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スキルが全ての異世界で俺は何度でも蘇る  作者: P.P.
一章 召喚された勇者の記憶

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003 全ての幕開け

ケツいてぇ



 異世界に勇者として召喚されてから二日が経った。


 この二日間、王国にはとても高待遇で扱ってもらえた。豪華な料理、王国一流のマッサージや温泉を連想させるような豪華な風呂、更に歌劇など色々な経験させてもらった。


 とにかく、とても幸せな二日間だった。

 それに、他の勇者たちとの関係も深める事が出来た。後藤とはアニメや漫画の話で盛り上がった。


 ああ見えてオタク気質らしく、結構マイナーなアニメでも話についてこれるぐらいだったので、俺としては良い話し相手が出来て嬉しかった。


 姫川は今でも俺と話すのに緊張しているっぽいが、初日よりかは話せるようになった。裁縫の話をする時に、一生懸命に話すとこがとても可愛い。


 星川は・・・・うん、全然話せなかった。反応を見る感じ、どうやら俺の事を毛嫌いしているらしい。俺が話しかけても全てフル無視だ。たまに仕打ちとかしてくるから地味に傷つく。


 小林は元々の性格が明るいため、積極的に話しかけてくれた。距離感がイマイチ掴みづらい子だが、話していてとても愉快で楽しい子と分かった。たまに距離感がバグって抱き着いたりしてくるが。


 ほぼ女性経験皆無な俺としてはとても心臓に悪い。


「はぁ、この装備カッコいいけど重いなぁ・・・・・」

「た、確かに、慣れるまで時間がかかりそうですね・・・・」


 横でおどおどしながらも俺の独り言に反応した姫川。


 だいぶ他の勇者との関係も深められたが(星川を除いて)、もうそんな呑気なことは言ってられない。

 今日は異世界に召喚されて三日目、勇者出発の日。王の間には様々な顔ぶれが揃っていた。


 耐久性に優れた豪華な鎧とローブを着こんだ勇者一行、一切の無駄がない洗練した立ち姿で整列する騎士、国のお偉いさんであるおじさんたち、いつもより金の装飾が多く入った豪華な服を着ている王様。


 この空気と雰囲気が俺たち勇者に一気に緊張感を与える。皆それぞれ顔は違うが、この時だけは皆同じ表情を浮かべる。あのポーカーフェイスを貫く星川さえ、表情がこわばっている。


 全員が集まったのを確認してから王の間を出た王様は王城のバルコニーへと向かう。

 どうやらあのバルコニーで民に演説をするらしい。


 バルコニーに着いた王様は、一息吐いてから大声で演説を始める。


「親愛なる我が民よ、遂にこの日が来た。勇者出発の日。今宵、勇者は魔王討伐に向け、旅に出る。我々の希望、勇者。何十年間我々を苦しませてきた魔王、この旅で勇者が必ずや打ち倒すだろう!!!」


 王様からの激励の言葉。欠伸が出そうなのをグッと堪える。正直、この王様いつも話が長いんだよ。激励の言葉を長々と王様は話続けていたが、脳内で略して面倒な所は聞き流した。


「親愛なる我が民よ、どうか勇者一行に応援の歓声を上げてやってくれ!!!」

 

