056:ホラー映画・1
夏と言えばホラー!
と言うことでホラー映画です。
ちなみに私は人生で一度もホラー映画を見たことのない人です。
課題ばかりでは身体によくないから、みんなでホラー映画を見よう、と健が言い出し、何故か皆が零の部屋に集まっていた。
「だって零ちゃん、他の部屋だったら絶対来ないだろ?」
そう言いながら健はホラー映画といえばコレ、と呪いのビデオで話題になったDVDを手にしている。
「・・・私、帰る!!」
「帰るって、どこへ帰るつもりなんだ?」
・・・ものすごい素で突っ込まないで・・・。
真顔で突っ込みを入れてきた駿に零は軽く悲しくなる。
「大丈夫だって!よく見たら面白いぜ?俺ホラー映画かなり好きなんだけど、」
「健君と一緒にしないでよ!面白いわけないでしょ!」
「怒った顔もかわいいねぇ。怖けりゃ抱きしめてやるから心配すんなって。」
「・・・別に、そんなことして欲しくないッ!」
「・・・まぁまぁ、零ちゃん、大丈夫だよ?一人じゃないんだし・・・。人生で一度くらいは見てもいいんじゃない?」
「かおる君までそんな事言うんだ?・・・ひどい・・・」
泣きそうな顔の零にかおるはふとここまでして見る必要があるのかと思う。
・・・ホラー映画なんて、確かに悪趣味だけどね、
内心思いながらも、かおるは間違いなく怯えるであろう零を慰める事を思うとそれもまたいいかなと思ってしまっている自分に気付く。
「ほら、いつまでもウダウダ言ってないで!始めるぞ!」
かくして、零の部屋でのホラー映画上映会が始まった・・・。
「そんな怖いなら、見なきゃいいだろ、
直視できず、かといって目をそらすこともできず、ただただ固まっている零に、隣に座っている駿の呆れた声がかかる。
「だ。。だって、声だけ聞いてたら余計怖いし・・・」
「それに、そんな離れたところにいるから余計怖いんだろ、もっとこっち来いよ、
不意に、手をひっぱられてバランスを崩した零は駿の方に倒れこむ。
「ごっ、ごめん、
零が慌てて離れようとすると、駿はそれが当然かの腕の中に零を抱きとめてこれなら怖くないだろ、と視線はテレビに向けたまま淡々と告げる。
直ぐ近くに感じる駿の体温に零は頭の中が真っ白になり、何も言えないままフリーズする。
「駿、隣に座ってるからって、どさくさにまぎれて零ちゃんを抱きしめるのはやめてもらいたいんだけど、」
「だ、そうだけどどうする?」
かおるの言葉に駿は零の顔を覗き込む。
「あ、え、あっ、私っ大丈夫ッ!
不意に近づいた顔にパニックになって零は慌てて駿から離れる。そんな零の様子を見て駿は大げさに呆れた顔をし、改めて視線を画面に戻した。
結局、2時間半の映画を見終えた零は完全に、怯えていた。作り物とわかっていても、もしかすると実際に遭遇するかもしれないと思ってしまう。
「じゃあ明日ねー」とさわやかに解散した皆を恨みたい気分にさえなりながら、部屋に取り残されて一人所在無く佇む。鏡や窓やテレビの画面に何か映るのではないかと思うと気が気ではなく、何かで気を紛らわそうと部屋の中をうろうろしていると、不意に、小さく扉をノックする音が響いて思わず悲鳴を上げた。
「俺だ。悲鳴上げることないだろう、
ドア越しに呆れた声。駿だ。
「ごっ、ごめんっ」
零は慌ててドアを開ける。
「入っていいか、
遠慮がちに言う駿を招き入れ、零は改めてごめん、と謝った。
「どうせさっきの映画が怖くてビクビクしていたんだろう、
バカにしたような声。そう、その通りです、と頷く。
「怖くて眠れなくて震えてるんだろうと思って、様子を見に来たんだ、
少し照れたように、視線を外して告げる駿。いつもの淡々とした口調ではなく優しさを含んだ口調に、さっき腕の中に抱きとめられた事を思い出し、零は頬が赤くなるのを止められなかった。
「さっさと寝ろよ。見ててやるから、
「そ、そんなこと言われたって・・・
「寝ないなら何か話すか、
駿はそういい、ドレッサーのスツールに腰を下ろす。零はソファーに座り、何を話そうかと考える程に頭の中が混乱した。
「お前さ、
駿は改めて切り出す。
「こんだけ男に囲まれてて誰かに告られたりしてないのか?
「えっ?
「みんな影ではコソコソお前のこと気にしていろいろ言ってるんだぜ。
「えっ、そっそうなの?
零は少し慌てる。
「まぁ・・・直球のかおるや伊織は例外だけどな。」
そういって駿は苦笑するように小さく笑う。
「よく・・・わかんない・・かも。かおる君とか伊織君はいつもいろいろ言ってくれるけど・・・その他のみんなからは何も言われたことないよ?」
「そうか。でも、大切に思われていることは確かだ。俺もお前といると楽しい。
「え・・・
「女といて楽しいと思ったのは初めてだ。
フワリ、と微笑む。その整いすぎた微笑に零はめまいすら覚える。いつも笑わない駿の笑顔から目がそらせない。
「お前は、誰かいないのか?
「えっ私ッ?!
突然の質問に声が裏返る。あたふたと否定しようとすればするほど、肯定しているようなものだ、と自分で思う。きっと顔も真っ赤だ。
「俺が協力してやるよ、
協力、と言う駿の言葉に零の心が少しざわめく。こんな風に駿と話すのは初めてで、どう話していいのかわからない。
「なんだよ、急に黙ったりして。もしかして、もうすでに振られたとか、そう言うことか?
呆れた声に反論しようと顔を上げ、予想外に優しく微笑む瞳にぶつかって言葉を失う。
「相変わらず変なヤツだな、お前。・・・けど、お前を振るバカなヤツがいるなんて意外だな。」
駿の柔らかな声、初めて聞いた、とぼんやりとそんな事を考える。
「ま、何か辛いことあったら言えよ。少しでも頼ってくれたら嬉しいから、
いつもの無表情とは違う、優しい微笑みに零の鼓動が暴れ出した。
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推しのヒトがいればリクエストくだされば、サブストーリーの方で書いちゃったりしますので☆
あ、ちょっと時間もらえれば腐系もリクエストお受けしますww




