009話 公爵家令嬢エミルダと初対面する。
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この物語はフェイクションです。
物語中の世界観は独自の世界観で書いておりますので、法律、慣習、習慣、常識等に異質な部分が多々ありますが、其れ含めて楽しんで読んで頂きたいと思います。
アンジュが皇帝直轄領の城に来て1年程が経過し、叔父であるルワイド商会の会長エドワールと出会ってから、叔父と相談しながら領内に様々に産業を起こし発展させてた。
叔父のエドワールからガイアス皇帝に領内の行った改善事項が報告され、皇帝からは領内が発展するのならば、好きにやって良いとのお墨付きを貰ってくれたので好き勝手やらせて貰った。
アンジュが来てからはディストランス山脈の山の麓で塩の生産から始まり、鉱山の麓では鍛冶業に、廃坑となった西側の麓の斜面を利用しワイン用にブドウ園を新設してワイン造りにも着手した。
またアンジュ湖の周辺には果実園を作りリンゴやオレンジなどの果物も栽培を始めたりと産業を増やし、特産品として領内だけでなく他の領にも販路を拡大し、特に塩に売れ行きが最高の収入源になっていた。
その結果として街からは浮浪者が消え職に就き、領内の民達の生活も豊かになった事で税収も倍の増え、ルワイド商会で運営していた傭兵団を直轄領の正式な騎士団として組み入れ魔の森への警戒に当たらせた。
エルドラルド公爵領に本店が在る公爵家所縁のエルド商会もルワイド商会と資本提携を結び塩の生産拡大の為の設備投資と販売を行い、西側諸国にも販路を拡大し大きな収入源に為りつつあった。
ガイアス皇帝との謁見を済ませたエルドラルド公爵が領地に戻り帰宅すると、直ぐに娘のエミルダを執務室に呼んでガイアス皇帝の縁談の話をする。
「エミルダ、ガイアス皇帝との縁談が決まった。直轄領で顔合わせする事が決まったぞ、そこでアンジュ妃との面会も許可された」
「えっ、縁談ですか、はぁ~、最初からそれが目的で陛下との謁見を致したのでしょう」
エミルダはガイアス皇帝との縁談が決まったと聞いてショックを受けるも、アンジュ妃と会えるのは嬉しく感じて、何となく複雑に心境になる。
「仕方がないだろう、それにアンジュ妃の面会となると、そう簡単には下りんからな、ガイアス皇帝の側近か身内意外でない限り縁を結ぶ条件が必要だったのだ」
ザランドは娘のエミルダに縁談の件についての苦しい言い訳をする。
「まぁ、好いわ、それなら縁談の顔合わせの前日にアンジュ妃と面会できる様に手配して下さい。それと直轄地の視察もしたいから早めに行きたいわ」
エミルダは父のザランドに縁談の顔合わせを受ける為の条件を突き付ける。
アンジュの元にもガイアス皇帝とエルドラルド公爵家令嬢エミルダとの縁談の顔合わせと、エミルダ嬢との面会を城で行われる旨の日時が記された訴状が届き、アンジュもそれを読んで安堵する。
「ガイアス皇帝が皇妃を迎い入れるのね、私はこのままこの領地に残れるかもしれないわ」
アンジュは宰相ルキアスからの訴状を読んで希望が見えた気がした。
「そうですね、そうなれば好いと思います」
専属侍女のルイスもアンジュ妃の希望が叶う可能性に喜びを感じる。
エミルダはガイアス皇帝とのお見合の二日前に父親のザランドと共に直轄領に入り、馬車での旅路に車窓から広大なブドウ園とワイン工房を先に目にして、目が輝き感心を寄せていた。
「お父様、あれはブドウ園ですわね。彼方にある建物はワイン工房かしら、何だか好い香りがしてきましたわ」
「うん、そうだな、ワイン作りを始めたとは聞いていたが、それも楽しみだな」
「うふふ、塩もお陰様でだいぶ売れ行きが好調ですもの、真っ白な塩なんて以前はかなり貴重品だったのが、今では安く買える様になりましたしね」
エミルダはブドウ園とワイン工房を馬車の車窓から眺め、その先に在る塩生産工房を訪問し、資本提携しているエルド商会の担当職員から説明を受けた。
エミルダは塩生産工房内に在る生産機器類を見て素晴らしいと感動し、設計したのがアンジュ妃と聞いて驚き、更にアンジュ妃の人柄に興味が強まる。
「エミルダ様、この設備を設計致しましたのが、アンジュ妃で御座います。中々の才女だとお見受けいたします」
