084:夜中の会話と
今回R15(+)です。苦手な方は回避してください。
(ところでどこまでがR15なのでせうか・・・もっと行ってもいいのかな。むしろ行きたい。)
文字通り、零を自分の部屋へ連れ去ってきた伊織はソファーに腰を下ろして膝の上に零を抱き寄せる。
「俺の部屋なら、邪魔が入らないからな。」
そう言って伊織が微笑むと、零もそうだね、と小さな笑顔を返した。
「零、泣かせるような事を言ってごめん。悪かった。」
まだ少し潤んでいる零の瞳をまっすぐに見つめて伊織は言葉を紡ぐ。
「前にも言ったけど、俺をこんなに不安にさせて、俺をこんなに怯えさせるのは、零だけだ。好きすぎてこの俺様が臆病になってる・・・。弱みを見せるのも怖くて平気な顔してるけど、零の本心を聞くのも怖くて、聞けずにいるだろ?お前の事なんか好きじゃねーよって言われたら、俺多分立ち直れねーからな。」
まっすぐに零の瞳を見つめてそう言うと、伊織は照れたように少し笑い、零の頭を自分の首筋に抱き寄せた。
「零、俺がお前の事を命と引き換えに出来るほど好きだって、どうしたら伝わる?」
「え、そんな・・・」
「零が俺の前から消えたら、俺もこの世から消えるって、本気で思ってるぜ?前にも言ったけど、零は・・・俺が強引だから、仕方なく側にいるのか?」
伊織の言葉に零の心の奥が痛くなる。いつも自信に満ち溢れている伊織の瞳に影が差し、本当に泣き出してしまうのではないかと思う程の深い不安の色が満ちる。
「零の、本心が知りたい。」
伊織の瞳の奥に揺らめくのは、哀しみ?不安?伊織らしくない迷いを含んだ表情に零は戸惑う。いつも有無を言わせぬほどの強引さと自信、そして、むちゃくちゃな事をしているようで筋の通った言動に戸惑いながらも安心できていたのに。
「わ、私・・・」
ふっと、小さく息を付く。いつも、逃げていた。
いつも当然の様に好きだと、そばにいろと、言ってくれる伊織に甘えて自分の心を知る事からさえも逃げていた。
でも、伊織がこんなにもまっすぐに想いを伝えてくれているのに、自分だけ逃げるのは卑怯だ。
「最初は怖い人だと、思ってた。いつも勝手な事ばかり言って、私のことからかってるんだって、思ってた。」
「まぁ・・・そうだろうな。こっち向いてもらうために、いろいろやってたからな。」
「でもね、お前がいない未来には価値がないって言ってくれた言葉に、すごく救われたって言うか・・・
今までいろいろイジメとかあって、あまり人と深く関わるのが怖くて、逃げてばっかりだったけど、伊織くんは本当に守ってくれるのかなって思って・・・。」
「当たり前だ。守るって、言ったろ?」
「こんな気持ちになったのは初めてなの。伊織君が側にいてくれると、とっても安心できて、離れていると淋しくて、ホントはもっと、一緒にいたくて、じゃあまた明日ねって、離れるのが淋しくって・・・。みんながいるところでもね、何も隠さずに堂々としていてくれるのが、恥かしいけど守ってもらえてるんだなって思えて嬉しくて・・・でも、伊織君がすごくモテる事も知ってるし、綺麗な女の人がいつもいっぱい回りにいるから、そんな風に思ってるのは私だけで、ホントは私は寮にいる間だけの暇つぶしの遊び相手なんだって・・・そう思って、だから、どんなに一緒にいたくても、また一人になっちゃうんだって、そう、思って・・・」
「零、ちょっと待・・・」
ぽろりと零れ落ちた大粒の涙に伊織は焦る。零の涙。何よりも伊織を慌てさせる。
「私、伊織君の側にいたいの。でも、私が伊織君に釣り合わないのは分かってるの。だから、これ以上好きになるのが、怖いの・・・。」
涙声。零の言葉にはいつも、イツワリの影はない。
「零、好きだ、愛してる!」
零の華奢な身体が、折れてしまうのではないかと思うほど強く抱きしめる。
心が痛い。
痛いほどに愛しい。
そんな風に思っていたなんて。もっと早く、聞けばよかった、と思う。愛しすぎて押さえが利かない。
「好きだよ、零。俺だって、これ以上好きになるのは怖いけど、一言話すたびに、顔をあわせる度に、どんどん好きになる。もう、零がいない人生なんて考えられない。」
「伊織く・・苦し・・・」
「・・・あ、ごめん・・・」
ふわり、と腕の力をとく。
「零。零はもっと自信を持つべきだ。俺は零以上に純粋で、優しくて、美しい人に逢った事がない。」
「そんな・・・」
「零はどうすれば、不安じゃなくなる?俺が何をすれば、何を言えば、不安じゃなくなるんだ?零が望む事なら、どんな事でもする。」
