第10話 挨拶 (一章:終)
「ご機嫌麗しゅう。帝様。私は、雛子と申します。本日は、お会いできて光栄です。」
雛子の言葉に帝は興味のない様子であった。
(挨拶には興味はない、か。はは。私も同感だよ。)
帝は、漆黒の髪にブラックサファイヤ色の瞳を持った人物であった。横には、護衛らしき宦官が立っている。
(わあ。イケメン。私みたいなイケメン好きにはたまらんな。ま、前世の推しよりどうでもいいけど。)
「お前、前宮の財政を立て直す助言をしたそうだな。その後にも、この絵を書いて。」
帝は雛子に例の絵を見せつける。雛子の表情は「うわぁ」となった。
(まさか後宮の帝にも知られるなんて。)
「この絵に描かれるものは、未だ数少ない人間にしか知られていない。どこで、この情報を知った?」
帝が少し圧を入れて聞いてくる。
(これが大人の圧力ってやつか…。)
「わ、私には未来が見えまして…。」
雛子は、咄嗟に変な言い訳をしてしまう。その言い訳を聞き、宦官はひやひやな顔をしていた。
「ほう。では、この後俺が君をどうしようとしているか、分かるか?」
(分かるわけないだろ。そんなの。)
「私を身請する、とか?」
雛子は深く考えず、冗談げに言うのだった。宦官は咳き込む。
(冗談だから、別にいいでしょ。でも、今のは流石にまずかったか…?)
雛子が後悔していると、突然帝が笑い出した。
(笑い声までイケボって、どういうことだよ。)
雛子はそう思いながら、変な顔で帝を見ていた。
「お前は、本当に未来がわかるようだな。」
「…え?」
「俺がお前を身請けする。」
「…えぇぇぇぇぇぇ!?!?」
雛子は、冗談で言ったことが、本当の未来になってしまうのであった。




