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国王の「妾の子」と呼ばれ王家から無視された王女は敵国の皇帝の側妃(人質)として嫁がされる。  作者: ロザンド


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5/10

005話 ガイアス皇帝の思惑。

この作品を選んで、お読み頂きありがとう御座います。

この物語はフェイクションです。

物語中の世界観は独自の世界観で書いておりますので、法律、慣習、習慣、常識等に異質な部分が多々ありますが、其れ含めて楽しんで読んで頂きたいと思います。

 アンジュが好き勝手に城の周辺の街や集落を視察して周り、民達の抱える問題などを魔法を駆使して解決して周り始めて6日が経った頃、古城まで護衛をしていた騎士のルファンがガイアス皇帝と謁見をしていた。


「ルファン、ご苦労だったな、それで人質の姫君はどうだったんだ」

ガイアス皇帝はルファンに人質として側妃に嫁がせたアンジュの人柄を問いかける。


「ハッ、アンジュ様は正直言って人質としての価値は薄いです。妾の子と言うことで王家から迫害を受けていた様です」


「はぁ~、やはりそうか、それでその姫君の取扱いはどうするかだな」


「そうですね、中々面白い姫君でした。旅路の途中で魔物の群に襲われた時に先頭に立って魔法で魔物達を討伐しておりまして、我々の出番がほぼなかったのです・・・・・」

ルファンはアンジュとの旅路での出来事の全てをガイアス皇帝に報告する。


ガイアス皇帝はルファンから聞くアンジュがただの姫君という訳ではなく、少し興味を持つ様になり、最後にアンジュの母親の話を聞いて驚く。


「なに、そのアンジュの亡くなった母親が帝国からの追放者だと、名を何と言うのか聞いているのか」


「はい、ルジュンと聞いておりますが、でも追放刑は貴族以上の立場の者が受ける刑なので気になって入るのですが」


「ルジュンか、まさか、あの愚かな叔父ルイジナ大公が皇子時代に婚約破棄した婚約者の名と同じだな、しかし敵国の王城で下級メイドとして働いていたとわな」


ガイアスは幼い頃にルジュンと何度か会った事があり、当時の第3皇子ルイジナの婚約者で叔父に代わって執務をしていたのを思い出し、時々執務室へ訪れ遊んで貰い優しく儚げな美しい令嬢であったのを思い出す。


「えっ、陛下が一番最初に断罪した。あのルイジナ大公のですか」


「あぁ、恐らくな、謂れのない罪を擦り付け婚約破棄した挙句に国外追放したと聞いている。俺の母の実家でもある婚約者の侯爵家まで巻き込んで爵位剥奪までしたからな」


「偶然ですか、アンジュ様を送った領地が確か旧ルワイド侯爵領だったと思いますが」


「あぁ、そうだな、ルファンに命じる。こっちの粛清が片付くまで、そのアンジュ妃の護衛と監視を頼む。それと定期的に報告書を送るようにな」


「ハッ、畏まりました」


「うん、それと使者を一人アンジュ妃の側妃としての婚姻契約書を持たせるから、一緒に連れて行ってくれるか」


「はい、分かりました。明日発ちますから、その時に城で合流して向かいます。それでは失礼します」

ルファンはガイアス皇帝に一礼して謁見の間から退出して行く。


「あぁ、頼んだぞルファン・・・・・アンジュか」

ガイアスは一言告げてルファンを見送り、姿が見えなくなると天井を見上げてアンジュの名を呟く。


 まさか人質として側妃を娶ったのが、従姉の娘だとは何と言う皮肉なのか、だがイスダンタル王国には警戒が必要だと判断し、新たな国境線に砦の建設を進めることにした。


「ルキアス、イスダンタル王国との新たな国境線の防御壁と砦の建設を予定通り進めてくれ」


「仰せのままに、陛下、これから執務室で執務の続きをお願いします」

宰相のルキアスはガイアス皇帝の指示に返事をしてから次の予定を伝える。


「あぁ、分かった。今から戻る」

ガイアスは執務を行う為に玉座から立ち上がり、宰相のルキアスと共に執務室へと向かう。


 ガイアスは執務室へ戻ると執務机の椅子に座り、溜まった書類に目を通しサインをしていくと、宰相のルキアスがガイアス皇帝に側妃のアンジュの取扱いをどう考えているのか問い掛ける。


