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最強の相棒はスライム  作者: ニコラス
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第50話 ひとまず終戦

「だからぁ!ボクのゲスト様だからぁ!フローラちゃんでもあげないから!!」

「べ、別に良いじゃないのよぉ!!この人だって私の方が良いかも知れないじゃない!!」

「あ、あのぉ……とりあえずその話は後で……今は逃げる話を……」

「「あっ!」」


リリスとフローラは顔を見合せ、紅くさせて静かになった。

その後すぐに信頼できる側近の一人だという男、ウェスリーと計画を経てた。

今帝国では、現皇帝が原因不明の病で倒れたことによって起きた、過激な跡目争いの真っ最中で、今回の戦争も、あわよくばフローラに消えてもらおうという策略だったようだ。

実際は妾の子であるフローラは継承権の順位は低い。

しかし美しく可愛らしい容姿と穏和な性格が民衆には人気で、皇帝の考え次第では変わるかもしれない。

そう思った兄弟の一人、長男のギルバート第一王子が、フローラを出陣させたのだろう。

フローラも負けるつもりはなく、慕う貴族も多かったため、大所帯での出陣となったため、大敗することもなくこうして生き残っている。


「それで、ゲスト殿は今後どうしたらよいとお考えで?」

「とりあえず、フローラとリリスの身柄をウチで預かるつもりかな。ウチと言っても王国ではなくオレ自身だけど。」

「ほぉー、ではどうやって我らは帝国に報告しろと?」

「それは簡単!影武者を作る!ほれっ!出てこい!」


オレはここで、二匹の魔物をかごから出した。

その二匹はドッペルゲンガーという魔物だ。

ドッペルゲンガーは何かに擬態し、その能力を使うことができる魔物だ。

今はオレと同じ姿をしているが、オレの力をフルに使うことはできない。

使うことのできる能力は、擬態した者のレベルが自分と同じになったときのおよそ八割ほどしか使えない。

今回擬態してもらう二人はリリスとフローラだ。

リリスの擬態は問題ないだろう。

この世界のを、ドッペルゲンガーでも余裕で蹂躙できる力を発揮できるだろう。

問題はフローラだ。

戦闘用のジョブがあればと思っていたら、剣士と魔法使いのジョブをレベル2ずつ持っていた。

最低限の教養として学ぶようだ。

そしてこの二匹のドッペルゲンガーはレベル100だ。

思考力や話し方のトレースも完璧で、記憶も断片的にトレースできるようだ。

おそらくこの世界史上最強の影武者が出来上がった。

そしてこの二匹の役目は、帝国軍と共に帝国に帰ることだ。

跡目争いが落ち着くまで、または現皇帝が復帰するまで帝国で生き、情報を集めてもらうことにした。

そして二匹にはあらかじめ、『次元の扉(ディメンションゲート)』の魔法を教えているため、いつでも帰ってこれるので、入れ替わることも容易いのだ。


「わぁー!ホントにそっくり!!これ魔物なんですの?」

「流石ゲスト様だね!準備が良い!!」

「たまたまこいつら持ってただけだから……」


オレは苦笑いして答えた。

フローラは、自分の姿のドッペルゲンガーの至るところを触れて、確認しているようだった。

時折文句を言っていたようだが、ドッペルゲンガーは聞く耳を持たなかった。

だって「もう少し身長高くしろ!」だとか「もっとスリムに!」とか言われたことそのままやったら、別人になっちゃうじゃない!!


「とにかく簡単に準備をしてくれ!食料とか武器とか移動手段とか!数では帝国が勝っているからまだまだ持つと思うけど、奇襲されていることになるからなるべく急いで!!」


周囲の者がバタバタと動き出す。

リリスとフローラも手伝いに行った。

オレは戦況の確認をした。

どうやら帝国軍のいくつかの小隊は、隊長が変なのに気づいたらしい。

統率が取れなくなった小隊から、戦線が崩壊し、王国軍に飲み込まれていった。

キースリング伯爵のいる辺りは、ほとんど動きがなく、戦闘にならなかったようだ。

戦闘になっていたとしてもグスタフ達がいれば問題ないだろう。

王国軍の本陣も異変がなかった。

前線が押されていた時もただ見ていたようだった。


「ゲスト様!ボク達の準備は終わったよ!」

「私もいつでも行けます!」

「じゃあ我が家へ行こうか。『次元の扉(ディメンションゲート)』!」

「「「おぉーっ!!!」」」


黒い霧のようなゲートに、周囲にいた者は驚きの声をあげた。

触れようとする者や、不気味に感じて後ずさる者など様々な反応だ。


「ゲスト様なら転移の魔法使えるよね?なんで使わないの?」

「お前との戦いで魔力の消耗が激しいの!!この魔法往復分くらいで終わりなんだわ!」

「なるほどぉー!ごめんちゃい!チュッ!」

「「なっ?!」」


リリスが唐突にオレの頬にキスをした。

一瞬だったため感触はボヤけた感じだが、柔らかかったのはわかる。

しかし驚きの声と表情は隠せなかった。

そしてもう一人、驚きの声をあげたのが、フローラだった。


「な、なにすんだ!」

「ズルい!私だって!!」

「うわっ!!止めろ!!さっさとゲートをくぐれ!置いてくぞ!」


フローラも調子に乗って迫って来たが、回避し無理矢理ゲートをくぐらせた。

ゲートの先はオレの家で、玄関の前に繋いでいた。


「ようこそ我が家へ!」

「けっこう大きいね!フローラちゃんのお城には負けるけど!」

「リリス!私のお城じゃないでしょ!でもゲスト様のお宅は大きいですわね!」

「あら?ご主人様?お早いお戻りですね。」


奴隷兼メイドのルシールが出迎えてくれた。

オレが留守の間も特に問題なかったようだ。


「出迎えありがとルシール!しばらくこちらの二人を家に泊めるから失礼のないようにね!」

「よろしくお願いしますね!」

「よろしくぅー!!」

「はい!ご要望がありましたらなんなりと。」


二人の紹介を軽く済ませて、オレはすぐに戦場に戻った。

帝国本陣の撤退準備も終わり、ウェスリー達は出発する直前だった。


「向こうに着いたら連絡してくれ!オレもこっちの片付けするから!」

「頼みましたぞ!フローラ様のことくれぐれも!!」

「おぅ!早く行け!」


ウェスリーの掛け声に、帝国軍は撤退を始めた。

戦場に残った兵士達も、散り散りに逃げ、後で合流する算段のようだ。

オレは空っぽになった帝国本陣の中で、魔物小隊にガチャガチャに暴れてもらい、軽く追い掛ける素振りをしてもらった。

オレはその後キースリング伯爵と連絡を取った。


(伯爵様!帝国本陣は撤退を始めたようです!追撃しますか?)

(いや、上に一度指示を仰ぐ。それまで待て!)

(はい!)


オレはガス欠寸前の魔力を回復するため、しゃがみこんで休憩することにした。

そこからは、終戦という形になり、王国側の勝利ということになった。

結局追撃はせず、戦場の片付けをしてその日は終わった。

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