表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/119

72 昼食会1

授業が始まってから8週目に入った。ゲイルたちが入学してからいよいよ2ヶ月が経とうとしている。


ミリーのプライドの為、いまだ仲直りに至っていないゲイルとミリーは休養日明け2日目 (火曜日) も接点を持つことが無かった。特に午前のギルバートの剣術の授業中、ゲイルは弓術担当のエレナから弓の手ほどきを教わっている為、一緒に顔を合わせられない。


ミリーは渋々と言った具合に訓練服から制服へと着替え、一人で食堂へと向かっていった。


そんなに渋々になるなら素直に仲直りすればいいものを……………………。


さて、Dクラスでゲイルが暴れ、ミリーへの迫害に釘を刺してからおよそ一月(ひとつき)、剣術決闘で青色ワンピースをお披露目してから10日、白のブラウスにピンクのスカートを着て見せてから2日が過ぎた。


奴隷少女であるにも拘わらず、徐々にそのような目で見られることが減りつつあり、さらに着る服が可愛らしいと(もっぱ)ら噂されるミリー。これまではゲイルが近くにいた為、男子諸君は遠慮がちに遠巻きで彼女を見ていたが、ここ暫くはゲイルとは口をきいていないとの噂が立っている。その上、今日はゲイルに変わっていつもべったりだったネルカの姿も見えない。


(たくま)しき男子諸君はこの隙に乗じて、ミリーに話しかけた。


「ミリーさん!一人なら一緒にどう!?」


「てめえ!抜け駆けか!ミリーちゃん俺とはどうよ!」


「こいつらほっといて俺と行こうよ?」


その数およそ7人。これまで男子生徒とじっくりと会話することが無かったミリーは当然困惑する。ネルカたち他の女子生徒も近くに居ないため、助け舟を呼べない。


え、とか、あ、とか、うぅ、とか口を詰まらせながら「これくらいの人数ならテーブルは取れるでしょうか?」と呟くと、7人の男子生徒はガッツポーズを決めミリーと一緒に食堂へと向かった。ミリーを連行したと言うのが妥当かもしれないが……。


食堂で男子7人と女子1人の組み合わせは非常に目立つ。その女の子が噂の奴隷の女の子ミリーとなればなおのこと。8人掛けのテーブルに座るミリーたち8人は一際目立ち、食堂内ではヒソヒソと会話がされていた。


ちなみに男子全員Bクラスである。


「…………そちらのお三方は同じクラスの方でしたか?授業でお見かけした記憶が無いのですが…………」


「え?俺3年」


「俺たちは2年」


ちゃっかり上級生が混じっていた。


「なんで上級生が居んだよ」


「居ちゃいけないなんて決まりないし?」


男子諸君の間で内ゲバが始まった。


「喧嘩はよろしくないですよ?」とミリーが言うと全員「はーい」と元気に素直に返事をする。現金な奴らだ。


「ミリーちゃんってフォアワード侯爵家に仕えてるんだろ?どれくらい居るの?」


2年生のショーイの質問に「生まれてからずっとです」と返ってくる。


「生まれてからって……。買われたわけじゃないんだ…………」


「ええ、そうですよ?ご存じないのですか?貴族の方々の間では……、その……、生まれながらの専属奴隷として知られていると思ったのですが……」


貴族の間では変わり者のフォアワード侯爵家は奴隷一族を雇っている、奴隷なので雇っているではなく所有しているが厳密な表現だが、そういう話はよく知られている話だったが……。


「俺平民だし……」


「俺も俺も!」


「え?貴族の間だとミリーちゃん有名人なの!?」と7人全員が平民だというのである。学年は違うけれど。


「ということは皆さんご友人同士……?」


「え?俺、後輩なんて一人もいないよ?」と2年生のショーイ。


「僕はこの人の後輩だねぇ」という2年生のルド=バルは3年生のユーディスを指差す。


「俺はリードとは同郷だけど……」とリードと顔を見合わせるハーバー。


「ワイ将、ムザックと同室」というエブラ。そのムザックは先ほどから口を開かず、首を使っての相槌しか打たない。


「あれ?では皆さんどうして同じテーブルに座るのですか……?」と困惑気味に尋ねるミリー。交友関係が狭すぎるために今起きている状況を全く飲み込めていないご様子だ。


「え?だってミリーちゃんとお話ししたいから。そしたら同じこと考えてる奴と同席することになった」とさっきからミリーちゃん呼びをやめないショーイ。


全員がコクリと頷くのを見て、友人同士でなくても相席することがあるのかと、戸惑う。


「そういえば……。ネルカ様とは交友関係が無かったころからもご一緒してましたし…………」とぶつぶつ呟くミリー。こういうことに真面目に考えちゃうタイプかぁと思い、男どもは内心ほっこりしていた。


それから、同級生を含めても、初めての会話ということもあるので、男子生徒たちにも実家のことだのなんだのを自己紹介してもらった。1年生についてはオリエンテーションの際に自己紹介があり、ミリーも実は覚えているのだが、上級生たちは当然いなかったので、彼らのために自己紹介してもらった。


その後も男子諸君から質問の槍を浴びせられ、無表情ながらも必死にまじめに答えるミリー。その姿に食堂内全員もほっこりとした様子だった。


遠巻きに見ていたネルカは奥歯を噛み締めていたが……………………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