第五話
遅くなりましたが続きです
「はい、ストップです。雨音先輩も、愛川も。」
俺はこのままだと取っ組み合いの喧嘩に陥りかねないと判断し二人を引き離す為に二人と涙で顔をグショグショにしている弓晴夏海の間に割って入る。
「何よあんた!モブキャラがヒロインであるあたしの邪魔しないでくれる!?」
「斎藤君退いて!その先輩にはまだまだ言いたいことがたくさんあるんだから!」
ん~~~このままだと両方とも引かんな。だったら……
「お言葉ですが先輩、貴方がしたことは弓晴さんが婚約者である六ノ宮景の為に作ったお弁当を叩き落としたとのこと。
……誰の眼から見ても完全に加害者だ。俺も愛川も風紀委員が来たときにそう証言するけど良いのか?」
「っ!!そ、それは……」
うし、効果は抜群だな。後は……
「それに……こんなことしてると嫌われますよ?」
雨音先輩に対し俺は容赦なくこんなことをした知られれば景に嫌われると言外に含ませた事を言い放った。
「っ!!きょ、今日はこの辺にしてあげるわ!!弓晴夏海!!絶対に景との婚約を解消しなさい!出ないと不幸になるわよ!!」
そんな悪の組織のような捨て台詞を言いながら雨音先輩は逃げ去った。
さて、後は……
「斎藤君!どうしてあの先輩を見逃したの!?あの人は夏海ちゃんの思いがつまったお弁当を……」
女子特有の物凄くおっかないオーラで愛川が詰め寄ってくる。
後は愛川を説得しなきゃだよなあ……
「あ~~あのまま言い合いを続けていたら絶対に取っ組み合いの喧嘩になりそうだしな、そうなったら色んな奴が困るだろ?それに……」
「夏海ちゃん!!」
「お姫様が困っていたら王子様が来るし……な。」
俺が声に振り向くとそこには息をあがらせた六ノ宮景がいた。
「あ……景……」
「遅れてごめん!!それよりも大丈夫!?」
「ううん……大丈夫だよ。それよりもお弁当が……」
「そんなのどうでも良いよ!!夏海ちゃんが無事だった……タダそれだけで……あ~~こほん。
それよりもこれはどういうことかな?」
……今更取り繕っても遅いと思うのだが?
近くの生徒が六ノ宮景に起こったことを話すと六ノ宮景の額に青筋が出来るのを俺は見た。
「へ~~~~まだ諦めて無いんだあの人。前にも一ノ宮先輩の婚約者に料理で勝負しておいて料理の自信を木っ端微塵に粉砕されたのに。」
おやまあ…………
「ま、このままだとお昼休みが無くなるからここまで!雨音先輩には生徒会からガツンと注意しておくから!
じゃあ、解散!」
六ノ宮景が手を叩くと野次馬の生徒達はざわざわと言いながら自分の席に戻っていった。
さて俺も昼食を…………財布忘れた。
「つーことで義之、お前の飯寄越せ!」
「やらねえよ!!」
「黙れ!!腹が減ってるのはお前のせいだろうが!!」
「自業自得だ馬鹿野郎!!」
「言ったなこの野郎!!」
俺が義之に飛びかかると義之も応戦を開始する。
周りの生徒も『お、口喧嘩の次はプロレスか?』と、野次馬気味に囃し立て始め……結局この後俺は舞い戻ってきた六ノ宮景に散々怒られ米粒一つたりとも食えずに昼休みは終わったのであった。
……午後の授業どうしよ。
如何でしたか?
次回もお楽しみに!