「えっ、そうなの、これだけの機器類をアンジュ妃が設計したのですか、私には到底考えも及びませんわ、私以上にアンジュ妃は物凄く才女なのですね」
「そうですね、領民からは奇跡を起こす女神様と呼ばれています。それとかなりの魔法の使い手でもある様です」
「それは本当なの、魔法の使い手とは初耳だわ、凄い方なのね、早く会ってみたいわ」
エミルダは目の前の製造機器などを見て、アンジュ妃の才が人智を越えているのではと興味を抱く。
直轄領内を馬車で進んでいると区画整理された街が新たに造られて建設中のの家屋が幾つもあり、発展していく様が馬車の車窓からも見ていてワクワクする気持ちになる。
領内では主食がパンからパスタへと移りつつあり、領民達はパスタ料理を好んで食べる様になり、それもまた地産地消の名物グルメになっていた。
エミルダはルワイド商会が経営する宿に一泊し、初めてパスタ料理を父のザランドと食ベてその美味しさに舌鼓を打ち感動し、ぜひ我が領でも食べられる様にしたいと思った。
「しかし、僅か1年足らずで凄いですわ、街並みも綺麗に整備されつつありますし、このパスタ料理も美味しい、全てアンジュ妃様がもたらしたとはその影響力は最早人智を越えてますわね」
「あぁ、そうだな、とてもイスダンタル王国から人質として来た側妃とは思えんな、これ程の人材を手放すとは何んと愚かな王家であろうな」
「えぇ、そうね、ましてやアンジュ妃様の母親の故郷がこの直轄地だと聞いて驚いたけど、ガイアス皇帝とも縁戚関係なのですね」
「あぁ、聞いた話だと王国に居た頃は平民の『妾の子』と言われ王家から迫害されていたと聞くがな」
「そうなのね、だから母親の故郷だから、それで本領を発揮した感じなのね」
エミルダはアンジュ妃の王国に住んでいた頃の苦境な環境だったことを聞き胸が痛んだ。
翌朝宿屋から出発して街並みを外れると街道の左右には耕作地帯が広がり、遠くに牧場や養鶏所なども見え、街道沿いには用水路の水の流れが馬車の車窓から良く見えていた。
アンジュ妃が住む城が遠くの小高い丘の上に立つ城が見えてくると、その手前に集落の街路を通り広場の脇を通ると、広場の先で金髪の女性が多くの子供達に囲まれ楽しそうに話しているのが見えた。
「あら、あの方はもしかしてアンジュ妃様かしら、侍女と護衛の騎士を二人後方に立ってるわね、馬車を停めてくれる」
エミルダはもしかしてアンジュ妃様かとも思い馬車を停めて、馬車から降りて金髪の女性に近寄る。
「あの、恐れ入りますが、アンジュ妃様でいらっしゃいますか」
「えっ、はい、そうですが、え~と、今日訪問予定の公爵家令嬢のエミルダ様ですか」
アンジュはドレスを着た青髪の美女を見て公爵家令嬢のエミルダ様かと察した。
「はい、そうです。まさかこんな所でお会い出来るとは光栄です」
エミルダはアンジュ妃が想像以上に綺麗な顔立ちでありながら、服装が町娘の様な格好で飾り気がない方だと思った。
「すいません。まだ訪問時間まで、まだ間があるかと思って散歩していたのですが直ぐに戻りますので、先に城の方でお寛ぎ下さい」
アンジュは流石に不味いと思い、直ぐに戻るとエミルダに伝えた。
「なら、せっかくのなので私もアンジュ妃様と一緒に参ります」
「えっ、宜しいのですか、分かりました。さぁ、皆さん今日はこの辺でお終いね、また一緒にお話ししましょうね」
アンジュはエミルダの誘い乗り、子供達とお別れの挨拶をする。
「「「ハーイ」」」
子供達はアンジュ妃からお別れの挨拶を受けると、元気良く返事をして直ぐアンジュ妃から離れ各々の友達同士で広場の遊具で遊び出す。
「うふふ、アンジュ妃様は随分と子供達に懐かれているのですね」
エミルダはアンジュを見て、子供達に慕われているほどお優しいお方なのだと再認識する。
「えぇ、子供達といると元気を貰えるので楽しいです」
アンジュは微笑みながらエミルダに話すとゆっくりと城の方へ向かって歩き出す。
エミルダはアンジュと一緒に広場から出て街路を歩き、エミルダが馬車に先に城へ行くように伝え、アンジュの領地の発展の功績を称えながら会話を楽しんで行く。
アンジュもエミルダから話される領内の発展についての話題でつい盛り上がり楽しく会話が出来るので、直ぐにエミルダと意気投合して行く。
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