第47話 再会、死闘
本日は、宮城県の仙台市でライブしてきます!
アニソンイベント!
「やぁっと会えたぁー!!この悪魔二人を見つけた時は、テンション上がったよ!!ボクのゲスト様が、この世界に来てるって!!」
「まさかお前が来てるとはな……」
ショートパンツにピンクのTシャツ、不自然なツインテールの小さな少女は、オーバーにジェスチャーしながら語る。
何故不自然なツインテールかというと、身体を大きく動かしているのにも関わらず、片方の髪しか揺れていないのだ。
その理由は単純で、もう片方が彼女のメイン武器の大鎌の刃だからだ。
背中に背負った大鎌が、ツインテールの様に見せているだけなのだ。
「リリス!お前は今、帝国側の人間なのか?」
「う~ん、ボクはフローラちゃんの味方ってだけ。フローラちゃんの手伝いをしてるだけだよ!」
彼女はリリス、同じゲームのプレイヤーだ。
PVPをメインにソロプレイし、対人ランキング上位にいたプレイヤーだ。
ジョブは、メインが狂戦士で、サブが魔導師。
筋力と敏捷性が高く、素早い動きから繰り出される大鎌の一撃に、かなり苦戦させられた。
魔法も火属性と闇属性を使い分け、広範囲攻撃もできる。
「で、何しに来た?オレに会いに来ただけ?」
「もちろん用事はあるよ!ゲスト様と斬り合いに来たんだよ!!」
フローラ王女の警護から離れてきたのは、オレと戦うためのようだ。
しかし、ソロプレイヤーとしては彼女の方が上だろう。
以前戦った時も、仲間の魔物がいてギリギリだった。
その時の主戦力の一人だったカイルが、戦闘不能になっている。
かなり厳しい状況になっているのは間違いない。
「王女の警護はいいのか?奇襲かけられて、王女泣きそうだったぞ?」
「う~ん、大丈夫でしょ?あなた達は王女を殺さないだろうし!もういいから!早く殺ろう!」
リリスは大鎌を構え、挑発するように大きく振った。
周りにいる兵士達も、彼女の雰囲気に飲まれ、動けなくなっている。
兵士達が攻撃を仕掛けたところで、返り討ちに会うのは目に見えている。
「早くぅー!!いつまで待たせるのぉー!!もぉーこっちから行くぞぉー!!うぉりゃー!」
「やめっ!!あぶねっ!!」
リリスはいきなり、大鎌を横に振るい、戦いが始まった。
オレも左手に業火炎獄、右手に鞭を持ち、迎え撃つ。
横に振るわれた大鎌の柄を、剣で受け止めるが、大鎌の刃はオレの背後にあり、それをリリスは思い切り引き、オレを切り裂こうとする。
辛うじてしゃがんで回避するが、避けきったところに突きをもらってしまう。
「グハッ!!よく大鎌なんて使いづらい武器使うな!」
「いやぁ、大鎌ってカッコいいでしょ?それにこの『暴食』はね、敵を斬れば斬るほど、攻撃力上がるんだぁ!ボクにピッタリ!!」
リリスの持つ大鎌『暴食』は、ゲームではかなりのレア武器で、使いづらい大鎌という点を除けば、かなり優秀な武器だ。
それに敵を倒したらではなく、攻撃してダメージを与えたら攻撃力が上がるという、チートに近い能力なのだ。
変則的な攻撃かつ、大振りになりがちな大鎌を相手にするのは、なかなか難しく、高レベルプレイヤーも苦戦していた。
「このままだとヤバいかもな……ドロシー!!キングを呼べ!!伯爵のところにいる!」
「わかったわ!すぐに連絡する!」
「お友達くるの?それまで頑張らないとだね!ゲストさまぁ!!」
リリスの大振りの斬り上げを、バックステップで回避するが、彼女はクルリと振り上げた大鎌を返して振り下ろす。
