久しぶりの登校
杖の買い物から翌日、教室についた私たちはクラスのみんなに囲まれていた。
「ドラゴンスレイヤーのお出ましやな。ずっと待っててんで!」
「えぇ!?スレイヤーって何!?」
「うん~。心配した~」
「ミーネちゃん、ありがとう」
「おい、んなことはどうでもいいからどうやって倒したか話を聞かせろ」
「ち、違うよ!倒したわけじゃ…」
「…」
「何でじっと見てくるの!?イリス君!」
一斉にこちらに構ってくるので目がまわる。
「みんな落ち着いて。ナギが処理落ちする。質問は一つずつ」
こうなることがわかっていたのか一歩下がっていた渚にグイっと腕を引っ張られる。
「あー、ごめんごめん、でも気になるやん。実際どうなん?戦ったんは事実なんやろ?」
「えと、なんて言ったらいいか…」
ソウマの問いに言葉が詰まる。
「その場の時間は稼いた。実際は先生が倒して助けてもらった。何が起こったかよくわからない」
「そ、そうそう!先生がすごかっただけなの!」
ありがとう渚、説明苦手だから助かった。
「先生?うちの担任のカミラってセンコーか?あのセンコーってそんな強えぇのか?」
テオが興味深げだ。
「えと、違うよ。倒したのはレオナ先生っていう先生で」
「あ~レオナ先生知ってる~。生徒指導の人~」
「知ってるんだミーネちゃん。生徒指導…レオナ先生って生徒指導の先生なの!?」
「そうだよ~。始業式で言ってた~」
そ、そうだっけ?知らなかった…。
「と、とにかく!レオナ先生が頑張ってくれたんだよ!私もその時は気絶してたし。もうこれ以上話せることはないから!」
「でも相対して時間は稼いだんやろ?さっき言ってたやん」
「うぐ…!」
強引に話を終わらせようとしたが許されなかった。
「私達がやったの、火に油。怒らせただけ」
「そう!渚の言う通りだよ!魔法とか使ったけど全然効かなくて!」
渚に援護だ!私達は助けてもらっただけなんだから!
「時間稼いだのは10割ナギのおかげ」
「そうそう、私のおかげ…ってえぇ!?全然違うよ!」
急な裏切りだ!
その時、ガラッと扉が開く音がした。
「おら、馬鹿ども。席につけ!」
「カミラ先生」
助かった…。
「ん?あぁ、2バカが謹慎明けか。お前らのせいでこっちは大変だったんだ。今日から厳しくいくから覚悟しておけ」
「ひぃ!」
「う…」
私たちに味方はいないんだ…。
全員が席へと戻っていくのを確認してカミラ先生は話し始める。
「揃ってるな、まずは連絡からだ。現在禁止区域の封鎖状況の見直しが行われている。どっかのバカが2度も迷い込んだらしく、より厳重に封鎖されるようになるらしい。生徒はそもそも近寄らないよう気をつけろ。特にそこの金髪と黒髪ロングのやつとかな」
「うぐ…」
視線が痛い!
「それと面倒なことに近々クラス対抗で何かスポーツイベントをやるとお達しがあった。だるいが何が行われてもいいよう心の準備をしておけ。期待してないが」
「せんせー!本音駄々洩れですよー」
「うるせぇ糸目訛り野郎」
ソウマの発言を一蹴する。
「連絡は以上だ。ではこの前やった実力テストを返す」
先生は教卓の上に採点済みの用紙を置いた。
「あ」
そう言えば初日にテストをやってたの忘れてた。
解いたときは簡単って思ったけど大丈夫かな?
いや大丈夫なはず!ダメでも点数はみんなにはわからないし。
「なおこのクラスのひどさを把握するために点数は公開情報とする」
「「「ええぇぇ!?」」」
「先生そらひどいわー」
「鬼、悪魔」
「人の心ねぇのかこのセンコー!」
「私~時間~足りなかった~」
「考え直してください!」
「…」
「ああ!うるせぇ!似たり寄ったりの点数なんだから変わんねぇよ!ほら、まずイリス・ルーンからだ。早く来い」
そう言って先生は答案用紙をひらひらとアピールする。
「4教科400満点中200点だ。お前基礎魔法学と数学だけ満点取りやがって…。他やる気なかっただろ」
「…」
イリスはいつも通り無言で採点済みの用紙を受け取った。
「次!ソウマ・フォグライト、185点。お前もうちょっとできたろ。手抜いてんじゃねぇよ」
「すんませーん」
ニコニコ顔でソウマは受け取る。
「次、ミーネ・エレノア。105点。30分あるならもうちょっと解けるだろう。最初の数問しか解かれてねぇじゃねぇか!」
「考えてたら~終わってた~」
少し困り顔でミーネも受け取る。
「次、テオ・ランプ。60点。バカが!お前バカ!ただのバカだよ!バーカ!」
「やめろ!バカバカ言うんじゃねぇよ!」
奪うようにテオは用紙を持って行った。
「最後!赤月渚と金髪女!」
「なんで二人同時?」
「名前くらい呼んでくださいよ!」
「うるせぇよ!どっちも0点だからだ!呼んでほしけりゃ解答用紙に名前くらい書け!初等部からやり直してこい!」
「あ…ああぁ!!書き忘れてた!?」
今回は解答欄ずれはなかったのに…私のバカぁ!
「私は文字読めないだけなのに…」
「以上だ。こんなに疲れた採点は初めてだ。二度とやりたくないので次はバカを治してくるように」
ため息をつきながら理不尽を言う。
少なくともすべての解答用紙に名前書き忘れた時点で私は何も言えない。
「よし、朝礼も終わったことだし授業に入る。今日は飛行訓練だ!各自着替えて校庭に集まるように。遅れたら置いて行くからな!」
そう言って先生は出ていった。