まっすぐに瞳を見つめて紡がれる伊織の言葉に零の胸の奥が苦しくなる。
「Bitte glauben Sie mir.(俺を、信じて。)」
「今すぐじゃなくていい。零が心から俺を信じて笑ってくれるまでずっと努力するから、俺の側にいろ。俺は絶対に零の側にいる。何があっても、絶対にだ。零、好きだ。飽きるほど言うからな、覚悟しとけよ。」
「零・・・好きだ。」
「伊織君・・・」
「好きだ。」
まっすぐで強い瞳。少しも照れたりせずにまっすぐに思いを伝えることのできる強さが零の心に刺さる。
「零、キスしていい?」
「え・・・」
もう何度もキスしているのに、そう言われると恥かしくて真っ赤になってしまう。そんな零を見て伊織はクスリと笑ってチュッ、と音を立てて一瞬唇を重ねる。
「零はどうしてこんなに可愛いんだろうな?」
伊織はそう言って零の身体をソファーに押し倒し、まっすぐに瞳を見つめる。
「あ・・い・・伊織く・・っ!」
「好きだ。」
熱く重ねられた唇に零は思わず身体を固くする。情熱的な伊織のキスはいつも零の心を溶かし、頭の中を真っ白に塗り替える。
重なった唇は熱く燃えるようで、伊織の舌が誘うように零の唇をたどる。そのくすぐったいような刺激に唇を開くと伊織の舌がスルリと零の口中に滑り込んで零の舌を絡めとった。
「・・・んっ・・・!」
伊織は零の反応を楽しむように深く口付け、ちゅっ、と音を立てて零の舌を吸う。
「・・・んっ・・んんっ・・」
息が出来ないほどの口付けの身体の芯が痺れるような感覚に零は何も考えられなくなっていく。
「零・・・好きだ。目を開けて、俺を見て。」
唇が触れる距離で囁かれる甘い言葉。いつも挑戦的で毒のある瞳が、零を見る時だけは優しく穏やかな光に満ちる。
再び深く重なった唇の間からは吐息だけが漏れた。
「・・・・・」
どの位、そうしていたのだろう。伊織の唇が離れると、零はまっすぐに伊織を見る事が出来ずに真っ赤になって俯く。何度もキスしているはずなのに、何度キスしても慣れない。
「零は本当、かわいいよ。」
このまま、食べてしまってもいい?と冗談とは思えない眼差しを向けられると零は思わず視線をそらせ、ハッと身体をこわばらせた。
・・わ、わ、私、今、この、状態って・・・
甘すぎるキスで思考が止まっていたが、ソファーの上に押し倒されて、自分の身体の上に、伊織の身体がある。その近すぎる距離に零の身体は一気に熱くなった。
「零?・・・どうした?何期待してんの?」
真っ赤になった零に、伊織は意地悪に問いかける。
「なっ・・・何もっ!」
「・・・期待してくれた方が、俺は嬉しいんだけど?」
伊織はそう言って零の首筋に顔を寄せ、耳の後ろに口付ける。
「・・・っ!」
「・・・・痕、付けてもいい?」
「えっ、あ、あのっ・・・」
・・・そ、そ、そんな、そんなこと言われてもっ!
身体中の血が沸騰してもはやまともな思考能力が機能していない零は伊織の腕の中でただただ身体を固くする。
「・・・零は俺のものだって言うしるし・・・もっと、目立つ場所にしようか・・?」
つっと伊織の唇が零の首筋をたどり、零はくすぐったいようなその感覚に思わず身を反らせる。
「ほら、ここなら、髪で隠せない。」
伊織の唇は零の喉下で止まり、軽くついばむようにキスをする。
「あ、あ・・・」
そ、そ、それって、つまり、キスマーク・・・?
伊織は自分の腕の中で微かに震えている零を優しく抱きしめる。
「・・・今日は、ここまでな。」
ちゅっ、ともう一度首筋にキスをしてから零を抱き起こした伊織は、真っ赤になって俯く零を膝の上に乗せて苦笑する。
膝の上にすっぽりと収まる零の身体を抱きしめるのは、ずっとこうしていたいと願ってしまうほどに心地いい。一人の人間をこんなにも愛しいと思える事に、伊織自身が一番驚いていた。命をかけてでも守りたいと思える相手。もしも零がこの世から消えてしまったら本当に生きる意味さえ見失いそうで怖い。
「零・・・好きだ。」
膝の上の零を背中からぎゅっと抱きしめて柔らかな髪に頬を寄せながら、伊織は内心自分の理性を恨んでいた。いつもの自分なら、多少強引にでも間違いなくあのまま零を自分のものにしていたはずなのに。
・・・それすらためらうほどに俺は零の事を想っている、ってことか。
伊織は心の中で呟いて、零の髪に口付けた。
あぁ。萌える。
彼の理性をオフりたい(野望)
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