第24話 模擬戦(続き!!)
戦闘の動きって言葉にするの難しい……
語彙力が欲しい……
「魔法使いの上級ジョブの魔導師の力を見せてやるよ!」
オレは、フィリーネとの模擬戦の前に言い放った。
グスタフ達には、まだ魔法を使ってみせたことがないので、フィリーネは少し侮っていたようだ。
オレの言葉に表情を強張らせながらも、白くて先端に、花の装飾がされた綺麗な杖を持ち、前に出てきた。
オレは、対照的な真っ黒な杖を出した。
何も装飾のされていない、ただの真っ黒い棒にも見える。
「私だって、魔法使いとして今までやってきたんだもん!負けないよ!!」
「おぉー!オレにどのくらいやれるか、見せてみろ!」
なんかオレ、悪役っぽくない?
せっかくだし衣装も変えよう!
真っ黒なローブを出し、そのまま羽織った。
お互い準備が終わり、グスタフが合図を出す。
初手は譲ってやる。
「行きます!『火球』」
「じゃあオレは、『滝落とし』」
フィリーネは火の魔法『火球』を放った。
読んで字のごとく、火でできた玉を飛ばす魔法だ。
アニメでもゲームでもよく出てくるような魔法だ。
対してオレは、水の魔法『滝落とし』
ただこの魔法、水の魔法だけじゃなく、土の魔法の複合魔法だ。
何もない虚空から、大量の水が流れ落ちてくるとともに、岩や小石などが落ちてくる。
ただ守るのではなく、守りながらも攻撃できる魔法なのだ。
フィリーネもそれだけでは終われない。
追撃の魔法を放つ。
「もっと早く!『這う稲妻』」
「じゃあオレは、『蜃気楼』」
フィリーネの放った魔法は、地面を這うように相手に攻撃する稲妻だ。
稲妻を避けるのは、同レベルくらいなら、かなり敏捷性がないと厳しい。
オレは、避けられるが、ただ避けても面白くない。
魔法の対決だ、魔法を使って避ける。
火と水の複合魔法『蜃気楼』
これは幻を作り出すようなもので、フィリーネには、オレに魔法が当たったように見えたはずだ!
「やった!当たっ……た?」
「残念でした。」
魔法が炸裂したオレの姿は、ゆらりと消えた。
オレは、フィリーネの真後ろに着いた。
フィリーネの肩を軽くポンポンと叩き、新たに魔法を使う。
「えっ?後ろ?」
「残念、またハズレ!『黒い霧』」
フィリーネは肩を叩かれた直後、杖を振り向き様に振った。
オレの姿はゆらゆらと散らばり闇へと消える。
『黒い霧』は、感知阻害効果のある、黒い霧を発生させるの魔法だ。
フィリーネには、まともにオレの位置がわからないだろう。
さらに風魔法を使って混乱させる。
「そろそろかなぁ、『複数の声』」
「えっ?えっ?どこにいる?」
フィリーネには、至るところからオレの声が聞こえているだろう。
他のメンバーは心配そうに、黒い霧を見ていた。
オレは、仕上げに入る。
「そろそろ出てこいよフィリーネ!『取り囲む炎弾』」
「うわぁー『払う暴風』!!」
フィリーネは風魔法で黒い霧を吹き飛ばした。
姿を現したフィリーネを、火球よりも大きな炎弾が取り囲んでいた。
フィリーネは杖を手放し、両手を上げた。
「はぁー、私の完敗ね……攻撃の魔法ほとんどなかったわね……」
「ケガさせたくはないしね。それに攻撃魔法だけが魔法使いじゃないし。」
フィリーネは最初から最後まで、攻撃系の魔法だった。
悪くはないのだが、魔法使いは距離を詰められれば終わったも同然だ。
避けられて接近されれば、攻撃手段が限られてしまうからだ。
最善は、距離を詰められる前に魔法を当てること。
それをするために、如何に自分に有利な状況を作り出すかが勝負になると、オレは思う。
それを理解して欲しかった。
フィリーネはかなり悔しそうだった。
「でも、フィリーネは魔法の発動が早くて良かったと思うよ。」
「ありがと……」
へこんでしまったかな?
