第35話 光の舞い
フィリーネの魔法で、視界が真っ白になった。
何も見えなかったが、距離を取るために後ろに下がった。
少しずつだが、ぼんやりとフィリーネの姿を捉えることができるようになったが、オレの周囲に何かが浮いているのに気付いた。
「ん?何か浮いてる?囲まれてる?」
「あら?もう見えるようになっちゃった?もう少し作るつもりだったのに。」
オレの視界がやっと元に戻り、浮いてる何かを確認した。
それは鏡のようだった。
その全てにオレの姿が映り、上下左右囲まれている。
「おぉすげぇな!良くこんなに作ったなぁ!」
「すごいでしょ!杖のおかげでもあるけどね!」
どうやらこの鏡のような物は、土属性の魔法『金属作成』を使ったらしい。
この魔法は攻撃する魔法ではなく、壁を作ったり、補強したりする魔法で、ゲームでは橋をかけたりするのに役立った。
そのため、模擬戦で使ってくるのは予想できなかった。
「ここからどうするのかなぁ?なんとなくは予想できるけど!」
「あらそう?この作戦なら、ゲストだってさすがに無傷では済まないと思うわよ!『光線』」
フィリーネがオレに向かって魔法を放った。
一本の太いビームのような魔法だ。
オレに向かって真っ直ぐ飛んでくる。
ギリギリだったが、半身になって回避できた。
しかしそこからだった。
やっぱりかとも思ったが、オレの後ろにあった鏡にビームが当たり、跳ね返ってきたのだ。
それを避けてもまた跳ね返り、向かってくる。
それを見てニヤニヤしているフィリーネが、魔法を追加してくる。
それから三本、四本と追加され、ヤバいと思ったオレは、避けるのを諦め、魔法を使った。
「避けるのめんどくさい!『包囲する闇の壁』」
「なに?」
オレの周囲を、半球状に闇が包む。
この魔法は、光属性の魔法から身を守る魔法である。
こちらから視認はできないが、先程のビームはこの闇に吸収されただろう。
それからもう一つ魔法を使った。
「『交換(人)』おっ?上手くいったかな?」
「あれ?突然真っ暗になったんだけど?」
オレが使ったのは、居場所が入れ替わる魔法だ。
そのため、フィリーネのいた場所にオレがいて、半球状の闇の中にフィリーネがいるのだ。
そして今度は、闇の魔法を解除する。
「今度は明るくなった!ってあれ?なんで私が中にいるの?」
「オレが入れ換えたの!お前が作った鏡使わせてもらうぞ!!反射を使った攻撃するならこうだ!『光の散弾』」
無数の光の玉がフィリーネを襲う。
フィリーネも最初の攻撃をギリギリ避けれたが、それまでだった。
鏡に反射され、あらゆる角度から襲い来る光の玉が直撃する。
「ぐっ!かはっ!うっ!」
「ちょ、ちょっと!フィリーネは大丈夫なの?やり過ぎじゃないの?!」
「黙ってもうちょい見てようぜ!」
なすすべなく攻撃を受けるフィリーネを心配し、ニーナはオレに怒鳴るが、オレは見ていることを提案した。
実はこの時フィリーネは、攻撃を受けながらも倒れてはいなかった。
いくらスキルで威力を下げているからといって、何発も当たれば戦意喪失を狙えると思っていた。
しかしフィリーネは、それを倒れることなく受け、意識保ったままだった。
「うっ、ど、どうしたら……キャッ!!もう壊すしかないか……よしっ!!『破砕する結界』」
ボロボロになりながらも、魔法を唱えたフィリーネ。
鏡を一つずつ囲む結界魔法で、結界の中の鏡は、次々と砕かれていった。
フィリーネの使った魔法は、結界の中に入ったものを砕く魔法。
ただし、生命あるものには使えない。
「はぁはぁ……やっと解放された……疲れたぁ……」
「あれ、もう終わりかい?もっとやれる?!」
「いや、体力は限界……魔力はあと一発かな……」
フィリーネは肩で息をしている。
ホントに限界のようだ。
ここでフィリーネの模擬戦は切り上げることにした。
「なかなか良い作戦だったね!でも光属性の魔法の選択が失敗だね!」
「ゲストの魔法でわかったわ!それにしても、ダメージはないのに痛いのね!」
「スキル使って威力は下げてるんだけどな。」
オレは、フィリーネに回復魔法をかけながら模擬戦の評価を言った。
ちなみにフィリーネに渡した杖は、魔力変換効率上昇の効果を付与している。
ミスリルとその効果の相乗効果でフィリーネの魔法は、威力も発動スピードも格段に上がっている。
「次は俺だ!ゲスト早く!」
「ちょっと待てよ!フィリーネの回復が」
「ケガはないから大丈夫よ。早く始めてあげて!」
「はぁ、わかった。早速やるか!」
グスタフが早く早くと急かしてくる。
剣を試したくてしょうがないって感じだ。
まるで新しいオモチャをもらった子供だ。
仕方がないのでジョブを替え、武器の用意する。
「準備できたぞぉー!グスタフもやれるか?」
「とっくに準備はできてる!!あとは始めるだけだ!!」
「よしっ!始めるか!」
開始の合図と共に、オレ達二人は攻撃に移る。
グスタフは前に、オレはその場で攻撃する。
前回同様に『瞬歩』を使い接近するグスタフ。
上段から真っ直ぐに大剣を振り下ろそうとするが、オレはグスタフの足に攻撃する。
この時のジョブは、テイマーと魔法剣士だ。
ゲームでもこの組み合わせを良く使っていた。
武器は鞭と片手剣。
鞭は中距離、剣は近距離、魔法で遠距離、オレはバランスが良いと思って使っていた。
そして今、鞭をグスタフの足に巻き付け、思い切り引っ張る。
オレの引っ張る力に抵抗できず、グスタフはオレの後ろに吹っ飛んでいく。
「ぐあぁっ!!痛っ!オレには鞭かよ!!」
「ちょっとオレの本職を見せようかなって思って!」
鞭を右手でバシバシと地面を叩きつけながら話す。
左手には真っ黒い片手剣を持つ。
「要はゲストの本気の一部が見れるってことか?」
「いや、本気を出したらグスタフ死んじゃう死んじゃう!!」
笑いながらグスタフの質問に答えた。
わかってはいるのだろうが、それでも笑われたことが面白くないのだろう。
腕の筋肉の隆起で力が入ってるのがわかる。
「来ないのグスタフ?」
「ちぃ、行くぞ!オラァ!!!」
近接職なのだから、接近するしかないのだろう。
今度はジグザグに『瞬歩』を使って接近してくる。
しかしオレは、また足を狙って鞭を繰り出す。
グスタフは剣で払おうとしたのだろう。
しかし鞭の先端は音速に到達するほどだ、剣に当てることすらできぬまま、先程のように吹っ飛んでいく。
「クソっ!!また同じかよ!!」
「いやぁ、グスタフの動きはハッキリ見えてるぞ!」
グスタフは大剣使いのため、スピードがない。
接近するための『瞬歩』も見破られて、打つ手がないように見える。
しかし思い出したのだろう。
渡した大剣を、その能力を!
「クソっ!!やってやるぅ!『操炎』」
グスタフが大剣に付与された魔法を解放した。
グスタフの周囲に大量の炎が生まれ、意思を持ってるかのように動いていた。
「ゲスト!とんでもねぇなこの剣は!!行くぞ!」
「さすがオレだな!かかってこい!!」
グスタフは炎を動かし、攻撃を仕掛けようとしていた。
あ、9月の30日に仙台市でライブするんで、音楽好きな方は是非連絡ください!