「陛下、アンジュ妃の取扱いをどのようにお考えですか」


「あぁ、そうだな、今の段階ではどうするか白紙だ。ルファンから送られる報告書を読んでから適正に考える心算だ。ただその前に一度は視察を兼ねて会いに行くがな」


「そうですか分かりました。会いに行く際は余裕を持ってお知らせください日程の調整を致しますので」


「あぁ、ルキアスところで影からの報告は届いているのか」


「はい、陛下、今のところ少しずつですが届いております。私の判断で出来る小者については指示を出し適切に処理をしております。陛下の判断が必要な大者については私の方から報告致します」


「そうか、分かった。今は腐った膿を出し切るのに専念しよう」

ガイアスは宰相のルキアスの回答を聞き、目の前に積まれた書類の山の処理に励む。


 ガイアスは手始めに皇城内で不正を働く者達を次々と排除していき、若く忠誠心のある優秀な従者達に重要なポストへ就けて行き、風通しを良くし効率良く仕事が出来る環境を整えていた。


皇城内の膿を出し終え次は領地経営を行う貴族に向けて着手を始め、先ずは税制改正を行い最高税率を定めた。


民達に必要以上に重税を課すことを禁止し違反した貴族には爵位剥奪と財産没収とするという厳罰を定めた。


 ガイアス皇帝は25歳となり今の段階では正式な皇妃や側妃が居らず独身であり、アンジュが皇妃を含む側妃として娶ったのは初めてである。


ガイアスは皇帝に就任するまで紆余曲折あり、立場的に第7皇子であった為に当時の皇帝からはあまり期待されておらず、後見人がルジュンの実家のルワイド侯爵家であった。


ガイアスの母は当時のルワイド侯爵家の当主の末の妹であり、当時皇弟である婚約者として皇城で会うルジュンとは従姉に当たり、見掛けると甘えて遊んで貰っていた経緯がある。


ガイアスは当時は大好きな従妹のルジュンが謂れのない罪で断罪され皇弟のルイジナ大公に婚約破棄され国外追放され、同時に後見人であったルワイド侯爵家も爵位と財産を没収し平民落ちされてしまい後ろ盾を無くす。


そのショックでガイアスの母も病に倒れ、その3年後にこの世から亡くなり、ガイアスは皇族の中で天涯孤独となり、その頃からガイアスは叔父であるルイジナ大公を恨み復讐心を抱き剣技を磨くことに没頭する。


ガイアスは成人を迎えると直ぐに騎士団に入り剣技を磨き、入団してから3年後には北側の国境の警備隊の隊長に就任したが、その後直ぐに皇帝が病に罹り重篤となり倒れた事で皇族間で血で血を洗う後継者争いが勃発した。


後継者争いも佳境に入った頃に東側のイスダンタル王国から宣戦布告を受け戦争が始まり、最後に生き残ったルイジナ大公だが苦戦に継ぐ苦戦が続き指導力に陰りが見えた。


帝国の危機に直面したガイアスは北の国境警備隊の200人を残し、100人の警備隊の騎士達を引き連れ皇城に戻り指揮を執るルイジナ大公を討ち果たし、ガイアスが実権を握った。


ガイアスが実権を握ると戦場へ赴き先頭に立ち指揮を執り、イスダンタル王国軍を次々と撃退し後退させイスダンタル王国側の国境地帯まで追いやり、更に進軍した所で休戦となり、その間に戦争終わらせた英雄と称されたガイアスが皇帝に就任した。


 ガイアス皇帝は戦争からの復興と腐った役人や貴族の粛清と問題が山積しており、アンジュを人質として側妃に向えても対応する余裕が無いのが現状であり、母の故郷でもある南端の辺境の領地にアンジュを住まわせる事にした。


  ルファンは皇帝の使者を連れて1週間程でアンジュが住まわせている領地に入ると、以前来た時とは雰囲気が変わっていた事に驚く。


干上がっていた小川には透明の水が潤沢に流れ、枯れかけていた畑の作物には青々として沢山の実がなっており、元気に働く民達も笑顔が戻り活気づいている様に見えた。


 街の中に入ると閑散としいた街並で民達もその日を生きるのがやっとな感じで元気が無かったのハズが、店先には瑞々しい野菜類が並べられ、それ以外の商品も大量に並べられ、行き交う民達も笑顔があり活気もあった。


「これはどう言う事だ。それに前に来た時は古びた城だったのに、何時の間に修繕したんだ」

ルファンは領内の光景が以前来た時とは全く真逆な感じとなり、まるで違う世界に来たような気分になる。


 ルファンは何が起こったのか全く理解できず、何でこんな事になったのか気になって仕方がなくなり、一人先に綺麗なった城へ向かって馬を走らせて行く。

お読み頂き、ありがとう御座います。

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