0534話 門前の戦い その6
片足で軽く跳ねながら俺を睨みつける短剣使い。
骨折したため跳ねておかないと体重がかかりすぎて、素早く動けないからだろう。
俺は刀を構えるものの、毒が回ってきたのか視界は更にぼやけてきており、足の震えも大きくなってきている。
腰を落とし、身体の軸に力を込めて刀を構える。
短剣使いの身体がぼんやりと縮まったように映る。
おそらく腰を屈めたのだろう。
だとすると次に来るのは……
キインと刀から音が響く。
続けて襲ってくる連続した斬撃。
相手は片足。
だとすると攻撃は短剣での斬撃に戻るはず。
と、考えるのは早計だ。
俺がそうしたように蹴りによる攻撃があることも考慮しておく必要がある。
短剣使いの動きが変わる。
ふっと宙に浮くような動き。続けてくるのは……
膝だ。
短剣使いは骨折した側の膝を俺にぶつけてくる。
膝の攻撃を受け止めるのはマズイ。
ガードした側もダメージが大きくなることがあるからだ。
この攻撃は躱す。
俺は身体を反らせて短剣使いの膝蹴りをギリギリのところで躱す。
「なっ!」
動きを読んでいるような俺の回避行動に驚いたのか短剣使いが思わず声を上げる。
この瞬間、短剣での斬撃も止まる。
この好機を逃してはならない。
素早く刀を鞘に戻すと居合の構えを取る。
「龍星剣術奥義:一閃」
横薙ぎに走る一撃。
短剣使いの胴体はこの一撃で真っ二つになっていた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ぐっ……」
所々、火傷をしてしまったようで身体を動かす度に痛みが走る。
「アイタタタ……」
だが、火球の直撃を受けて火傷程度で済んで良かったとも言える。
その一瞬で骨まで焼かれてしまっていてもおかしくはないからだ。
これは相手の魔法の威力が思ったほど強くなかったためとも言える。
そして強くなかったのには理由があった。
「……直撃を受けてその程度のダメージだと……」
「魔法障壁でも発動してるのか?」
二人の魔法使いがイヴの状態に疑問の声をあげる。
「はん、魔法障壁なんてハイカラなもん、あたいには使えないよ」
魔法使いたちの疑問に答えるイヴ。
だが、なぜ魔法のダメージを軽減できたのかについての答えは言わない。
「ふん、まさか二人いたとはね……だが、絡繰りが分かればなんてことないさね」
イヴが構えながら言う。
「効きが弱いなら同時放てばいいことだ」
「合わせるぞ」
魔法使いたちが火球の魔法を同時に放つ。
「「火属性魔法:火球≪ファイアボール≫」」
二方向からイヴに迫る火球の魔法。
だが、イヴは動かない。
「諦めたか!」
「燃えつきろ!」
動かないイヴに火球が魔法がぶつかる。
燃え上がる火に包まれるイヴ。
「……問題ないさね」
火に包まれながらニヤリと笑うイヴ。
「なっ!」
「なぜ、魔法が効かない!」
「……ふん」
イヴは地を蹴り、一人の魔法使いの懐に飛び込む。
「魔法が効かない理由……それは!」
低い体勢からのアッパーカットを魔法使いの顎に直撃させるイヴ。
「い、いつのまに!」
攻撃を喰らった魔法使いが意識を失い倒れる様を見て、もうひとりの魔法使いが思わず声をあげる。
その隙きに再び懐に入り込むイヴ。
「……もっと強い魔法で守られているからだよ!」
「し、しまっ……!」
再び低い姿勢を取ると魔法使いのボディに強烈な一撃を見舞う。
「がはっ……」
声にならない声をあげて魔法使いが前のめりに倒れる。
「片付いたね」
パンパンと手を叩きながらそう呟くイヴ。
「助かったよ、さんきゅー」
近くの物陰にそう声をかける。
「咄嗟にだったけど……うまくいくものね」
そこから姿をみせたのはステフだ。
「どうやったんだい?」
「あなたに火の魔法が当たりそうなタイミングにあわせて直前に氷魔法を発動させただけよ」
「道理で一瞬、寒かったわけだ」
「最初はギリギリ過ぎたから防ぎきれなかったわ、ごめんなさいね」
「いや、それでも助かったのは事実さね」
ステフの氷魔法で火魔法の熱を抑えることで結果的に火魔法のダメージを抑えた。
「まぁ、実践でどうこうするにはまだまだ研究が必要そうだけど」
「なんだい、あたいは実験台かね?」
「そうともいえるかもね、あなた丈夫そうだし」
「なんだい、まったく……礼を言って損したね」
そう言いながら周囲の状況を確認するイヴ。
ベル、リュウが短剣使いを倒しているのが見えた。
あとは……
リサの姿を探して視線を動かくイヴ。
そんなイヴの目に映ったのは倒れているリサの姿だった。
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