対抗祭種目
朝礼の後、F組全員が隊の契約を終えるとレオナ先生はせわしなく出ていき、通常授業へと戻った。
アルカディアの学校にいる間は学生であることが優先され、訓練は放課後に行うようだ。
そして昼休み。
F組メンバーで食堂へ行って食べている中、ナギはため息をつきながらパンを細かくちぎっていた。
「はぁ…」
「ナギ、ため息ついてると幸せが逃げる」
「あ…そうだよね。…はぁ」
注意するがため息は止まらず、目を伏せてパンをちぎり続けている。
「だー!!鬱陶しい!なにうじうじしてやがんだよ、めんどくせぇ!」
我慢の限界とばかりにテオが机をたたきながら立ち上がる。
「ひぅ!だってー!優勝なんて絶対無理だよぉ…」
「あ?優勝?」
「あぁ、対抗祭のことやね。まぁ確かにナギちゃんの言う通り優勝はかなり難しいやろなぁ」
「人数的にも…不利…」
ソウマとイリスが同意する。
「そうか?でもちょっと燃えるじゃねぇか。他のやつらに目にもの見せてやりてぇ」
「私も~できると思うよ~。私~頑張るよ~」
「そうだミーネ!お前の力を…いや、正直お前が一番不安だ」
「え~?テオ君ひどい~」
そうしてみんなは盛り上がっているが私は一人首をかしげていた。
「あの、みんな。対抗祭?ってどういうことするの?よくわからない」
「は?わからねぇって…いや、そうか」
「あー、確かにそうやんね。渚ちゃんは別の世界にいたんやし知らんよね」
ソウマはコホンと私の方に向く。
「じゃあ説明するで。最初に先生も言ってたように簡単に言うとスポーツ大会や。全部で4つの競技を魔法使って競い合っていくねん」
「4つの競技?」
「そうや。1つ目は箒レース。箒使って10キロ飛んで返ってくるタイムを競う競技」
「ボード型に乗ってる男が多いよな」
「魔法も…あり…。だから…速いだけじゃ…だめ…」
「へぇ」
私は箒初心者だから向かないかも…?
「2つ目、マジックファイト。二人協力型の魔法チャンバラ」
「俺、これ出てぇな!」
「楽しいよね~」
「…?どういうこと?」
「単純に盛り上がるんや。片方が頭の上に紙風船つけて、もう片方が攻めたり守ったりするねん。紙風船を潰されたらそのチームは脱落するんやけど攻めなポイントがもらえへんからその掛け合いが面白くてな」
「戦略が…試される…」
「そんで3つ目は障害物競走。これは簡単やね、障害物を突破してゴールまでたどり着くだけ。ただ、出たがる人はあんまりおらんなぁ」
「あぁ、これな…」
テオが意味深に答える。
「え、なに?どういうこと?」
「妨害…多い…」
「妨害?」
「外野からも妨害ができるし一位でもドロドロとかよくあんねん。一応制限はあんねんけど…」
「え…」
少し怖い。
「そして最後。全員参加のクラス団体戦『ブラストボール』」
「これも燃えるな」
「20個のボールをでできるだけ多く魔法だけで自分の陣地へ持って行って終了まで耐えるゲームや」
「気が付いたら~終わってる~」
「チームワーク…大事…」
「チームワーク…」
全ての競技を聞いてなんとなくわかったけどそもそも6人で勝てるのだろうか…?
「やっぱり無理だよこんなの!」
改めてナギが叫び出す。
「ネガティブナギ」
「そういや谷に落ちて俺と二人だった時も似た感じだったな」
「う~…だって今まで今までF組が優勝してるところなんて聞いたことある?」
「まぁ聞いたことあんのはA組かB組ばっかやなぁ」
「でしょ?だったら優勝なんて絶対…」
「ナギ」
それ以上は言わせないという勢いで私は口をはさむ。
「渚?」
「私との約束、忘れてない?」
「え…?あ…」
ハッとしたような顔をした後、青ざめてこちらを見る。
「約束~?」
「どういうことだよ?」
チラッとナギを見た後みんなに向きなおる。
「…私とナギ、二人で学校のトップを目指してる」
「う…」
「トップって…?天上の…力の…?」
こくりと頷く。
「はぁ…そらまた優勝より難しいんちゃうかな」
「つかあれ、勉強ができるやつがなるんじゃねぇのか?F組の俺らじゃ無理だろ」
首を横に振る。
「先生に聞いたけど勉強以外でもなれる。本来革新的な活躍をした人がなるものだって。今も同じなはず」
「…!!」
「マジかよ!」
みんなが驚いた目でこちらを見てくる。
「ほんと。それで今回優勝すれば少なくとも注目はされる。だから私、気合入ってた。なのに…」
ナギを見ると言葉が出ないかのように私を見る。
「う…ごめ…」
そしてそんな中、がたりとテオが立ち上がった。
「はっ!なるほど、面白くなってきたじゃねぇか。おいナギ!らしくねぇぞ!俺らで学校中沸かしてやろうぜ!」
「え?」
ソウマも同じく立ち上がった。
「ええやん、優勝したら気持ちええで」
「えっ、えっ?」
「私~協力する~」
「僕…も…」
ミーネ、イリスと立ち上がったので私もそれに続いた。
「ナギ、みんなもこう言ってる。私はあの約束、本気だったけどナギは違った?」
…
「ごめん、私ちょっと勘違いしてた。革新的ってほんとにすごいことをした人なんだよね」
「ナギ…」
「優勝なんて目じゃないくらいすごいことなんだよね。それなのに私うじうじしてて…」
「ナギ」
「暗い私は終わり!これも革新的なことだもん。約束は守らなきゃ!みんなも頑張ってくれるんならできるよね!」
「ナギ!」
ナギも勢いよく立ち上がる。
「そう!だからこれから、対抗祭の優勝目指して…」
「聞き捨てなりませんわね!」
突然の声にナギの言葉が中断される。
その発された主を見ると一人の女子生徒が立っていた。
髪は金髪、くるくるにまかれた髪はとても上品で、背をピンと伸ばし、自信満々な顔でこちらを見ていた。
「ごきげんよう、ナギ・ミスティアさん。いいえ、わたくしのライバル!」




