表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつも君がいた  作者: 遙香
32/139

031:修学旅行・4

みなさん海ほたるの光る海、見た事ありますか?

それはそれは神秘的なんっすよー。私初めて見た時一時間くらいずーっと見てました。

 ソファーで転寝をしていた零は目を覚まして身体にかけられていたパーカーに気付く。リビングの電気は消されていて部屋の中は静かだった。

・・・私、どのくらい寝ちゃってたんだろう・・・?みんなはもう寝たのかな?

ホテルの部屋に時計はなく、腕時計をしていない零は正確な時間を掴めないままそっと立ち上がる。

・・・明日の朝、みんなに謝らなきゃ、


 窓の外から響いてくる波の音。零は真っ暗な窓の外に目をやって、ふと波打ち際がほの白く輝いている事に気付く。

・・・波が光ってる?

月明かりを反射しているのかとも思ったが、不規則に輝く不思議な波の輝きにひきつけられる。零は好奇心を抑えられず、そっと窓から外に出た。

 

 間接照明を使ってライトアップされたホテルの中庭を抜けるとすぐに広がる砂浜。半舷の月が照らす明かりを頼りに波打ち際に近づくと、光る波の正体は神秘的に輝く海ほたる。波が打ち寄せるたびにボウっと輝いて波を蒼く彩っている。

「綺麗・・・ッ!!」

零は小さくつぶやいて波を見つめる。そしてふと空を見上げると、見た事のない数の星が瞬き、その美しさに零は言葉を失った。


 幼い頃から遙か天空で瞬く星を見るのが好きだった。いつしかそれは憧れに変わり、宇宙の謎に一番近づけるNASAへの憧れに変わった。

幼い頃に両親に連れられていったNASAの研究所。いつかきっと、あの場所に立って、あの場所で研究をしたい、と強く願うようになったのはいつの頃だったろうか。

 零は一人、砂浜に寝転んで今にも星が零れ落ちてきそうな空を見つめる。プラネタリウムでしか見たことのない天の川が流れる空。このまま闇に溶けてあの場所へ行きたいと願ってしまうほどに美しい。


 

 その頃、夜中に目が覚めた駿はふと窓の外に目をやり、波打ち際に佇む人の姿に息を飲む。月明かりに照らされ、海ほたるが幻想的に輝く波打ち際を歩く美しい少女。瞬きをする一瞬で闇に溶けて消えてしまうのではないかと思える儚さをまとっている。

「・・・アイツ・・・」

駿は小さく呟いて、手早く服を着替えて同室の健を起こさないようにそっと部屋を出る。いくらなんでも、真っ暗な夜の海に女一人で出て行くなんてバカを通り越して怒る気にもなれない。

・・・全く、どこにいても人騒がせなヤツだな、

心の中で呟いて駿は外に出た。



 波打ち際を蒼く輝かせる細かな蒼い粒子に惹かれた零は、靴を脱いで波に足をひたして足をさらう波と戯れる。素足に絡みつく波が輝く海ほたるを零の足に届け、小さな輝きが肌の上に残る。

・・・波が蒼く光るなんて、知らなかった、

零は延々と打ち寄せる波と、その度に表情を変える蒼い輝きを飽きることなく見つめながら、たくさんの事を知っているようで、実は知らない事の方が圧倒的に多い事を今更ながらに痛感する。昼間とは違ってひんやりと冷たい海の水が素足に絡みついて零は思わず身震いした。




 零を連れ戻しにホテルを出た駿は、波打ち際で波と戯れる零の姿を見て足を止める。海から吹いてくる風が零の細い髪をもてあそび、蒼く輝く波の中にたたずむ零が一瞬、闇に消えてしまいそうな気がしたからだ。

「おい、佐倉、こんなところで何してる、」

わざと、声に怒りを含ませて駿は零に近づく。

「あ、久遠君!星を見に来てたの。ホラ、すごい星、初めて見た。」

いつも怯えたように目をそらしておどおどする零が、うっとりと空を見上げて微笑む。その微笑みに駿は一瞬見惚れ、慌てて零の指す空を見上げる。

「・・・これは、すごいな、」

今まであまり星空など見上げた事のなかった駿だが、頭上を覆い尽くす星々に思わず感嘆の声をあげた。

「ね?すごいよね?天の川だよ?」

声を弾ませる零に駿は思わず苦笑する。人が心配していることなど、気付いてもいないのだろう。

「星を見るのはいいが、一人で夜の海に来るのはどうなんだ?」

「え?」

「誰にも言わずに出てきて、もし何かあったらどうするつもりだ、」

「え、だ、だって、すぐ近くだし・・・」

駿が語気を強めるとさっきまで笑顔だった零は叱られた子犬のようにしゅんとなる。

「お前は・・・本当に・・・。」

・・・お前を見てると、ペースが乱される。

駿は内心呟き、波の中に立つ零をひょい、と抱き上げる。

「えっ、あっ、ちょっ、」

慌てまくる零にあえて冷静に声をかけて砂の上におろす。

「お前靴どこへやったんだ?はだしで帰るつもりか?」

「え・・・っと、多分その辺で脱いで・・・あれ?ないよね?どこいっちゃったんだろ・・・。」

どうしよう、と自分を見上げる零の瞳に、駿はこんな目で見られて手を差し伸べないヤツなどいないだろう、と思って小さくため息をつく。

「・・・探してきてやるから、そこで待ってろ、」



いつも読んで下さっている方☆ほんっとに励みになっております。誰かダメ出しでいいから感想書いてほしいな・・・(ずうずうしいけど)。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