第49話 決着
お待たせしました。
祭礼やら持病の発作やらで更新できませんでした。
徐々にペースを戻します。
「まさかキングを装備するとは思わなかったな!」
「はいっ!それに籠手の形状をボクの意思で変えられるみたいですよ!!」
オレの腕には、半透明の綺麗な籠手が装備され、様々な形状に変わりながら、オレと会話していた。
スキル『武具化』は、テイムしている魔物を武具にして装備することができるスキルだ。
たまたま発現した際に、キングが一番近くにいて、オレの腕に触れようとしたため、籠手に変化したようだ。
武具化した魔物のスキルは、そのまま使用可能で、籠手の状態のキングのスキル、『超硬化』も使用できるのだ。
さらに、ステータス向上効果もあり、魔物のステータスの1割から2割向上する。
「これならやれそうだな!防御は任せるぞ!」
「はいっ!しっかりサポートしますね!」
「ふぅー、ふぅー、ウガァー!」
「来るぞ!」
リリスの背後に土埃が起きるほど強烈な踏み込みから、一直線にオレに突進。
すれ違い様に、大鎌の刃を斬りつけ、走り抜ける。
オレは腕を前に出し、大鎌の刃を受け止める瞬間、キングが形状変化し大きな盾になり、『超硬化』でリリスの一撃を弾いた。
「おおっ!!けっこう良い感じだな!」
「そうですね!このまま一気にいきましょう!!」
オレは左手に業火炎獄、右手に鞭を持ち、本来のスタイルにキングを装備してリリスを迎え撃つ。
オレは黒炎で、周囲に被害が出ないように、リリスとオレ達を囲んだ囲んだ。
「さぁ、そろそろ終わりにしようぜ!お前もその状態しんどいだろ?」
「ふぅー、ふぅー……」
「行くぞ!!フンッ!」
鞭で足元を狙い、リリスの行動を阻害し、黒炎で作った翼で接近、『超硬化』を業火炎獄に剣先に付与し、上段から一気に振り下ろす。
リリスもそれに反応し大鎌で受けようと動くが、オレの右手の籠手をキングが形状変化させ、触手のようになりリリスの両腕を押さえオレの一撃が直撃した。
「ウギャァー!!」
「よしっ!やっとまともに入った!!狂戦士は防御が低いから、聞いたはすだ!」
「どんどんいきましょう!!」
リリスの叫びと共に鮮血が舞った。
片膝をつき、息が上がっているリリスに容赦なく猛攻を仕掛ける。
キングが触手状になれることを知り、鞭を持つ意味がなくなったので鞭をしまい、剣を右手に左手は素手で突撃する。
「おとなしくさせないとな!意識を刈り取るぞ!」
「はいっ!顔面パンチやりましょう!」
接近したオレに、リリスは左から右に大鎌を振るう。
オレは左腕の盾に変化した籠手で受け、リリスの鳩尾を思い切り蹴りつけた。
リリスは軽く浮き、地面に降りると踞った。
「ぐはっ!ぐぇぇ!!おぇぇ!」
「あはは、可愛い女の子にさせちゃいけない姿だな……見なかったことにしてあげるよ。」
リリスは周囲を吐瀉物で汚すが、すぐに身体を起こし立ち上がった。
大鎌を前に出して構えているが、少し怯えているようにも見えた。
「これ以上はオレもキツいから、終わりにしようぜ!うぉー!」
「ふぅー、ふぅー、ウガァー!」
リリスは大鎌の刃先を地面に刺し、ガリガリと削りながら一直線に突進してきた。
オレも業火炎獄を黒炎で纏い、左腕の籠手をメリケンサックのような形状に変化させ、接近した。
リリスはオレの目の前で大鎌を振り上げ、土埃を起こしオレの視界を奪おうとするが、オレもほぼ同時に黒炎で壁を作り、土埃を防いだ。
土埃の影から追撃しようと、大鎌を降り始めていたリリスは、黒炎の壁に直撃し、両手を焼いてしまい、大鎌を落としてしまう。
オレはその隙を逃さず、左手で拳を作り、籠手に『超硬化』を使いリリスの顔面にストレートを放った。
左拳が綺麗にリリスの顎に入り、頭を揺らす。
脳が軽くピンボールのように揺れ、リリスの意識は落ちた。
「綺麗に決まったからさすがに終わりだよな?もう立たないよな?」
「大丈夫だと思いますよ!殴った感触からも、意識がないのは確実でしょう。」
「それでも女の子の顔を殴るのは、気分悪いな!」
オレはリリスの首もとに手を当て、脈をあるのを確認、生きていることがわかった。
同じ転移者、プレイヤーとして殺すつもりはなかった。
狂戦士のジョブを代えればまともになるかもしれないし、情報共有もできる。
それにこの先何かが起きる場合の戦力にはもってこいだ!