まぁいい。
次でラスト、グスタフの番だ。
オレはまたジョブを変えた。
「次はグスタフだ!このパーティーのリーダーのお手並み拝見だな!」
「よぉーし!!一撃は当ててやる!」
目標低いな……
倒してやるくらい言っとけって……
オレはただの鉄の片手剣を出す。
グスタフは両手で持つ大剣だ。
今度の合図はニーナが出した。
「行くぞ!ゲストォォ!!!」
「よしっ!おいでぇー!」
グスタフは大剣を肩に担ぎ、すごい速度で迫る。
『瞬歩』と呼ばれるスキルだ。
これは、縮地法と呼ばれる武術にある技法で、体重の移動を利用し、前に倒れるようにして、一瞬で距離を詰める技だ。
それを使い、グスタフは上段から大剣を振り下ろす。
オレは半身でかわし、大剣の腹を殴る。
グスタフは大剣ごと身体が流れ、開始時の距離に戻る。
オレもグスタフ同様に『瞬歩』を使い、一瞬で距離を詰めたのちに水面蹴りで足を払う。
グスタフは避けきれず、尻餅をつく。
「グスタフ、武器があるからって、そればっかりじゃダメだねぇ。手足だってしっかり攻撃できるんだからさぁ。」
「ちぃっ!まだまだよぉ!!剣技!『翔斬撃』!」
グスタフが放った剣技は、斬撃が地面を翔るように飛んでくるものだ。
オレは、剣で払いそれを打ち消す。
しかし、グスタフもそれで終わらず、斬撃に隠れて接近し、上段から大剣を振り下ろす。
それを事も無げに、大剣の柄をオレは掴み投げ飛ばす。
身体を放られ、地面を滑り壁に激突するグスタフ。
「ぐはぁっ!痛っ!そんなんできんのかよ!全然斬れるビジョンが見えない……」
「あぁー、これは良く見ればできると思うぞ!格下相手だけだと思うがな。」
「クソッ!舐めやがってぇ!うおりゃぁー!」
グスタフが躍起になってかかってくる。
上段から横凪ぎに、さらには斬り上げから振り下ろし。
リーダーやってるだけはあり、メンバーの中でも一番滑らかに攻撃を繋いでくる。
オレは、それを全て、剣を持っていない手を使い、大剣の腹に触れて流していく。
剣は刃がない部分に触れて、力をかければ自ずと軌道が変わる。
真っ直ぐ進む力は横からの力に弱い。
それを利用したまでだ。
聞いたことがあるだろうか。
人に放たれた弾丸が、身体に当たり、身体を通り、その直線軌道から反れて身体から出ることがあるということを。
「剣を使わなくても、俺の攻撃が受け流せるのかよ!化け物かよ……」
「ちゃんと理解して、攻撃をじっくり見る時間があればできるさ!」
「俺の攻撃が遅いってか!!」
「あぁ、遅いね……」
そろそろグスタフの精神も限界だろう。
最後はちょっとだけサービスをしてやるとする。
「グスタフ!良く見てろよ!これが剣士系最上級ジョブ、剣聖の剣技だ!『光閃』!!」
「なっ?!」
『光閃』これは、光が一瞬閃く様を現した剣技。
簡単に言えば、光の速度に迫る速度で放つ、横凪ぎの一閃。
実際にはグスタフに当ててはいないが、わざと大剣に直撃させた。
鋭すぎる一撃に、グスタフには衝撃はない。
しかし、グスタフの大剣は違う。
豆腐をナイフで切ったような、それほど滑らかな切り口で切断された。
カランっと落ちた大剣の刃と共に、グスタフの腰も地に着いた。
「なんだよ今の……何も……見えなかった……」
「はぁはぁ……これは……お前の遥か先にある世界だ……はぁはぁ」
『光閃』は強力かつ、レベル100でも回避が難しい剣技だが、スタミナ消費が莫大だ。
オレのスタミナのら約七割を消費した。
この世界に来て初めて疲労というものを感じた。
オレの手に握られた鉄の片手剣も、あの一撃には耐えられなかったようだ。
刃が粉々になってしまった。
これで、今回の模擬戦は終了した。




