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事情聴取

背筋を伸ばした私たちをじっと見つめている。

う…こういうの苦手…。

「ナギ・ミスティア」

「は、はい!」

「改めて聞くがどうしてあのような場所にいた?」

「あ、えーっと…さっきも言いましたが考え事をしていて迷い込んでしまって…」

「どこから入ろうと立ち入り禁止と大きく書いてあったはずだ。それに鎖で道を封鎖してあったはずだが」

封鎖!?そんなの見てないよ!

「いえ、あの、多分気づかず横道から入ったのかと…」

「…」

あまり信用していない顔でこちらを見る。

「嘘をつくといいことはないぞ」

「う、嘘ではありません!」

ひぃぃ!!ほんとのことだけ言ってるけど私でも嘘って思うよ!

でもほんとなんです、信じてください!

「…本当に自白剤を入れてもよかったんだぞ?」

「すみません!3年前までおねしょしていました!」

私は全力の土下座をかました。

「は?なにを…」

「あ、いえ、最初に自白しておけばもう自白することがないので大丈夫かなと…」

「…」

や、やばい。なんかすごい目で見てくる。

「…なるほど、まぁいいだろう。嘘はつけないタイプのようだからな」

なんか納得された!

よかった!おとがめもなしっぽい!


「次に…お前だ」

渚の方を見ると少し目を見開いている。

大丈夫かな…。

「名前は何という?」

そしてその状態のまま渚は口を開く。

「え?3年前までおねしょしてたの?」

「今そこじゃないよ!」

赤面しながら答える。

やめて!私を攻撃しないで!

お願いだから先生の質問答えて。

「…おい」

「赤月渚です」

さすがにまずいと思ったのか素直に答える。

「ふむ、そうか。では赤月、お前はどうやってここに来た?覚えている直前までの場所や行動について教えろ」

「場所…?東京のマンション。寝ていたら…ここにいた」

「トーキョー?それに寝ていただと?自ら亀裂に入ったのではないのか?」

「…?」

渚は首をかしげる。

「知らない?完全な事故ということか?であればまずいな…」

ブツブツと独り言を言っている。

何がまずいんだろう?

「ではそのあとだ。ここに来た時亀裂を見ただろう。その奥に何かなかったか?わからなければ移動時でいいぞ」

「…亀裂?」

同様に首をかしげている。

「いや、さすがにそれを知らないことはないだろう。ゲートが開いていたはずだ。移動時も相当な…」


「あの!」

思わず手をあげた。

「私が知ってます!」

「…」

う、あまり期待していなさそうな顔だ。

「話せ」

よかった、話させてはくれるみたいだ。

「えーっと、何て言うか…」

大丈夫、説明だけだ。

ありのままを言ったらいい。

「迷っていたら、空がスババーン!って裂けたんです!中は真っ黒で何も見えなくて!気が付いたら私の背中に眠った渚が落ちてきました!あ、裂けてたのは『ジジッ』ていう感じの音が出てました。真っ黒なのはそのあとすぐになくなっていたので…」

「…」

「あ…」

やばい、自分で説明していてわけが分からない。

でも言ってることそのままなんです!

「…なるほど、大体わかった。よくやったぞナギ生徒」

おや、意外とあっさり。

満足そうだし私やっぱり説明うまいかも!


うかれていると先生は渚に目を向ける。

「赤月渚、お前はこれからどうする?」

「どう?」

「そうだな、お前を元の世界に返すのはかなり難しい。それこそ『天上の力』でもなければな」

「天井?」

上を見る。

「あー…かなり努力しなければならないという意味だ。必然的にここで暮らしていくかしかないが…赤月、魔法の力も知らないだろう?」

「はい」

「えっ?」

魔法を知らない?それってどういう…?

「であればアルカディアが保護する。ここに通い、しばらくこの世界のことを知るといい」

「ありがとうございます」

あれ!?なんだかよくわからない間に渚が入学することになった!?


「それと住む場所だな。寮に空きもないはずだから誰か募集を…」

「私、ナギとがいい」

「え!?私!?」

ジッとこちらを上目遣いで見てくる。

く…吸い込まれそうだ。

「ナギ生徒、住んでいる場所は?」

「寮で一人暮らしです。広いですし二人でも大丈夫ですけど…」

「ではそのように申請を出しておく」

「ナギ、よろしく」

「えぇ!?あ、うん、よろしく…?」

なんだかわからない間に握手をする。

全てがトントン拍子で進んでいく!

誰か助けて!


「では入学手続きを進める。ナギ生徒、夕方に赤月を職員室に取りに来い」

「取りに…?私、物じゃない」

「あー、迎えにだな、悪かったよ赤月」

「あの、手続きって私も一緒にいるのはダメなんですか?これから一緒に住むわけですし整理する時間がほしいというか…」

「午後からクラスの顔合わせだ。案内があっただろう?」

「あ!」

そうだった、忘れてた!

あのまま迷子になってたらすっぽかしてた!

よかった、見つけてくれて。

あぁ…でもこれ以上知らないところで何かが決まったら…。

不安そうな顔をしているとそれを察したのか諭すように見つめてくる。

「安心しろ、全てが一気に決まったがこれ以上驚くようなこともないはずだ。それに住む場所や案内もどうやって来たのか知っている人の方が赤月も安心するだろう。こちらからも頼みたい」

先生が頭を下げる。

…信じていいんですね?

「わかりました」

「あぁ、それと今回のことは門外不出とする。『亀裂』などと口走ったら口を縫うことになるので覚悟しろ」

え!?そんなシークレット情報だったの!?

「は、はひ…」

気をつけなきゃ…。


「はぁ…では失礼します…」

そうして立ち上がってドアへ向かおうとする。

「待て、忘れ物だぞ、ナギ生徒」

「え?」

忘れ物?そもそも何も持ってきてないような…。

振り返ると先生は持ち込んできた箱の中から紙の束を取り出した。


「立ち入り禁止区域に入った反省文10枚。期限は明日だからな」

え…。


「いーーーやーーー!!」


泣きながら原稿用紙を受け取った。

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