洞窟の広場
--ナギside--
「…」
薄暗い洞窟を震えながら進む。
怖くはあるがさっきよりは速足になっている。
早く終わらせて渚の傷を手当てしなきゃ。
救急セットを持ってこなかったことが悔やまれる。
「もう少し…あっ!」
「…!」
最奥と思われる場所が見えてきた。
さらに速足でその場所へと向かっていく。
「ここが…」
そこはひときわ大きな広場のようで岩がゴロゴロと転がっている場所だった。
薄暗くて見にくいのもそうだが隅々まで調べるには岩を超えるなどをしなければならないためかなり大変そうだ。
「こんなところに零輪の花?なんてあるのかな…」
「どうだろう…。ん、ナギ、これ!」
「え?」
渚が指をさしている方を見ると、すぐそばにある足元の岩の隙間から飛び出すように花が咲いていた。
「零輪の花だ!こんな場所…待って!よく見たらあちこちにある!」
目を凝らして見ると転々と岩の隙間から何か生え出ているのが見える。
これが全てそうなら軽く100本以上は咲いているだろう。
「思ったよりいっぱい咲いてるね」
「うん、驚いた。10本くらいあればいいはず。手分けして…」
「待った、渚!」
早速前に出ようとしている渚を止める。
広場を探索しようとしているがそうはさせない。
「どうしたの?」
「いやどうしたのじゃないよ!渚、怪我しているんでしょ?こんな岩だらけのところに入らせるわけにはいかないよ」
「でも…」
「でもじゃない!これくらい私一人でできるんだから渚は休んでて!」
そう言って私は広場へ飛び出していった。
「よっ」
腰ほどの高さの岩を飛び越える。
パッと見えている花はほとんどが壁や天井に張り巡らされているので探すのは結構大変だ。
「全くもう…。渚って意外と頑固なんだから」
口では文句を言っているが内心かなり反省している。
こんな場所で魔力を流す練習なんてさせるべきではなかった。
渚は魔力を扱うのは初めてなんだから危険性とかを先生に聞いて安全を確保してからやるべきだったのだ。
だからこそ作業は私がやらなきゃいけない。
すぐに終わらせて帰ろう。
「あ、見つけた!一本目ー」
どの部分が必要なのかもわからないためできるだけ根っこから引き抜いていく。
それにしてもなんでここだけ岩がいっぱいあるんだろう?
それに一応明かりはあるけどこの場所だけまるで削り取られてた跡のような…。
ゴトン
後方で音がする。
「え?」
岩が動いた?
私が飛び越えたからかな?
でもそんな感じの音じゃなかったような。
「ナギー!どう?」
広場の手前にいるであろう渚の声が響く。
「まだ1本だけー!でもこの場所何か…あ、あれ?」
ガタガタと地面が揺れている。
「地震!?でもこんな変な揺れ…」
「ナギ―?どうしたの?何かあったー!?」
「渚ー!この場所、何か変で…!」
あ、ダメだ、とにかくどこかつかむ場所を…!
「っ…!」
そのとき、目が合った。
比喩でもなんでもなく岩に目が生えていて、その目がこちらをにらみつけている。
「グルルルルル…」
そんな音とともに生暖かい風が私を吹き抜けていくのを感じた。
「ひっ…きゃあ!」
急に地面が傾きだし、咄嗟にしがみつく。
「なに!?なに!?」
周りの岩が動き出し、どんどん自分の位置が高くなっていくのを感じる。
「ナギ!?これ…は…!」
「あ、あの、渚!私、どうなってる?」
横目で見えた渚に恐る恐る問いかける。
「それ…岩じゃない…。ドラゴンの背中!」
「うぇ…ええー!?」
「ギャアオオォォォォ!!!」
閉鎖された空間に鼓膜が破れそうなほどの轟音が鳴り響く。




