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68 お友達

ゲイルの休養日はモルゼオから渡された資料の読破で潰れた。自室でカロゥと共に翻訳に勤しんでいる。ゲッソリとした顔付きで。




そんな最中、ミリーはと言うとゲイルがそんなことになっているとは露にも知らず、ネルカと一緒に休日を満喫していた。


「お!珍しい!ピンクのスカートが置いてある!ミリーちゃん着てみてよ!」


まあ、満喫してるのはどちらかと言うとネルカなのだが。


「いえ。私が試着しますとお店の方に迷惑がかかりますから」


「おばあちゃんいいかな?」


ミリーの返答にすかさず店主のおばあちゃんに尋ねる。おばあちゃんはミリーの奴隷の首輪に目が入りつつも、笑みを崩さず「いいよ」と言った。


ネルカはすかさずミリーを試着室に引っ張り、すぐさま服を脱がせる。


「お、お待ちください!自分で着替えますから!引っ張らなっ、ひゃん!」


店内にミリーの可愛らしい悲鳴が響き渡った。しばらくするとネルカは試着室から現れる。


「おばあちゃん?どう思う?」


「…………そうだねえ。白いブラウスでも着せればもっと似合うんじゃないかい?」


店主のおばあちゃんはそう言いながらミリーの体格にあいそうなブラウスをネルカに渡す。するとネルカは目をキラリと輝かせ、再び試着室へと飛び込む。


「ふぁんっ!だから自分で!いや!見ないで!」


「ありゃ?ミリーちゃんブラつけないでシャツだけなんだ」


「こ、声が大きいれ、ひゅんっ!」


店内に響き渡るミリーの悲鳴は色っぽさがあった。女性服専門店で男がいなかったので良かったが、男のアレには悪い。アレはアレだよ。


しばらくして再びネルカが試着室から現れた。ミリーは自分の着替えを握りしめながら縮こまる。


「ほら!ミリーちゃん!御披露目だよ!」


「……………………ネルカ様、恨みます」


ミリーは涙目になってネルカを見上げ、睨み付ける。おい、ネルカ。可愛らしいのは分かったから、ゾクゾクするな。


「あらあら。映えがあるねえ。お嬢ちゃん、お似合いだね?」


「…………ありがとう、ございます」


ミリーが照れながらお礼を言う。


「もしあったらピンクの()()スカートとかも良かったんだけど」


ネルカの呟きにミリーは一層慌てた。


「そんなはしたない格好、できません!」


「ゲイル君の心鷲掴みできるかもよ?」


「ッ!?……………………………………………………………………………………できません」


一瞬考えたようだが、小さな声で抵抗した。まあ、ミニスカートは履く場所を選ばなければ痴女扱いされる。大抵の場合寝間着で使うくらいだろう。仮に手に入れたとして外で履いて歩く場合についてはゲイルが反対するに違いない。妹にはしたない格好はダメです、と。


おばあちゃんは二人の様子を見ながらニコニコと笑っていた。


「あ!おばあちゃん、私が払うから、お代言って」


「なっ!それは悪いです!お支払しなくても結構ですから!」


「でもミリーちゃん、買わないんでしょ?」


ネルカの言葉に「当然です」と返す。着せられはしたものの、本人としては買う気も着る気もなかった。


「それはもったいないって!ゲイル君に見せなくてもいいの!?」


「……………………………………………………………………………………大丈夫です」


今、間があった。


押し問答している間に、おばあちゃんが口を挟む。


「でも奴隷の子に試着されると売り物に出来ないねえ」


その言葉に二人の血の気が引いた。ミリーが慌てて謝罪する。


「ごめんなさい!勝手に着てしまって…………」


「半額にしてあげるから買っていきなさい」


おばあちゃんの言葉を聞いた瞬間、ネルカは気を取り直し、値段を聞く。そしてすぐさま支払った。


「ネルカ様!?」


慌てるミリーをよそにネルカはおばあちゃんに「まけてくれてありがとう!」とお礼をした。


「わたしみたいになると、もうそういう服が着れなくなるからねえ。見せる人がいるうちに着ておきなさいな」


おばあちゃんの言葉を聞いてミリーは言葉に詰まってしまった。


「私はプレゼントのつもりだから!」


ネルカはミリーからお金を出しますと言われる前に先手を打ってしまう。言葉を向ける相手を見失い、ミリーは戸惑った。


「あんたたちレーニアリスの子だろう?」


「あ!分かる?」


「そりゃあね。奴隷の子供に親しげにするのなんて、どちらもレーニアリスの子だと言ってるようなもんだからねえ。その子なんか出世するんだろう?」


おばあちゃんがミリーを指差しながら言うのを見て「まだ決まってません」と言葉を返す。


「だったら頑張らないとねえ」


おばあちゃんはニコニコしながら、その格好で遊んでいきなさいと言いながら、ミリーの抱えていた服を受け取り、袋へとしまって渡してくれる。


「楽しんでおいで」


おばあちゃんの言葉に手を振るネルカと頭を下げるミリー。それから服屋を離れ、喫茶店へと向かった。


「ネルカ様。申し訳ございません…………」


お金を出させてしまったことを謝るミリーに「プレゼントだから」と笑顔で返した。ミリーは益々恐縮してしまった。


そんなミリーを見ながらのネルカの心のうちは…………。


(うふふふ。ミリーちゃんに可愛い服を着せる作戦、大成功!しかもお着替えに乗じてお肌触れたし!役得だね!ブラつけるほど大きくないみたいだけど…………。柔らかかったなあ…………)


大層ご満悦のようであった…………。



















































信じられるか?こいつ、前世が英雄的な存在なんだぜ?

次回は1/27(月)に掲載いたします。

以降、週二日、月木掲載でやってまいります。

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