008話 イスダンタル王の誤算とガイアス皇帝の悩み。
この作品を選んで、お読み頂きありがとう御座います。
この物語はフェイクションです。
物語中の世界観は独自の世界観で書いておりますので、法律、慣習、習慣、常識等に異質な部分が多々ありますが、其れ含めて楽しんで読んで頂きたいと思います。
イスダンタル王国の国王バランダルは何とか人質の役目を『妾の子』のアンジュ王女を側妃として帝国側に嫁がせてから1年が経った。
アンジュを人身御供にして、その場凌ぎで自分の首を繋げたが敗戦による多大な被害と負債が大きく両肩に圧し掛かり財政難に苦しみ政情不安に悩んでいた。
ガイザダール帝国からの多額な損害賠償を求められ、払えない分は領地を譲渡としたこともあり、戦死者は1万人を越え捕虜に2千人もの兵士が囚われてる。
王国内では男手不足となりあらゆる産業に打撃を受け、特に農作物が思うように収穫されず、全体的な労働不足が生じ経済が停滞するなど踏んだり蹴ったりの状態に陥り税収も減少して行く一方である。
領地を持つ貴族からも不満の声が上がり、国境沿いに領地を持つ貴族は王家を見限り隣国へ応援要請を願い出る始末となり、王家の求心力にも陰りが見え始めていた。
「うっ、このままでは不味い、何か打つ手がないものか」
国王ビハインは国政が行き詰まり執務室の机の上で頭を抱える。
「陛下、ケティアナ王女殿下を友好国の王家に嫁がせ支援を受けるしか方法が御座いません」
宰相ユグルスは頭を抱える国王ビハインに唯一の方法を提案する。
「う~ん、ユグリスよ、それで嫁ぎ先の国は選定しておるのか」
国王ビハインは金の掛かるケティアナ王女を養うのが厳しい状態となり、手放したくはないが国の安定を図る為には仕方がないかと思い悩む。
「はい、南の経済大国であるイグランド王国の国王ザライアン様の元に、ケティアナ王女の美貌でしたら、彼の好色の国王なら喜んで多額の支援をしてくれるかと」
「う~ん、仕方があるまい、打診してくれ、支援金の額も忘れずにな」
国王ビハインは保身のために可愛い愛娘を売る事を決断した。
「ハッ、早速イグランド王国へ打診致します」
宰相ユグリスは内心で愚かな王だどほくそ笑み、クソ生意気なケティアナ王女を追い出し叩き売る手筈を秘かに整えていた。
様々の思惑が交差していく中でイスダンタル王国が崩壊へと転がり始め、それが静かに着々と進んでいるのに気が付かず、愚かな王家はそれでも贅沢な生活を続けて行く。
ガイアス皇帝はイスダンタル王国との終戦後半年が経過し着々と政権の基盤を固めていく中で、イスダンタル王国の王家の様子を探るために間者を送り偵察をさせる。
イスダンタル王国の崩壊の危機に巻き込まれないように新たに得た東側の領土の国境の防御に損害賠償金の資金を投資し守備を固めて行く。
捕虜にした兵士の中で独身の若い兵士千人程を懐柔し帝国の市民権を与え、賃金を払い普通の生活をさせ砦と防御壁の建設の仕事として警備兵として雇い入れ、国境警備と捕虜の兵士の労役の監視をさせてたりして厚遇をした。
新たな東の領土のなった領地に住む領民達にも1年間は無税として生活環境を整え、王国の時よりも豊かに暮らせる様に支援物資を与えたりと厚遇し領民達を帝国の民として同等に扱った。
ガイアス皇帝は基盤を固める上で三つの悩みを抱えており、一つは新たに領土となって得た領地の当主を誰にするか、二つ目は皇妃問題もありアンジュの待遇をどうするか、それと残りのもう一つが政権を安定させる上でもっとも重要な鍵となる。
その三つ目が戦争で貢献してくれたエルドランド公爵との関係をどうやって築きかであるが、帝国一と言われる程の帝国の西側に領土を持ち強力な騎士団を保持し誇り高き貴族であり、前皇帝でも下手に手出しが出来ない程の実力者であった。
エルドランド公爵領は西側の国境線に帝国領土の1/10を占める領地を持ち、西側諸国との交易が盛んで地産産業も盛んであり、税率も最低税率に抑えて領民達も他の貴族領の領民とは比べ物に成らない程の豊かな生活を営んでいる。
エルドラルド公爵にはエミルダと言う18歳になる娘が居り、美しく才能溢れる才女ではあるが婚姻に全く興味が無く、父の領地経営の補佐をしながら領地が繁栄する仕事に生甲斐を感じていた。
「エミルダ、そろそろ結婚を考えてみてはどうだ」
ザランドは娘のエミルダの将来を想い、婚姻適齢期を迎えた娘の幸せの為に婚姻に付いて話す。
「あら、お父様はまさか私がお邪魔だと言う事ですか、私は殿方に興味等ございませんのに」
エミルダは結婚については全く興味がなく、それよりも領地を発展させる事にしか興味がなかった。
「そうでは無くだな、けしてエミルダを邪魔だと思った事はないが、何時までも独身と言うのはどうなのだ。私も早く孫が欲しいのだが長男のルディルスはまだ幼いしな」
