理不尽な拘束と決定
「納得いかない」
ガシャガシャと目の前にある邪魔なものをゆすり続ける。
「ナギちゃん、ちょっとは落ち着いたら?」
ソウマがくつろぎながら言うが手の動きは止めない。
「むー、でもこんなのおかしいよ」
そう、現在私たちは檻の中に放り込まれている。
ゆすり続けているのは鉄の檻だ。
渚が連れていかれたあと、私たちは縛られたまま回復魔法をかけられた。
全員がもう動けると判断されたとたん、ここで待てと言われて檻の中に放置。
それからかれこれ1時間はたっている。
「お腹空いたよ~」
お腹の音を鳴らしながらミーネがつぶやく。
「それ言わないでよぉ、思い出しちゃった…」
気づけばもう夕方だ。
お昼は食べてないしいろいろありすぎてヘロヘロだしでもう限界。
「つーかこんな場所に連れてくるってあのセンコーが裏切ったのか?呼んだのはあいつだろ?」
「うーん…でもアルカディアの学校まで送れって言ってたよ」
テオの疑問に私は答える。
「んなもん俺たちに聞かれないよう仲間に念話とかできんだろ。イリスにもそういう芸当をやってただろ」
「そう…かな?…ううん、そうは思えない。ちゃんとこっちを見て時間を作ってくれるって言ってくれたよ。服が血まみれになっても助けに来てくれたしこんなの想定外なんじゃないかな。それに私は先生を信じたい」
私の答えにみんなは目を丸くする。
「そうか…確かにそうだったな。疑っちまった」
「ま、そうやとしても疑問は残るなぁ。ここはどこなんやろ?助けに来てくれた人たちは?学校の人じゃないやろけど先生とも関係あるのは確かやろ?それに渚ちゃんだけ連れて行かれたけどどこ行ったんやろ?」
「わからないこと…たくさん…」
「どうするの~?」
まくしたてるように疑問を並べるソウマに何も答えられない。
「まぁ待つしかないやろな。先生を信じて」
「うー…」
また私はガシャガシャと鉄の檻をゆすり始めた。
さらにどれくらい時間がたったのか、兵士のような人が鍵を持って檻の前に来た。
「出ろ、準備が整った」
「え?」
なんの?
「これから尋問を行う」
そう言われて見張られながら檻から出させられ手招きされる。
発言を許されないような空気を感じつつついていくと、連れていかれた場所は大きな会議室のような部屋だった。
コの字型に並べられた机と椅子には何人もの人が座っていて、後ろには騎士のような恰好の人もいる。
そして部屋の中央では見知った人物が何かを叫んでいた。
「おかしいだろ!あいつらは関係ないはずだ!」
「カミラ先生…?」
つぶやくように言うと先生はこちらに気づいて私たちを見た。
「無事だったか…。悪い、私のミスだ。お前らはきちんと帰してやる」
コンコンと机をたたく音がする。
「勝手なことは困りますなカミラ隊長…いや、今は先生でしたな」
音の主は中央の奥に座っている厳格な顔の老人だった。
「ゲオルグ…会長」
「うむ」
ゲオルグと呼ばれた老人は表情を一切変えず先生を見続ける。
「…こいつらはうちの生徒だ、そんな真似は許されねぇしできねぇはずだ」
「何事も例外はある。今回君は失態を犯し、やつらに発見された。何を知られたかわからぬ以上、外部に晒さず事細かに聞くまでここに置いておくのが一番安全ではないかね?」
「そんなことできるか!こいつらは巻き込まれただけだ。すべてこっちがやるからあんたらは手を出すな!」
「しかしそのまま放置することを許すことはできぬ。外で何かしゃべる可能性があるのならいっそ軟禁しておくのが市民にとってもよいはずだ」
「っ!!巻き込まれた市民を守るのがお前らの仕事だろ!!」
「混乱を招かないようにするのも我々の仕事だ」
カミラ先生が怒鳴りつけ、ゲオルグ会長が淡々と答える。
一歩も引かない。
…これ、大丈夫かな?
私たち、とんでもない事態に巻き込まれたのかも。
誰もかれもがカミラ先生に対し厳しい目で見ている。
F組のみんなも何も言えず不安にしている。
ジッと待っているとゲオルグ会長がこちらを見た。
「あぁ失礼、聞きたいことがあるので君たちを呼んだのだが突然君たちの先生が乗り込んできてね。もういいだろうカミラ隊長、君の出る幕ではない。退出したまえ」
「ふざけんな!この流れでするわけねぇだろ!それにもう一つの件の件もまだ納得してねぇぞ!」
「もう一つ?…あぁ、赤月渚の件か」
その言葉にピクリと反応する。
「渚!?渚に何かあったの!?」
「ちょ…ナギちゃん!」
ソウマが止めるがお構いなしに振り切る。
「お願いします、教えてください!渚に何かあったんですか!?」
「君は…なるほど、報告にあった子か。彼女は無事だ。丁重に扱っている。だが…」
「やめろ!言うな!」
「赤月渚はこちらで預かることとなった」
「え…?」
どういう…。
「君たち彼女はもう関わり合いになることはない。今回の片が済んだら安心して元の学校生活を送りたまえ」