「さて、オレも疲れたぞ!魔物小隊の奇襲はどうなったかな?それ次第で戦争は終わりなんだが……」
(ご主人様?大丈夫でしょうか?何故か敵軍の応援がなかったので、敵本陣制圧致しました。)
気になっていたタイミングで、スペンサーから連絡が来た。
オレとリリスの戦闘中、魔物小隊はそのまま本陣を制圧してしまったらしい。
来ると践んでいた敵軍の応援が来なかったようだ。
オレはリリスを背負い空を飛び、敵本陣へ向かった。
「何故、この女を連れていくんです?殺さないのですか?」
「敵の王女の友達みたいだし、同じ転移者としても話聞きたいしね!」
籠手状態のままのキングに、リリスが落ちないように、触手状に形状変化させて固定してもらった。
敵本陣に着くと、王女のフローラ、その他側近や貴族、近衛兵が縛られていた。
オレは王女フローラの前に降り立ち、リリスを降ろした。
「リリス?!」
「動いちゃダメですよ!ご主人様、どうされますか?」
「う~ん、とりあえず伯爵様に報告かなぁー。」
オレは腕組をして悩んでいると、フローラと目があった。
潤む瞳に力強い意志が見られ、その美貌にはどの男も堕ちただろう。
オレも思わず目をそらし、あらぬ方向を見ていた。
「リリスは?!リリスは大丈夫なのですか?!」
「あぁー、生きてるから安心して!オレと戦ったからこうなってるだけだから!」
「良かった、ただ一人の友達を失ったかと……」
この王女様、ぼっちだったのかよ!!
美人すぎて女友達できなかったのか?
ふんわりとした青髪ショートカット、小柄ながらに包容力がある豊満で暴力的な胸、今は凛々しい表情をしているが、何より柔らかな笑顔。
オレもこんなお姉ちゃんが欲しかった……
「ところで、今は王国側はオレしかいないから話すけど、この後どうする?連行したら良くて人質または捕虜、悪くて処刑だろうけど……さすがに処刑はないか!そこまでバカじゃないだろうな。」
「ど、どうするとは?連行しないのですか?」
連行すれば、フローラにとって悪いことしか待っていないだろう。
そしてリリスは危険人物として処刑も考えられる。
それはできれば避けたかった。
オレはフローラにだけ聞こえるように耳元で言った。
「実はオレもリリスと同じなんだよ。できれば同郷を死なせたくない。だからこのまま逃がすことも考えている。」
「えっ?私達を逃がす?」
「撤退してくれれば、オレ達王国側は追い払ったという事実だけでも残るだろう?それで充分だろ!それに帝国も何か起きてるんだろ?」
「な、何故それを?」
「いや、簡単だろ!帝国側の小隊の指揮官を見れば。」
帝国軍の小隊の指揮官はどの隊も、心此処に在らずな様子で、まるで操られているようだった。
それに指揮官からの指示も、突撃の一言のみ、とても正常に見えなかった。
「そこまで知られているとは、ではこのまま逃がしてくれるというのですか?」
「もちろん条件はつけるよ!オレが帝国に入国する際の手続きの免除と、王女フローラ様が欲しい!……というのは冗談……でもないけど、帝国内での行動の自由かな!」
「は、はい!わ、わかりました!帝国の出入りの手続き免除と、私ですね!」
「いやいや!王女様のことは冗談だってぇ!!欲しいけど貰えないから!!」
「ぼ、ボクもゆ、許さない、からね、」
フローラはオレが冗談で言ったことを真に受け、顔を赤くして話を進めようとする。
周囲の男達は、オレが冗談だと言ったところを聞き逃さなかったが、フローラの一言にてんやわんやだ!
さらに、皆が騒がしくしたおかげで目を覚ましたリリスも、参戦した。
「リリス!!良かった!」
「ボクは許さないよフローラ!ゲスト様はボクのだからね!」
「「えっ?」」
あれだけ戦ったあとのリリスの一言に、一瞬の間静まり返った。