「うふふ、お父様が孫が欲しいなんて、まだそんな歳でもないでしょう、ところでお父様、旧ルワイド侯爵領が急な発展をしているのをご存知ですか」
「あぁ、今は皇帝陛下の直轄地となっいる所だな、噂ではイスダンタル王国から来た側妃アンジュ妃が発展させたと聞いているな」
「えぇ、お父様、ですから私どうしてもアンジュ様にお会いしたいのよ、手配してくれますか」
「そうか、ならばガイアス皇帝に謁見するから、その時に許可を頂ける様に働きかけてみよ」
エルドラルド公爵はガイアス皇帝に娘のエミルダとの縁談の話を進める目的で謁見をする予定であった。
「えぇ、お願い致しますわ」
エミルダはアンジュ妃がどんな方なのか興味を抱き、出来れば親しい関係になりたいと思っている。
エルドラルド公爵は帝都へ謁見の為に馬車に移動中に娘の幸せと帝国の今後の事を見据えて、皇妃にエミルダが収まれば大手を振ってガイアス皇帝の後ろ盾が出来ると確信していた。
ガイアス皇帝は宰相のルキアスと共にエルドラルド公爵の謁見での対応を事前に協議をしており、予測として皇妃問題を取り上げられエミルダ嬢との縁談の話に及ぶだろうと予測して頭を抱えていた。
「陛下、明日のエルドラルド公爵様との謁見ですが、恐らく御息女のエミルダ嬢との縁談の話になると思われますが、如何なさるお考えでしょうか」
宰相のルキアスも何時までも皇妃を迎えないのは流石に不味いと感じ、有力貴族から縁談話を悉く断り続けるガイアス皇帝に痺れを切らしていた。
「はぁ~、俺はまだ皇妃を迎える心算はないぞ」
「そうは言っても陛下も25歳になります。幾らアンジュ妃を形式上側妃として娶っているとは言え、直轄地の城に住まわせ一度もお会いになっていません。それでは独身と変わりませんよ」
「うっ、それは・・・・・」
「それにエルドラルド公爵を敵に回すと、これからの政権運営に支障をきたす恐れがあります。味方に付けないとこれから推し進める政策にも公爵様の協力が必要不可欠です」
「それは確かにな、そうだが・・・」
「それにアンジュ様も母君の故郷から離れたくないとの事です。陛下の一臣下として協力させて欲しいとの話も耳に届いております。ですからエミルダ嬢を皇妃として迎えるのに支障がないと思われます」
宰相のルキアスはその後もガイアス皇帝に畳みかける様にエミルダ嬢との縁談に前向きに考える様に進言し、ガイアス皇帝も流石に右腕のルキアスの進言を無視できなくなり了承する。
こうしてエルドラルド公爵との謁見の時を迎え、謁見の間に姿を見せたエルドラルド公爵が玉座に座るガイアス皇帝に一礼してから本題に入った。
「この度は陛下との謁見の時間を頂き感謝致します」
「いいや、エルドラルド公爵には先の戦争での功績があるからな、私としても何か褒章を与えたいと考えていたのだ」
「褒章ですか、それは有難い事で御座います。ならば希望としては陛下の妃として娘のエミルダとの縁談をぜひお考え下さい」
「そうか、しかしエミルダ嬢はあまり結婚には興味がないと聞いているが」
「しかし、親としは適齢期を迎えておりますが故に、しっかりした相手と結婚させたいと思っております。もし娘のエミルダを妃にして頂けたなら、臣下として寄りいっそう陛下に忠誠を誓い協力させて頂きたいと思います」
「う~ん、ならば本人が良ければ婚約しても良い。その先についても本人との意見も聞いて決めると言う事でどうだ」
ガイアスは隣に立って控えている宰相のルキアスの顔をチラと見てから、エルドラルド公爵に答える。
「これは有難きお言葉です。では娘のエミルダにもその様に伝えます。ところでエミルダが側妃のアンジュ妃様との謁見の許可を頂きたいと申しておりまして、ぜひ許可を頂きたい」
「アンジュ妃との謁見ですか、目的は何かあるのか」
宰相のルキアスは公爵の予想外の申し出に何か意図があるのかと疑念を抱き、思わず目的を聞いてしまった。
「目的と言うか、エミルダが直轄地の発展がアンジュ妃様の功績だと思っいる様で、ぜひ会って話がしたいと出来れば親しい関係を築き、我が領地の発展に繋げたいと言ってましたが」
「ならばアンジュが居る直轄地でエミルダ嬢と会おう、私もそろそろアンジュ妃と会わねばならんと思っていたところだ。公爵殿もエミルダ嬢と一緒に同行してはどうだ」
ガイアスはエミルダとの婚約の話を進めるにしても、アンジュとの待遇についてもそろそろ話し合う時期だと思い、ならば纏めて一堂に済ませた方が良いと判断してエルドラルド公爵に提案した。
エルドラルド公爵もガイアス皇帝の提案を受けて、せっかくの機会なので一気に話が進めることが出来ると判断して同意した。
お読み頂き、ありがとう御座います。
もし面白いと思い頂けたなら、ブックマーク、いいね、リアクションの評価をして頂きますと励みになりますので、宜しくお願い致します。




