0682話 ジャンベルデッドの町でのクエスト その28
部屋の最奥……といっても大した広さではないその部屋の一番奥に拘束された男がいた。
激しくもがいているその男は何かの声をあげているが猿轡をされているためか聞き取ることはできない。
「……」
ラウルはその男の姿をじっと見る。
目隠しに加え、猿轡をされているためその顔のすべてを伺うことはできない。
だが、質の良い、綺麗な貴族服に身を包んでいるその男。
「この方がジャンベルデットの領主様ということでよろしいですか?」
「ええ、そのとおりです、ラウル・ゴルベール公爵様」
ラウルの問いに恭しく頭を下げて答えるカルフロン。
「こいつは一体どういう状況だ」
「縛られてるねー」
アーガスとクレイジーバーニィも拘束された男を見ている。
「質問をいいかい」
ラウルの問いに何も答えないカルフロン。
だが、その目はじっとラウルを見つめていた。
「……ではお尋ねします」
ラウルは答えないカルフロンの様子を肯定と捉えて問いかける。
「領主様のお名前を教えて下さい」
「……オルレッジ・ジャンベルデット子爵様でございます」
「オルレッジ卿はなぜ拘束されているのですか?」
「その必要があるためです」
「その必要とは?」
「……少し落ち着きをなくされておりまして……使用人だけではなくご家族にも危害を加えそうになりましたので私のほうで対処をさせていただきました」
そう言いながらカルフロンはオルレッジの目隠しを取る。
「……なるほど」
「こいつは……」
「真っ赤だねー」
目隠しがなくなり眼の前にいるラウルたちを視界に収めたオルレッジは完全な敵意を3人に向けていた。
その姿は『悪魔憑依』されたものと同じだった。
「こちらの現象についてはあなた方もお詳しいのでしょう……そう……『悪魔憑依』ですよ」
「なぜ領主ともあろうものが『悪魔憑依』になど?」
「なぜだと思いますか?」
カルフロンはラウルに問いかける。
「……理由は不明ということですか」
「……少なくとも理由は分かりません、彼は領主として可もなく不可もなく、これまで特に大したトラブルも起こさずに治めてきました」
「私達の仲間が解決した町で起こっていたトラブルも、ここ最近にまとまって発生したものでしたね」
「ええ、もちろん些細なものはありましたが、それまでは本当に大きなトラブルもありませんでした」
話している間もオルレッジは激しく暴れている。
「おいおい、こんなに暴れているが大丈夫なのか」
アーガスがオルレッジを見て叫ぶ。
オルレッジは眼の前に自分の衝動をぶつける対象を見つけたからか先程よりも激しく暴れていた。
暴れるたびに四肢を拘束している鎖がジャラジャラと音を立てる。
「鎖が千切れそうだよー」
クレイジーバーニィもオルレッジに負けないほどの悲鳴を上げる。
だが、その言葉に反して領主を拘束している鎖は固くオルレッジを捕らえたままだった。
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