魔王様は勇者に一つの提案をする
前回のあらすじ
魔王と勇者は表裏一体大変だぁ
「……分かりました」
「うん、よろしくね」
ふわりと微笑むと、そのままぱちんと空気を変える様に彼は手を打った。
「とりあえず勇者と魔王の暗〜いお話
はここまで!そうだな、あと君にはこれからどうするか聞いておこうかな?」
くるりと振り返り問う声に、一瞬身体が固まる。
正直元の国には帰りたくなんてない。広い世界を、優しい人たちを知った以上あの冷え切った檻の中には戻りたくない。それが個人的な見解である。
しかしそれは伝えて良いことか?
無意識に握りこんだ拳にこちらを見据える赤の瞳が揺れた。
「一遍に色々言いすぎちゃったね。君の未来を大きく変えてしまうかもしれないことだから、ゆっくりで良いよ」
でも、困ったら相談には乗るからね、優しく言うその人。
その今までの周囲と違い、打算の透けて見えない態度に、声に一瞬で先ほどまでの躊躇を捨てても良いと思った。
それにこれから居たい場所は決まっている、あとは言うだけ。
一つ息を吸い、覚悟を決める。
だって、もう俺の中では天秤にかけるまでもないほどに固まってしまっているのだから。
「あの、魔王様。」
「もしかしてもう、君の中では決まってたのかな?」
「はい」
決めても、ぎゅうと心臓が締め付けられそうなほどに緊張する。
「私は、もう国に戻らずここで生きていきたいのです」
だめでしょうか、呟いた直後、一瞬だけ止まった時。少しぽかんとした顔を浮かべた次の瞬間彼はこくりと頷いた。
「ダメなわけないよ!国民が増えるのはとっても良いことだもの」
君みたいに前途ある若者なら特にね、そう言う魔王様は心底嬉しそうだ。
「良いんですか……?」
「もちろん。それにそれだけうちの国が気に入ってくれたって事でしょう?王としてそれ以上に嬉しい事はないよ」
でもね、彼は続ける。
「流石に何の後ろ盾もなく、一人の子を何もかもが違う社会に放るのはあまりに無責任だと思うんだよね」
「はぁ……」
「だからさ、ディートリヒ君。君さえよければ余の息子になる気はない?」
やっっっっっっと!!!タイトル回収できます!!
5話目でやっとタイトル回収!!
でも回収からが本番ですから!
次回予告:漸くヒロイン登場?




