↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
15/38

ロックドラゴン

「ギャオオォォォォ!!」

「あぅ…ぐ…」

突き抜ける音に頭がギンギンして体がこわばる。

体の平衡感覚が失って左右に引っ張られて振り回されている感じがする。

ドラゴンの背中って聞こえた。

早く飛び降りて逃げなきゃ…!

「――――!!」

ぼやけた視界に渚が見えて何かを叫んでいる。

わかってる!動きたいけど立っている向きがわからなくて!

「ナギ!暴れないで!落ちる!」

「はっ!」

お腹の方を見てみると服がドラゴンの背中のでっぱりに引っかかって宙ぶらりんになっている。

「そっか、これで…わわっ!」

「ギャウ!ギャオ!」

背中にいる私が気になるのかぐるりと回ったりして振り落とそうとしている。

ダメ!何もできない!

「く…こっち!見る!」

渚が何かをドラゴンに投げている。

「渚ダメ!早く逃げ…あっ!」

ビリッ!という音がして私を支えていた引っかかりが取れて自由落下した。

「うぐ!!かはっ…」

全身を岩に叩きつけられ、一瞬目の前が真っ白になる。

「ナギ!この…!」

カン、コンと音がする。

渚は石を投げて注意をそらそうとしている。

すぐに逃げなきゃ!

「立ち…上が…いっつ!」

足に液体が這うような違和感。

見ると血が流れていた。

「怪我!?あ…うぐ…立てない!」

どうにか体を動かそうとするが落ちた衝撃が思ったより強かったのか思うように動かせない。

「ド、ドラゴンは…?」

もうアクションがあってもよさそうなものだが何の反応もない。

見ると渚の方に顔を向けているのが見えた。

「あ…あぁ…」

渚はこちらをちらちらと見ながらあとずさりしている。

「渚!逃げて!」

「で、でも…!」

「ギャアオオォォォォ!!」

爪を立て、岩を砕くほどの攻撃が渚を襲った。

「っ!いや!」

ダイブするようにその一撃をよける。

「うぅ…!体!動いて!」

私は必死に上半身を起こす。

しかし立つことはできない。

「今…私ができること…できることは…!」

杖を取り出してありったけの魔力を込め始めた。

その時、ガコォン!という音がして渚が吹き飛ばされるのが見えた。

「ああ!が…!ぅ…」

壁に激突してそのまま倒れこんでいる。

「渚ぁ!!生きてる!?生きてるよね!」

呼びかけるがピクリとも動かない。

「うー!お願い早く!渚が死んじゃう!」

私は必死で杖に魔力を込める。

ドラゴンはもう渚の目の前だ。

半端な攻撃はだめだ。

それでいて絶対に当てなきゃ。

そうして可能な限りの魔力を杖に込め終わる。

「!!できた!これで!」

私は全力で唱えた。


「アスレクト・アース!!」


「グル!?」

ドラゴンがこちらを見る。

…しかし何も起こらない。

「な、なんで!?これじゃあ…」

青ざめながら杖を確認するが何か不具合が起きた様子もない。

ドラゴンは変わらずこちらを見ていて微動だにしない。

「何でこっちを…」

そう疑問に思ったとき、急に地面が揺れ始める。

「え?え?」

そしてふいに目の前が真っ暗になるのを感じた。

「きゃあ!」

ドシャア!!という音とともに足元から大量の泥の塊が噴出され、後方に倒れ込んだ。

「ギャウ…ガ…!」

全てを押し流すように泥の波がドラゴンに押し寄せる。

そしてその勢いは洞窟内の広場全体に広がっていき、近くにいた渚や術者であるナギ自身も巻き込まれていった。

「わぷっ…!」

「…」


…


静寂。

ドラゴンを包み込む泥の山、そして膝丈ほどの泥の海が出来上がる。

しばらくすると端の方でもぞもぞと動いて顔を出す者がいた。


「…ぷはぁ!はぁ…はぁ…全部泥だ。これ…私が?」

目の前の光景が信じられない。

使ったことのない上級土魔法を使ったのが悪かったんだろうか?

とにかくありったけの魔力を込めたんだけど…。

「とにかく出て…いたっ!」

そういえば足を怪我しているんだった。

「傷に…泥が入っちゃった」

いやそれより、

「渚を探さなきゃ…。私のせいでこんな…こんな!」

凄惨な状況を再確認する。

涙も出てきた。

「うぅ…渚ぁ。渚!!」

体を引きずりながら泥から這い出ると、

「なに?」

「うわぁ!!幽霊!!」

真後ろから渚の声がした。

「失敬な、幽霊じゃない」

「な、渚?本物だよね?あ、その前に体は無事!?渚壁に激突して…!それに私こんなことになるなんて…!」

「落ち着いてナギ。本物だし五体満足。泥とともにナギが流れてきてびっくりした。どんぶらこだった。私びっくり」

「どんぶら…?」

なんだかよくわからないけど無事らしい。

安心して脱力する。

「はぁ、よかった…」

「うん、よかった。それより早くここから出た方がいい。ナギ、怪我してる。傷に泥が入ったって言った」

「あ!そうだった!すぐに…痛!」

少し力を入れてみるが立つことは難しそうだ。

「肩、貸す」

渚が手を伸ばした時、


「ギャアオオォォォォ!!!」

ドゴォン!!という音とともにドラゴンが泥から這い出てきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。