 どうやら王様の話はこれで終わりらしい。

 王様が話を終わらせた瞬間、大地を揺るがす程大きな歓声が、空気を振動して俺たち勇者の耳に入ってきた。


「お、おぉ・・・・俺たち、本当にこれから魔王討伐に向かうんだな・・・・」


 地響きの様に伝わってくる国民の歓声を聞きながら、俺は呟く。


「僕も今更ながら、自覚しました・・・・今から魔王を討伐しに行くんだって・・・・」

「わ、私たちに出来るのかな・・・・?」

「大丈夫だよ、杏子。いざとなったら私が守るから」

「まあ、あたい達にはスキルがあるから大丈夫っすよ!」


 色々な感情が沸き立つ俺たちだったが、国民の歓声に驚嘆しているとローブを着た女性に声をかけられた。


「勇者様、出発の時です。こちら、旅に必要な援助金です」


 そう言ってローブを着こんだ女性は俺に貨幣の入った革袋を渡してくる。

 ん? 革袋のサイズは大きいのに、なんか軽いな。


 そう思い中を開けてみてみると、たったの三枚しか貨幣がなかった。


「あ、あの・・・・ちなみにこれって幾らぐらい何んですかね?」


 不安の感情を抑えれずに俺が聞くと、ローブを着こんだ女性は微笑みながら答える。


「白金貨三枚です。金貨だと丁度三百枚になります」


 この世界の貨幣は胴貨、銀貨、金貨、白金貨だ。胴貨百枚で銀貨、銀貨百枚で金貨、金貨百枚で白金貨。ちなみに、民の平均年収が銀貨五十枚から金貨一枚。王宮に仕える者でも精々金貨五枚程度らしい。


(たいきんだぁぁ・・・・・)


 俺はそっと白金貨の入った革袋を後藤に渡した(押し付けた)

 後藤はそっと白金貨の入った革袋を姫川に渡した(押し付けた)

 姫川はそっと白金貨の入った革袋を小林に渡した(押し付けた)

 小林はそっと白金貨の入った革袋を星川に渡した(押し付けた)


 星川は溜め息を吐きながらも、白金貨が入った革袋を背中の鞄にしまった。


「ありがとう、星川」


 俺が感謝の言葉を伝えるが、星川は俺の感謝の言葉を聞いても反応せず、フル無視して姫川と小林に話しかけに行った。


「おいおい・・・・俺どんだけ嫌われてんだよ」

「庄司さん、何か菜音を怒らせる事でもしたの? あそこまで菜音が塩対応するとこ僕でも初めて見たよ」


 俺の背中をさすりながら言う後藤。

 どうやら慰めのつもりで言っているらしいのだが、余計に俺の心を抉る。


 傷心しながらも、俺はローブの女性の方に視線を向ける。


「改めまして勇者様、皆さんのご健闘お祈りしております。どうか、ご無事で」


「はい、必ずや魔王を討伐してきます!」


 俺がそう言うと、女性はローブを目深に被って立ち去って行った。

 すれ違った瞬間、少しだけ見えたが毛色は金髪だった。そして、一瞬だけだったが女性は何故かとても苦しそうな表情を浮かべていた。最後まで誰か分からなかったが、魔王を討伐した暁にはナンパしてみるのもありだな。


「さて、そろそろ俺らも王城を出るとしますか」

「まだまだここに残りたけど、僕たちには使命があるからね」

「う、うぅ・・・・緊張してきた・・・・」

「大丈夫だよ、杏子。ほら前見て歩いて」

「あははっ! やっぱり菜音っちって面倒見良いっすよねぇ~」


 こうして俺たちは王城から出た。

 王国の門をくぐるまで国民からの歓声に当てられながら歩いたが正直、国民からの歓声の圧が凄すぎて皆緊張しっぱなしだった。

 

「緊張で吐きそう」

「遂に僕たちの冒険が始まるんだね」

「わ、私も気分が・・・・」

「はいはい杏子、私に掴まって」

「あはは! 出発前から満身創痍っすね!」


 ああ、遂に冒険が始まる。異世界に召喚されてから俺たちはこの二日間、王宮ライフを満喫していたが、これからは魔王討伐の旅が始まる。胸に浮かぶ様々な感情を抑えながらも、俺の表情は終始二ヤついていた。


 これから経験するのは全て未知の体験。

 魔物と出会ったり、異種族と出会ったり、時には激戦もあるだろう。


 まだまだ能力すら理解出来ていないが、俺たちはスキルや魔法だって使える。


 色々と不安な部分もあるがこうして、後藤たち()()()()()()()()()()()




 そして、()()()()()()()()()()()()()()()()




冒険の始まりだ、お前らぁぁ!!


元々この国の名前は国家マンブルだったのですが、傲慢クソジジ王が国の名前を変えてレトロという自身の名前を国に名付けてました。

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