大鎌の刃を剣で受け止めるが、一撃の重さに膝をついてしまう。
「クソッ!重すぎる!」
「レディに向かって重いとか失礼だ!!」
「体重じゃねぇ!!小さいくせに一撃の重さがハンパねぇ!どんだけ脳筋だよ!」
すでにリリスの大鎌は、カイルとの戦闘でかなり攻撃力が上がった状態だ。
そこに彼女の筋力が合わさり、とんでもない一撃になっている。
全て回避するつもりでないと、すぐに負けてしまうだろう。
「う~ん、もうちょっと攻撃力上げたいなぁ。あ、ちょうどいいところに!!せいっ!!」
「ぐわぁーー!!」
リリスは大鎌の攻撃力を更に上げるために、周囲の兵士達を無差別に斬り始めた。
王国側も帝国側も関係なく無差別に。
「おいっ!止めろ!!なに考えてんだ!!」
「なにって?兵隊さんを斬ってるだけだよ?!へへへっ!これでもっと強くなったよ!ゲストさまぁ!!受け止めてぇー!!」
ゲームでも狂戦士の仕様で、時折混乱状態になり、敵味方関係なく攻撃することがあった。
それが今発動したようで、味方も斬ったようだ。
さらに混乱状態になった際に、リリス自身の筋力も上がり、攻撃力がどんどん上がる。
彼女の必勝パターンに入り込んでしまったようだ。
なんとしても攻撃を避けねばならない。
彼女の速度に、ギリギリ競り勝ち、地面を簡単に抉る一撃をギリギリで回避する。
時折オレも攻撃するが、関係ないと言わんばかりに、攻撃を受けながら攻撃してくる。
ならばと黒炎で攻撃を仕掛けるが、リリスも火属性と闇属性の使い手、複合魔法で黒炎を作り弾かれる。
「黒炎はボクも使えるよ!伊達に死神って呼ばれてないよ!」
「一人じゃ打つ手が……」
リリスの代名詞とも言える大鎌と、高出力広範囲攻撃の黒炎のおかげか、『死神』の二つ名があるのだ。
小さく可愛い容姿もあり、一部では死神ちゃんと呼ばれ、ファン倶楽部も存在した。
しかし、戦いの場で遭遇するのは嫌がられていた。
「そろそろ本気出してよ!じゃないと首を跳ねるよ!」
「ヤバいな……このままだと首チョンパされる!こうなったら一か八かやってみるか!!」
「何するの?早く見せて!」
オレはジョブの魔法剣士を替え、ある武技の構えをとる。
リリスもわかっていると思うが、笑顔で待っている。
万が一剣が壊れることも考え普通の鉄の剣を手にする。
「当たるといいね、それ!」
「絶対当てる!!『光閃』!!」
武技が発動し、オレの後ろの地面が大きく抉れる。
光の速度に迫る勢いの踏み込みに、蹴られた地面が耐えられなかったようだ。
文字通り一瞬でリリスの目の前に到達し、その勢いのまま、すれ違い様に横凪ぎに斬りつける。
完全に捉えたつもりだった。
その剣を振るった直後、ほんの少し遅れて、ガイーンという金属音が響いた。
オレが持っていた鉄の剣は、刃が粉々になり崩壊した。
オレは振り返りリリスの様子を確認した。
彼女は大鎌の石突きを地面に刺し、オレの一撃を大鎌で受けたようだった。
彼女も後ろを振り返り、オレを見て笑った。
「残念!せっかく捉えた軌道だったのにぃー!あんな攻撃あたるわけないじゃん!来るって分かる構えなんだし!」
「あの速度の攻撃を受け止めるか……いよいよ終わったか……」
オレ一人でやれることは、おそらくもうないだろう。
魔法も斬撃も弾かれて終わるだろう。
プレイヤーとしてのスキルが違いすぎた。
そんな絶望しそうな状況を振り払う声が響いた。
「ご主人様!!無事ですかぁー!!やっと来れました!!」
「キング!!」
ここでオレの仲間、最強の相棒がやってきた。




