第12話 初依頼
沈黙が続いていた。
オレの目の前には真剣な眼差しで見つめてくる四人組。
オレは、彼らに鍛えてくれと頼まれていた。
正直、パーティーとして一緒に行動するつもりはなかった。
もちろん彼らが嫌いとかそういうわけではない。
オレがこの世界を知るのに役立ったわけだし。
どうしたものかと考えていた。
しかし、その沈黙を破ったのは無口なスヴェンだった。
「週一とかでもいい……。経験を……とにかくたくさん……」
「そうよね!さすがに私達も依頼受けないと食べていけないし!」
それに続き、フィリーネが言った。
週一くらいなら良いかなと思ってはいる。
ただ鍛えるにしても何をどうすればいいかは分からない。
「週一くらいなら構わないが、鍛えるといっても何をしたらいい?オレと模擬戦でもするか?」
「やった!ありがたい!模擬戦でならどのくらい強くなれたかすぐにわか……ん?誰と模擬戦するって?」
「今、ゲストがオレって言った気がしたわよ?」
「いや、間違ってないぞ!オレと模擬戦するか?って言ったぞ!」
喜んでいたの束の間、すぐに絶望したような顔になった。
ニーナがオレに問いかけた。
「私達、あなたと模擬戦して死んだりしない?」
「大丈夫だ!ちゃんと手加減できるから。たぶん……」
「ホントに?ちょっと心配なんだけど!!」
グスタフ達は全力で頷く!
しょうがないので勝手に決める。
「じゃあ、週一でオレと模擬戦!確定な!他にもいろいろ考えておくから、よろしく!!」
「「「「ウソォー!!!」」」」
「ご主人様は優しいですね!」
「だろぉ?キングはよくわかってるじゃないか!」
グスタフ達は頬を引き吊らせていた。
そして、今日はもう日も落ち始めていたので解散した。
模擬戦の日は連絡で伝えるということになった。
オレは、宿に着く前にキングをかごに戻し、中へ入った。
今日の夕食も昨日と一緒だった……うん、がっかりだよ!
食事をパッと済ませて、今日は早めに寝た。
次の日。
早寝したわりに、目が覚めたのは9時頃だった。
今日は、初めての依頼をしようと思っている。
なんだか、初めてのおつかいみたいだな……
まぁいい。
今日も裏庭を借り、お風呂要員のイーティングダートプラントちゃん、長いから名前付けなきゃな、身体を洗ってもらったあと、ギルドに向かう。
また道中、キングが出たがっていたので出した。
キングのおかげで女性の視線を浴び、ギルドに向かう。
ギルドに着いても、リーゼルちゃんの誤解がちゃんと説けてないのか、顔を真っ赤にして対応してくる。
「ゲ、ゲストさん、今日は依頼ですか?」
「あぁ、何かないかい?」
「でしたら、こちらはいかがでしょう。低ランクの冒険者では荷が重いかもしれないので……」
その依頼というのが、アンファングから徒歩で2日ほどのところにあるヒルト村という人口が500人ほどからだった。
内容が、行方不明になっている子供の捜索だ。
10歳から成人前の14歳の少女が家に帰ってこないという事態が多発しているらしい。
住人は村の領主に掛け合ったが、成果が出ないことに焦り冒険者に頼ることにしたらしい。
ただ、住人達からの依頼でかつ農村型のために報酬は安く設定されている。
高ランクの冒険者に依頼する場合、報酬は高くなる。
そのため、この依頼はEランク、ほぼルーキーの冒険者の難易度に設定されていた。
「とりあえず受けますよ。他の場所にも行ってみたかったし」
「ありがとうございます。キナ臭いんで誰も受けなかったんですよ。」
「そりゃそうだろうな!じゃあ早速準備しますね!」
オレは、片手をあげ挨拶しギルドを出た。
徒歩で2日は日本にいたときは考えられなかったなぁ……
今回の初依頼は、飛んだりせずに他の冒険者のように足で向かうことにした。
最初からチートを使うのは無粋というものだ。
オレは、脳内でアイテムの一覧を開いて持ち物を確認した。
準備すると言ったものの、必要なものはちゃんとあった。
特に買い出しもせずに、早朝するために宿で早めに寝ることにした。
早朝。
東の空にはまだ太陽が上る前に街を出ることにした。
アンファングの入り口には、夜間を通して警備している、兵士が二人、眠そうにしていた。
「おはようございまぁーす!」
「あぁ、おはよう!こんな朝早くどうしたんだ?」
「冒険者なんで依頼受けたんですけど、ちょっと遠いんで早く出ようかと……開きます?」
「この大きい門は開かないなぁ。けどこっちの扉なら開くぜ!」
そういって兵士の一人が案内してくれる。
それは門の脇にある小屋の中にあった。
それは兵士達が使う扉らしい。
誰も見てない時間だったので、通してくれたらしい。
「ありがとう!助かります!」
「いいさ、冒険者は魔物から街を守ってくれるしな!」
「では、いってきます!」
そういってオレは、初依頼を達成すべくヒルト村へ向かった。




