第26話 お買い物
しばらく、新しい生活の準備の話です!
購入したばかりのお屋敷で朝を迎えた。
家具を全く購入してないので、雑魚寝だが。
まだ魔物を出していないのに、料理をする音が聞こえる。
良い匂いも漂ってきた。
オレは不思議に思い、キッチンに向かった。
キッチンには女性がいた。
フリルがついたエプロンをつけ、薄いピンクの綺麗な髪を、一つに纏め上げ、ポニーテールにしている。
オレは、ここでようやく昨日の「よろしくお願いします」の意味がわかった。
彼女もここに住むということだったのだ。
困った……
「あら、ゲスト様おはようございます。もう少しで朝食の用意ができますわ!」
「ソフィーア、それはありがたいんだが……何故ここにいる?」
「昨日、よろしくお願いしますって言ったじゃないですか!それに女は、す、す、好きな殿方の側に居たいものなのですよ!」
顔を真っ赤にして、すごいことを言っちゃってるソフィーア。
とりあえず、今のは聞かなかったことにして、朝食にしよう。
簡素なテーブルと椅子くらいなら、オレのアイテム欄にあったのでそれを出した。
ソフィーアが持ってきていた引っ越し荷物から、テーブルクロスを出し、テーブルに敷いた。
その上に、ソフィーアの手料理が並んでいく。
貴族令嬢なので、ものすごく不安だったが、問題なかった。
というか旨すぎた!
朝なので、軽めの料理だが、手が込んでいた。
パンも自分で焼いて持ってきてくれたようだし、宿等で食べた硬いパンじゃなく、とてもふわふわのパンだった。
玉ねぎのスープも良かった。
玉ねぎが器に、丸々一個入ってたのはビックリしたが、とろとろになってて、甘くて旨かった。
「ソフィーアは良いお嫁さんになりそうだな……」
オレが、食事しながらボソッとこぼした言葉に問題があった。
ソフィーアがオレの顔をじっと見て赤くなり、両手を頬に当てふやけている。
意識がここにはないようだ。
「私がお嫁さん……お嫁さん……ゲスト様の……」
「ソフィーアぁ?どうしたぁ?大丈夫かぁ?」
ソフィーアの顔の前で、手を振る。
それでも帰って来ないので、食事を続けることにした。
オレが完食した頃に、ソフィーアの意識が帰ってきて。
「だ、だんっ!くっ、まだ無理ですわ……ゲスト様、本日の予定はなんでしょう?」
「えぇっと、家具の調達かなぁ?この屋敷まだなにもないし。」
だ、だんって何?何て言おうとしたんだソフィーアは。
まぁ置いておいて、今日は最低限必要な家具等を買いに行かねばならない。
ベッドは絶対必要だ。
睡眠の質は高くなければ!
食べ終えた朝食の後片付けをし、そのまま買い出しに出かける。
ソフィーアも一緒に行くことになった。
オレは、道中にソフィーアは何故料理ができるのか聞いた。
「料理ですか?ただの趣味ですわ。庶民の女性はできるらしいじゃないですか。ですので私も嗜んでおこうかと思っただけです。」
「なるほどねぇー……ところで、伯爵様は一緒に住むこと許しちゃったの?」
一番気になるところでもある。
子離れができない伯爵が許すわけないと思っていたからだ。
「えぇっと……お父様というより、お母様に許可出していただきました。お父様が後ろで泣いていましたけど……」
「わかった……察したわ!」
どうやら伯爵婦人には頭が上がらないみたいだ。
これを期に子離れをさせる気なんだろう。
そして、伯爵婦人の策略はまだありそうな気がする。
まぁ気にしてもしょうがないかもしれない。
とにかく、ソフィーアがいてくれたら、食事には困らないということだ。
家にソフィーアがいるというのが、いろいろ問題な気はするが……
ただ、屋敷は広い。
メイド等も雇わないといけなくなるかもしれない。
そんなことを考えたり、ソフィーアと話していたら、目的地の商店街に着いた。
「わぁー!すごい活気ですわね!」
「ソフィーアは商店街初めてなの?」
「はいっ!買い出しは使用人がしておりましたので!」
なるほど、貴族はすごいねぇ……
この街の商店街は、けっこうな規模の広さだ。
雑貨屋、鍛冶屋、家具屋、服屋、飲食店、ここに来れば大抵は揃う。
特に飲食店が多く、日が落ちてくると酔っ払った冒険者が増える増える。
オレ達二人は、真っ直ぐに家具屋に向かう。
ソフィーアがいろいろ見たそうにキョロキョロしていたから、後で回ってやろう。
目的の家具屋はかなり大きな建物だった。
この商店街でも二番目の大きさだ。
家具を売る店なのだから、広くないとならないのだろう。
狭ければ数は置けないし、幅を取るものが置けなくなるだろう。
思った通り店内もかなり広かった。
綺麗な装飾の家具が多く並んでいた。
「とりあえずベッド欲しいよなぁー。広くてゆったり寝れるベッドが。」
「そ、そうですわね!ベッドは重要ですものね!」
ソフィーア、変な妄想してない?顔赤いよ!
店の中でキョロキョロしていると、店の人だろう、若くて愛想が良い男性が声をかけてきた。
「いらっしゃいませ!何かお探しの物がありますか?」
「あぁー、家を買ったから家具を揃えたいんだけど、いくつか見せてもらえる?」
「はいっ!かしこまりました!ではこちらへ!」
オレ達は、店員に案内され店の二階に来た。
二階はシンプルなデザインの家具が並んでいた。
「お客様、何から見ますか?」
「ベッドだな!ベッドに金をかけたい!」
店員は一瞬ソフィーアを見てから、妙に何度も頷いてる。
なんか勘違いしてない?
それから寝具のコーナーに案内された。
ベッドは幅をかなり取る為に、数はなかった。
「こちらはいかがでしょう!サイズはダブルと表記されてますが、ちょっとだけ大きく作られています。なのでゆったりくつろげるかと思います。」
紹介されたベッドは確かに良かった。
だが金はあるのだ、もっと贅沢して大きいベッドを買うつもりだった。
ソフィーアのベッドも、もちろん別に買うつもりだ。
「キングサイズはないの?」
「もちろんございますよ!こちらなんですが……」
見せてもらったベッドは、黒が基調の物と白が基調の物だった。
骨組みも丈夫に作られて、マットレスも程好い硬さだった。
「ソフィーア、これ良いんじゃない?!」
「えぇ、シンプルなデザインですし、お部屋にも合うと思いますわ。」
「じゃあ決まりだな!店員さん、これどっちもください!!」
ソフィーアも店員も目を見開き、オレを見ている。
何故、ソフィーアも驚く?
「あ、あの良いのですか?二台も良いんですか?」
「大丈夫ですよぉ!お金はちゃんとありますし、部屋も多いんで!」
店員は納得してくれたようだ。
するとすぐに売約済みの札をベッドに張った。
「ゲスト様、何故二台なのです?」
「一つはソフィーアのベッドだよ。一緒に暮らすことになっちゃったんだから、ベッドは必要だろう?」
「ま、まぁそうですわね……」
急にソフィーアが気落ちしたように見えた。
その後も家具をいろいろ物色した。




