい先生!」
頭をぶんぶんと振る
「?まぁ会えたからいいんだけどさ。で?どうだった?」
「どう…って?」
「クラスだよ!見てないのか?私、B組だったぞ!」
「B!?すごいね!私は…」
「ん?」
「え、F…」
「…は?F!?おい、どうしたんだよナギ!振り分け試験で0点でも取らないとFなんて無理なんじゃ…」
「多分1問目から解答欄ずれちゃった…」
「マジかぁ、やっちゃったなぁ。あ、でも実技は!?ナギ体動かすの得意だっただろ?」
「実は試験直前に箒が埃まみれになって…。洗って受けたら水吸ってちゃんと飛べなかったんだよね」
「あちゃぁ…」
うおおん!私だってちゃんと受けてればDかEには入ってたんだよー!
「私、大丈夫かな…?不良みたいな人ばっかだったり…」
いきなり校舎裏に来いとか言われたらどうしよう!
「あー…まぁ行ってみたらわかるだろ。意外といい雰囲気かもしれないぞ!明るくいこうぜ、ナギ!」
「そ、そうだよね!私が考えすぎなだけだよね!」
そんなことを話していると廊下の少し離れたところでこちらを呼ぶ声が聞こえる。
「ルカー!もうすぐ始まるよ!早く教室入ろ!」
「お、悪い、呼ばれてる。まぁやばかったら相談乗るしさ。また飯でも食いに行こう!」
「うん!ありがとー!私、頑張ってくるね!」
そうしてルカはB組の教室へと入っていった。
ちょっと元気出てきたかも!
そうだよ、確かにF組はFail(落第)のFとか言われてるけど心無い人が言ってるだけだもんね!
クラスメイトがどんな人たちかは何も言われてない!
頑張って友達を作ることだけ考えよう!
そうして私は再び歩き出した。
「えーっと…F組はっと」
AからEまで横並びに教室が並んでいて見当たらない。
「あれ?どこだろう?」
この並びのはずなんだけど…。
キョロキョロと周りを見渡していると声を掛けられる。
「君!教室に入りなさい。そろそろ時間だぞ」
見ると眼鏡をかけた男の先生がいた。
「あ、すみません。F組がどこかわからなくて…」
「F?あぁ、だったらあの曲がり角を進んで反対側の奥だ」
指をさした先に折り返すように曲がるところがあった。
「あっちか。ありがとうございます!」
「急ぎなよ!」
そう言って男の先生は去っていった。
「うーん…変なところだね…」
そう思いつつ小走りで教室へと向かった。
「え…ここ?」
くすんだ壁、ボロボロの扉、F組の表記が剥げていてペンで書き直されている。
どちらかと言うと廃教室だ。
「う…入りづらい…」
う、ううん!大丈夫!教室はボロくてもメンバーは関係ないもんね!
そう、きっと快く迎え入れてくれるはず!
そう言い聞かせて思いっきり扉を開けた。
「こんにちは!!」
中には4人、全員がこちらに注目して思いっきりにらんでるように見える。
「…ひぃ!」
なに!?この雰囲気!
そしてその中の一人が明らかな敵意を向けながらこちらに向かってきた。
「あぁ?てめなに中だこら!俺より遅れてくるとはいい度胸じゃねぇか!」
「ご、ごめんなさいぃぃ…」
あーー!!私の高校生活終わったよー!!




