魔王様から、勇者の卵に語られるお話
前回のあらすじ
先代勇者の異名は魔王喰い(性的な意味で)
「あ、お願いします」
「うん、あのさ。ディートリヒ君、勇者にしか魔王は殺せないってなんか可笑しいと思わない?」
提示される一つの問い、
それはある種幼い頃から毎日毎日来る日も来る日も言われ続けた言葉の破壊。
あ、お茶どうぞ〜、なんて言葉と共に軽く問われたこと、それは口調の軽さに反して自らの存在意義を揺るがすかもしれない可能性の欠片。
思考を巡らせる。
現状、討たれたはずの魔王は生きており、先代勇者も未だ生きているという事実。
そして、おそらくその理論でいくともう一人、自分と対を成す魔王が存在する可能性。
「……もしかして、勇者と魔王は対の存在で、勇者も魔王にしか殺せない?」
そこから導き出されるひとつの過程。
あまり信じたくも当たっている気もしないが、と目の前の片方だけ覗く麗しい赤を見据える。
「おっとディートリヒ君は随分聡明な子みたいだね?そこまで予想できるなら、余はちょこっとだけ補足するだけで良いか」
ぽふ、ひとつ手を叩いた彼は、白銀の髪を翻し立ち上がると、一冊の手記を開いた。
「ご明察の通り、勇者と魔王は表裏一体。それにね、勇者も魔王も肉体が最盛期を迎えるとそれ以上はカラダの時が止まっちゃうんだ」
掠れた文字を追いながら、飽くまで淡々と続ける。
曰く、自分達は光と影だと。
そして、魔王が魔王になるには勇者を殺し始めてそうなれると。
「?」
「分かりやすく言うと、余はヘルマに殺されるし、ヘルマは君に対応する魔王が殺すの。それで初めて継承が成立して、また次の勇者と魔王が生まれる」
昔は今みたいに揃って待つ形式じゃなくて、死ねなくて彷徨う勇者を探しあげて殺すって部分が魔王になるための試練だったんだって。
語られる内容は恐ろしい事だ。
長い勇者で数十年。
その絶望しようやく死ねると魔王に縋る姿を目の当たりにした、今から八代前の魔王から現在の様に魔王の元にやって来た勇者にこの説明を行う様になったという。
「それまであっさり会っちゃってたんですか?」
「うん。本能で先代に対応する勇者ぶった切ってたみたい」
「本能で……とりあえずここ数代は常に勇者と魔王、それにその卵が存在していると?」
「そういう事」
つまり厳密には君は勇者の卵なんだよ、そう彼は言った。
「あと余たちが死んだら、次の子達が来るまでは君は魔王ちゃんを討伐しないであげてね」
このシステムの方が色々楽だから。そんな風に自らの先までも、明るく済ませてしまう魔王という存在に背が凍る様だった。
そろそろタイトル回収したい(・ω・)ノ
こっそりタイトル誤字(阿呆)修正+活動報告の方にちらっとディートリヒ君の名前の意味と彼の容姿についてを書いておきました。
ただ、自分なりの解釈のある方はその解釈を胸に、活動報告の方は読まない方が良いかもしれません。
ちなみに私の頭の中にこそありますが、作中でディートリヒ君の詳しい容姿を書く予定は今の所無いので、完全に皆様のご想像にお任せします。
(自分の魔王様や勇者たちはこんなイメージだ!!があったら教えて頂けるととても嬉しいです)(すごく嬉しいです)(地にひれ伏すぐらい)
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