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転生公爵家令嬢の意地  作者: 三ツ井乃


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過去の精算

皆様方お疑いのようですわね。


手にした竜鱗扇を閉じたまま一振り、それで古臭く石造りの部屋が立派な大理石の床に

タペストリーの掛けられた城の広間そのままに美しい仕上がりの部屋に変わった。


「もう一つ、爆発の起こらなかったら理由は魔塔のあちこちに仕込まれた魔石に

魔力が取り込まれ吸収されたからに他なりません。

本来なら魔石に籠った魔力を引き出し使う事は出来ても、魔石の方に魔力送りを溜めて取っておく事は

出来ませんが、魔法使い殿の逆転の魔法陣のお陰で大気の魔力を取り込み

魔塔の維持管理に使えるようにしてあったそうです。

そして黒曜石の魔力は魔法使い殿のもの、元々親和性があったのと魔石も魔力が減っていて

取り込む魔力を求めていたのも良かったのでしょう。

本来の魔塔は石積みが剥き出しの無骨な壁や床を魔力で覆い、強度と装飾性を備えた美しい建物だったというのに

今では下地丸出しの無残な姿だと嘆いておられましたわ」


これが建国の魔法使いの権能。


建物の本来の姿を見せつけたのは、実際に建国の勇者一行に会ったと言ったところで

証拠を見せろと詰られるだけで話が進まないと、先に魔法使い殿から譲られた魔力量と

技術を叩き込んで話を聞けるように場の空気を変えたかったのよねぇ。


「さて、皆様方」


何時も手にした竜骨扇では無く竜鱗扇を開き、神域に招かれた後の事をお話させて頂きます。


「マトラ神様の御神域に招かれて申し上げましたのは彼等に対する褒賞と補償について。

昔の事なれど私も前王朝最後の王の末裔の一人ですから責任の取れる立場ではありましょう」


王家の始まりは前王朝ユナンセライス家の王弟リザルトが初代王として立ち、連綿と続いて王妹の母

グロリアーナの娘の私にも一応王家の血が流れている関係者子孫の一人として、話し合ってもと

折角の神域でしたのでマトラ神様にお願い申し上げて彼等一行の皆様とお話しする機会を頂きました。

最初、ユナンセライス王家とキリアラナ初代王妃のやらかした詐欺行為と誘拐事件に

日本世界側の神々の反発が強く、今更何だと彼等へのコンタクトは中々許されませんでしたが

私が元日本人である事、マトラ神様や此方側の神様の加護を頂いている事、魔法使い殿の記憶を得て

責任と賠償と支払われていない褒賞の話をさせて欲しい事を訴えて何とか彼等を

マトラ神様の御神域にお呼びする事が許されたのでした。


と言っても私は着の身着のまま神域に引っ張り込まれた状態でしたので、後程私の宮殿にある

持参金及び宝飾品財産等を保管してある宝物庫から確実にお渡し出来るように

神殿に託して神界経由で日本の一般庶民の家に置いあってもおかしくない品に変換して

彼等の手に渡るようにと致しました。


そして肌身離さず身に付けていたドラゴンの心臓、万能薬の原料の一つとしても価値のあるそれは

母の病気治療に用いられて半分しか残っていなかった物を削り出して磨き、丸く加工した珠を連ねたネックレス。

竜の鱗を磨き出して飾りにしたイヤリングと髪飾り、常に手にしている竜骨扇。

両手には竜骨に宝石をあしらったバングルが何本か重ね付けしている。

ドレスを膨らませるクリノリンの骨にはドラゴンの髭、竜皮の靴、そして一番貴重なドラゴンの逆鱗のブローチ。


それ等は日本はもとより地球上のどの地域でも得る事の叶わない異界の物質。

そしてそのドラゴン素材は魔導との相性がすこぶる良い、だからこそ補償の品になり得ると差し出した。


「聖女さんを除いた彼等をお呼び立てしまして、あの日我が身に身に付けていた

ドラゴン素材の装飾品一切と金貨4000枚にて補償に合意頂けました事をご報告します」


前日の集まりで着用していた、婚儀の際に一際目を引いたドラゴンの逆鱗のブローチが無い事に

陛下から御下問が御座いましたので、当然それも差し出したとお答えしました。


陛下はショックを受けたようなお顔をされておられましたが仕方御座いませんでしょう。

特に逆鱗は王家としても喉から手が出る程欲していた、稀少な素材でもありましたからね。

キリアラナ花の蜜と花粉と同量の逆鱗の粉末を練った薬は、不老薬として珍重されると

魔法使い殿の知識から導き出されて納得しました。


通りで結婚式の際、婚礼衣装のメインの装飾品として身に付けさせられた訳です。

お父様の親心というのも感じましたが、一番は王家が逆鱗を欲していたというのも大きいでしょう。

不老薬という名前から、永遠に美貌を保持したいと時の王妃が求めるだとか

王が何時までも若く逞しい肉体と溢れる程の性欲を周りに侍る美姫にぶつける為にと

用いられそうなのですけど、そのような下卑で下らない用途に用いるには生薬が貴重過ぎて

とてもじゃ無いけれどそんな馬鹿には提供なぞされないのよ。


実際に用いられた例として、英邁なる時の王が老い衰えて判断力に不安出てきた時に

当時の議会の了解を得て服用させたという記録があったと、魔塔の記憶にあったわ。

当時のとても優れた王には一つだけ欠点というか泣き所として、王妃との間に次代を得られたのが

とても遅かったというのがあるわ。

倫理的にも真っ当な感覚を持っていたらしく、側妃や愛妾という存在を快く思っておらず

政略ありきで娶った王妃を唯一として大切に為されたのは美談ではあるけれど

漸く生まれた王子がまだ3才の頃に、認知機能の衰えと共に半身麻痺にも見舞われた王に

高齢出産の産褥から体調を回復しきれず病床にあった王妃の懇願と、後継の不安から議会が

王家の秘宝のドラゴンの逆鱗粉末を用いた不老薬の使用を許可し服用に至ったそう。

そして王子の成人まで、王は往時の判断力と人徳で国家と玉座を守り切ったとの事。


それくらい逆鱗の存在は特別視されているそうなのよね。


でも別にドラゴン素材はドラゴンと対峙し屠った者の取り分が不文律。

私もドラゴン素材を用いた装飾品なり持参した物は私の財産として、婚家に納める義務は無いのですし

もし国庫に納めるとしたら私が王妃になって後の死後の遺産整理まで待たねばならないでしょう。


取り敢えず私の私財で補償関連の一切を済ませ、改めて謝罪をして受け入れられた事。

和解の証として、魔法使い殿の建てられた魔塔の権限の移譲と

キリアラナ王宮及び王都、そして王族を破壊する目的で渡した魔力と記憶の一切を

改めてきちんとした譲渡の儀式を経て自らの物にして戻って来たのだと説明致しました。


その証拠に魔塔は往時の堅牢さと華やかさを取り戻し、私の魂と肉体が膨大な魔力と記憶に

耐えられる物に変貌しているのは一目で判ろうというもの。

そして、勇者一行の遺産であり恩恵であり呪いと成り果てたキリアラナ花を

魔力や神聖力に依らない生薬として、王家の財産となるよう聖女の祈り云々を解放すると宣言したのだった。

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― 新着の感想 ―
どこまでもどこまでも、異世界の権力者たちの根っこの傲慢な物欲主義がてんせいしゃかたちと相容れなさ過ぎてしんどいですね。 なかなかお嬢さま、彼らにつきあってあげてますが、いつかブチギレて首根っこ掴み圧し…
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