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いつも君がいた  作者: 遙香
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097:大切な人



 伊織は自分の首筋に顔を埋めている零を優しく抱きしめる。

「零・・・顔、見せてくれよ。」

ずっと零の顔を見たいって思ってたのに、気持ちを抑えられなくてキスが先になっちまった、と照れるように言う伊織に零は身を起した。

伊織の膝の上に座って、こんなにも近い距離にいられる事が幸せでたまらない。

「零、逢いたかった。ずっと零の事ばかり考えてた。」

「私も・・・」

「誰にも、触れられてない、よな?」

伊織の手が零の肩に触れる。

「・・っ!」

ビクン、と痛みに身を固くする零に、やっぱり、と伊織のまなざしが鋭くなる。

「零、左肩、見せてみろ。」

「や・・何もないよ?平気だから・・・」

「お前が平気って言う時は、何か辛い事があった時なんだよ。何があった?」

伊織の瞳の奥に怒りの炎がゆっくりと広がって行く。

「いいから、見せろ。」

やわらかなパジャマの首元に伊織の手がかかる。

「や・・ちょ・・・待って!」

慌てる零に対し、伊織は強引に、ではなくゆっくりと肩口を露わにした。

「な・・何だよこれ?誰に・・何されたんだ?!」

まだ少し腫れて、くっきりと残る痣に、伊織の怒りが燃え上る。

「私・・・一人でも・・・平気って・・・」

キャンパスで起きた事を話して泣きだした零を抱き寄せて、伊織は髪を撫でる。

「・・・そうか・・・でも・・・無事でよかった。」

そう言って伊織は痛々しい痣に口づける。

「・・・やっぱり、かおるの野郎には零を任せられないな。零に傷を付けさせるなんてナイト失格だ。」

抱きしめる伊織の腕は優しくて、零は伊織の胸の中で瞳を閉じる。

「まだ腫れてるな・・・治療、してないのか?」

「うん・・・」

優しく撫でてくれる伊織の温かい手が心地いい。伊織に抱きしめられていると、不安や痛みは消えて、穏やかな温かさに包まれる。

「零、そばにいられなくてごめんな。」

耳元で囁く声。

「もう、放さないからな。」

「うん・・・」

耳に微かに触れる伊織の唇がくすぐったくて身じろぎする零を伊織の腕が拘束する。

「絶対に、誰にも傷つけさせないから。」

「ん・・・・」

優しく重なる唇に零は瞳を閉じる。こんなにもドキドキして、こんなにも温かくて、こんなにも幸せな場所は、きっと他にはないだろうと思う。

「俺、零が手の届かない場所にいる事が、こんなにも苦しい事だと思わなかった。」

伊織は零を腕の中に抱き寄せ、首筋に顔を埋めている零の髪を撫でる。

「もっと、平気かと思ってた。2週間くらいすぐに過ぎるだろうって。でも・・・今頃何してるんだろう、って考えれば考えるほど苦しくて・・・逢いたくてたまらなかった。」

伊織の言葉に、自分と同じような寂しさを感じていた事を知った零は、苦しいほどの切なさを覚える。

「俺がいなくても、かおると笑い合ったりしてるのか・・・とか余計な事考えて勝手に嫉妬したりさ。俺・・・ホント駄目だ。」

苦しげな伊織の声。ぎゅっと抱きしめる腕の力が強くなる。

「零の事、他の誰かに任せるなんて、やっぱり無理だ。いつも、零の一番近くにいたい。・・・零に、触れたくてたまらなかった。」

髪を撫でていた手が、零の頬に触れる。大きくて暖かい伊織の手に優しくいざなわれて顔を上げると、背筋がぞくぞくするような伊織の妖艶さと優しさの入り混じった視線が零を捕らえた。

「零、好きだ。」

「伊織君・・・私も、好・・・っん」

零の言葉を伊織の唇が奪う。確かめるように、何度も重ねられる唇は次第に熱を帯び、繋がりを求めるように深くなった。

「零・・・好きだ・・零・・・」

何度も名前を呼びながら重ねられる唇に苦しいほどの幸せを感じながら、零は伊織の首筋にしがみつく。

「・・・んっ・・・伊・・織・・く・・・ん・・・」

頬に触れていた伊織の手が零の首筋をたどり、パジャマの首元から覗いた肩の痣に触れる。

「俺の・・・零・・・」

壊れものに触れるようにそっとふれる伊織の指先がくすぐったくて思わず身をすくめると、少し大き目のパジャマがするりと肩を滑って肩口が露わになった。

「・・・ぁ・・・織・・く・・っ!」

狂おしい程に深く絡み合っていた唇がほどけ、伊織の唇が首筋を伝う。燃えるように熱いその唇に零は身を固くした。

「・・・っぁ・・」

喉元に伊織の唇が絡みつき、零は思わず小さく声を上げた。

「もう、誰にも触れさせない。」

伊織が残した痕に、零は恥ずかしそうに微笑んで、伊織の頬にキスをした。

離れていた分、あまあまで。

デレ期です。



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