85 自☆滅
ファーノと一緒に食事をすることはあっても、二人だけで食事をすることは実はあまり多くない。ミリーもファーノもそれぞれ一人でいるとき、そして偶然二人が顔を合わせたときに二人きりで一緒に食事をすることがあるかもしれない、と言う感じだ。なのでミリーとしても久方ぶりの二人での食事を楽しもうと考えていた。
ミリーもファーノもゲイルやネルカと一緒に食事をするときは校舎の学生食堂で昼食をとるが、一人で昼食をとるときは平民寮でとっていた。その癖もあって二人は自然と寮の方へと足を運んでいた。
平日の昼時は校舎の食堂に殆どの生徒達が足を向けるが、混雑を避けて寮の食堂に寄る生徒も少なくない。寮の食堂もそれなりに人が多く、半数以上のテーブルが埋まっていた。
それでもやはり空席はあるので、校舎の方に戻ることはせず、配膳列に並んで空いてる席に座る。
食事をとり始めてから、まずファーノが口を開く。
「ネルカ様の調子が戻られたようでなによりですね。流石はゲイル様といったところでしょうか?声をかけに行かれたときは大丈夫かなと思っちゃいましたが」
「ええ。なんというか……。ある意味でネルカ様の扱いに慣れているというか……」
「妬いちゃいます?」
「…………」
「返答に悩みましたね?」
「う、うるさいです……」
ファーノからの思いがけないからかいに反応が遅れ、さらにからかわれてしまった。ミリー自身恥ずかしさで耳が若干赤い。
「前々から感じていましたが、ネルカ様とゲイル様、結構距離が近いですよねー。…………グルアーノ様がいらっしゃいますが、大丈夫なのでしょうか?」
「…………大丈夫なのでしょうか?」
ファーノもミリーも思わず箸を止め、顔を見合わせてしまう。何故か気まずさを感じ、沈黙が続いてしまった。
「ま、まあ……。別に色恋沙汰までには発展しないとは思いますが……」
「…………それって願望?」
「…………………………」
再び沈黙が支配した。ファーノも余計なこと言わなきゃよかったかな、と後悔している様子。ミリーはというと……。
(そもそもゲイル様が好む女性ってどんな人なんだろ?学校に行ったことがないから、普段顔をあわせてた女性って、アシュリー様とか私とか屋敷の使用人くらいだよね?あと、屋敷に訪れたことのある人……。でも、そんな人と私が顔合わせる機会なんてなかったし、強いて言えばアシュリー様の口から出てくるアイン様と面識があるのかなくらい?でも、アイン様が学校に通ってからは会ってないみたいだよね?そもそも初恋とかあるのかな?…………そもそも女の人に興味あるのかな?…………私のこと女として、…………。見てないんだろーなー…………………………………………)
真剣に考え事をして真剣に落ち込んだ。
その様子にファーノが心配そうに「大丈夫?」と尋ねる。
「大丈夫です。勝手に考え事をして勝手に自滅しただけですから…………」
「ほ、程々にね?」
ファーノは苦笑いを浮かべるしかなかった……。




