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最強の相棒はスライム  作者: ニコラス
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第45話 開戦

初めてのグスタフ達全員を相手にした模擬戦は、わりとあっさり終了した。

一撃ずつしか攻撃していないので、ダメージもないだろう。

フィリーネに突き付けた剣を降ろし、黒炎を消すと、拍手をしながらオリヴァーが現れた。


「いやぁ、ゲストは強いね!回し蹴りの後の移動が見えなかったよ!どうやったの?」

「ありゃぁー、見られてたかぁー。あれは普通に走っただけですよ!」

「「はぁ?!」」


オリヴァーとフィリーネが声をあげた。


「あの距離をあの短時間で?瞬間移動してるようにしか見えなかったけど?」

「瞬間移動はできますけど、魔力消費が大きいんで!それにあの距離で使ってたらもったいないですよ!」

「はぁー……規格外にもほどがあるよ!君がプレイヤーだとしか思えないけど。」

「ところでゲスト?この人誰なのよ?」

「この人は、Aランク冒険者のオリヴァーさん!」


フィリーネは、ガチガチになりながらも、オリヴァーに握手を求めていた。

オレは、知らなかったが、けっこう有名な冒険者らしい。

女性人気もそこそこある。


「このパーティーはゲストのパーティー?」

「違いますよ。弟子みたいな感じ?」

「いじめられてるだけです!私達、まだゲストにかすり傷一つつけたことないんですよ!」

「だって痛いのイヤだもん!」


フィリーネが泣くような仕草で、オリヴァーに伝える。

実際に痛いのはイヤだが、まだグスタフ達の攻撃に当たってやるつもりはない。

それでも、グスタフ達の成長を感じるのは、面白いと思っていた。

実際、びっくりして反応が遅れるときはある。

しかしその一瞬も、オレにとって大したことはなく、彼らの攻撃速度では当たらない。

それでも、少しずつレベルが上がっているようのは、感じることができ、感慨深いとも思える。


「オリヴァーさんから見て、グスタフ達はどうですか?」

「普通のCランク冒険者相当はあると思うが、あとは経験と実績だろうな!」


フィリーネも素直に評価を受け入れているようだ。

因みに他の三人は、地べたに横になって伸びている。

オリヴァーも模擬戦したそうにしていたが、明日の開戦に疲れを残すわけにもいかずに、解散となった。


「明日はいよいよ開戦だ。みんなの活躍期待してるよ!特にゲストな!」

「あぁ、本気出していいなら、すぐ終わると思いますよ!」

「それは帝国が可哀想だな!」


オレは、本気で言ったのだが、オリヴァーに冗談のようにされてしまい、笑い声が響き渡った。



翌朝オレは、懐で丸くなって寝てるハクアを、そっと離し、テントの外に出た。

秋口に入りかけ、肌寒くなってきた朝方の日の光を浴び、身体を起こしてやる。

ぐっすりと寝れたおかげか、体調がすこぶる良い。

軽く伸びをして、寝覚めの身体をほぐしていると、伯爵が声をかけてきた。


「おはようゲスト。調子はどうだ?」

「おはようございます伯爵様。バッチリですよ!今なら一撃で、帝国軍を壊滅できますね!」

「それは頼もしいな!ただ私の警護もしっかり頼むよ!」

「それはご安心を!カイルとドロシーを伯爵様にお付けしますので。オレは、上空から遊撃しますね!」


警護という名目で依頼されてたが、オリヴァーがハーラルト公に進言したらしく、遊撃手として、立ち回ることになった。

そのため、警護に近接特化のカイルと、攻撃魔法と補助魔法をそつなくこなすドロシーを配備することにした。

もちろん、グスタフ達も伯爵様の警護だ。

カイルとドロシーがいる時点で、伯爵様の周囲以上に安全な場所は、戦場にないだろう。


それからは、朝食を軽めにとり、皆が戦闘の準備を始める。

双方の総指揮官と幹部数名が顔を会わせ、お互いの陣地に戻ったら開戦となる。

それまでは、攻撃をすることもされることもない。

確実にないわけではないが、そういう決まりなのだろう。

各々が所定の位置に着き、帝国側を伺う。

王国側の隊列は、横陣という、いくつもの部隊が、横に並ぶオーソドックスな隊列だ。

先頭には槍を持った兵士が並んでいる。

通常であれば、お互いの槍兵達が叩きながら、我慢比べのように押し合う。

しかし今回の作戦では違うのだ。

帝国軍が慌てる姿が目に浮かぶ。


「ハーラルト公が行きますね。いよいよですかね。」

「そうだな。向こうの総指揮官は誰であろうか。王族の一人だと思うのだが。」


帝国軍は、こちらの兵より倍以上多い十五万。

一人当たり三人殺せば勝ちなのだが、そうはいかない。

これだけの人数が集まるということは、人気のある人が総大将なのだろう。

ハーラルト公を遠目で見ながら、帝国側を見ると、薄いブルーのボブカットの小柄の女性を真ん中に、三人出てきていた。


「伯爵様、あの青い髪の女性が総指揮官でしょうか?」

「まさかあの方が来られるとは……」

「誰なんです?」

「帝国の第三王女のフローラ王女じゃないか!!なんで彼女が……」


フローラ王女は、皇帝の継承権を持つが、フローラ王女含めた兄弟、六人の中で末の子のため、継承権の順位は低い。

さらに妾の子であることもあり、兄弟にも忌み嫌われている。

しかし、フローラ王女の優しさ溢れる美貌と、温和な性格が民衆から多大な人気がある。

争いを好まないはずのフローラ王女が、この場にいることが伯爵にとって不思議でならないようだった。

もちろんこの時のオレは、彼女のことなんか全く知らなかった。


「フローラ王女とかいう人の隣の女は、見覚えあるんだけど、なんでだろう?」

「あのサイドテールの少女か?こっからだとそれくらいしかわからないが……ずいぶん露出の激しい服装だな。」


ここから見る限り、黒髪のサイドテールと、お尻が見えるのではないというくらいのショートパンツ、裾を縛っているように見えるピンクのTシャツ。

何故か見たことある気がするのだが、何かが足りない気がして、思い出せないのだ。


「誰だったかなぁー……オレ友達少ないからわかるはずなんだが……」

「そのくらいにしておけ!戦闘が始まったらそうも言っておれん!ゲストは作戦通り遂行することのみ考えろ!」

「はいっ!」


思い出せない事は後にして、作戦の準備をする。

隊列の後ろで、業火炎獄を出し、翼を作り上空へ。

帝国側からは見えないように、オレの周囲に霧をはる。

ハーラルト公の方に目をやると、開戦することになったようだ。

両総大将が陣地に戻ったら、開戦の合図が出た。

ここからはオレ達の出番だ。


「よっしゃぁー!やるぞぉー!リュート!ストレス発散にぶちかますぞ!!」

「ようやく来たか!!任せろ主殿!グオォーー!!!」


開戦の合図を欠き消すように、リュートの咆哮が戦場に響き渡った。

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