第3話 万灯楼
万灯楼。遊郭の有名の館であり、夜になると無数の提灯が灯され、まるで祭りの夜のように華やかなことから、その名で呼ばれる遊郭一の名店。遠方からも客が訪れ、「万灯楼の灯は一度見れば忘れられない」と噂されている。
その中で、14歳という年齢の雛子は、禿という花魁の付き人をする少女らしい。主に、花魁の身の回りの世話、客へのお茶出し、髪飾りや着物の準備や花魁と一緒に町を歩くなどといったことをする。
だが、万灯楼は特別な制度であり、万灯楼では、先輩遊女一人につき一人の見習いが付くのだ。
雛子の姐さんにあたる鈴音は、新造であり、18歳である。
そして、雛子を引き連れてきた紬も雛子と同じ、禿である。
(ややこしすぎだろ遊郭…。)
雛子は、今日は、鈴音にコキを使われるのであった。勝手に町を探検していた罰だろう。でも、これくらいで済んでいる雛子は幸運であった。
「ゆ、許してくだ、さい。ちゃ、ちゃんと、やります、から。」
「あ?」
雛子が茶を運んでいると、とある部屋から怒鳴り声が聞こえた。
(またやってるよ。)
遊郭では、先輩が後輩をどう扱うかは指定されていない。まぁ、女将の許可なしに殺せないが、殺さない程度なら許されるとか。だからたびたび、先輩のせいで接客がとれなくなり、処分されるケースが多いらしい。
だから、万灯楼で生き残るには、先輩に媚びを売りまくるというのが勝負の鍵だそうだ。
(私には、とうてい無理なことだけど。)
「姐さん。お茶、持ってきたよ~。」
雛子がそういうと、なにやら姐さんはいそがしそうであった。
「あ!雛子ちゃん!いいところに!ちょっと手貸して!」
「…え?」




