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15 牙を見せるメタル化

「ターンエンド。」


勇希は悔しそうに手札を握り締めながら、ターンを終了した。フィールドにはモンスターもなく、がら空きの状態。部員たちが見守る中、雫先輩は冷静に自分のターンを迎える。


「私のターン、ドロー。」


静かな声とともにカードを引く雫先輩。その表情には微かな笑みが浮かんでいた。


「さて、ここから私のデッキの本当の力を見せてあげるわ。」


「えっ……?」


勇希は少し緊張しながら雫先輩の動きを見守る。



「まず、モンスターカード『鋼鉄の幻想師』を召喚。」


フィールドに現れたのは、銀色に輝くローブをまとった魔法使いのようなモンスター。その攻撃力は0。しかし、勇希はそのモンスターからただならぬ気配を感じ取っていた。


「『鋼鉄の幻想師』の効果を発動。このカードが召喚・特殊召喚されたとき、デッキから『メタル化・強化反射装甲』をセットする。」


雫先輩のデッキから選ばれた1枚のカードが、フィールドにセットされる。そのカードが、メタル化デッキの核となるカードであることは明白だった。



これ、ただの下準備じゃない……すでに先輩のペースに巻き込まれてる!



「続けて、『鋼鉄の幻想師』の効果を発動、種族をドラゴン族へ変更!」


「そしてターンエンド。」


勇希は息を呑む。


「俺のターン、ドロー!」


勇希はデッキトップからカードを引くと、そこに描かれた文字を見て息を飲んだ。


「そのドローにチェーンするわ」


「『鋼鉄の幻想師』をコストにして伏せていた『メタル化・強化反射装甲』を発動。」


セットカードが輝き始め、鋼鉄の幻想師がその光に包まれる。そして、フィールドに現れたのは――。


「来なさい、『レッドアイズ・ブラックフルメタルドラゴン』!」


銀色に輝く装甲をまとった巨大なドラゴンがフィールドに降臨した。その攻撃力は3400という圧倒的な数値。


「さらに、『メタル化・強化反射装甲』の効果で、このモンスターの攻撃力と守備力を400ポイントアップさせる。」


攻撃力3800/守備力2800――フィールドには圧倒的な存在感を放つモンスターが立ちはだかる。


勇希へのプレッシャー


「これが、私のデッキの本当の力よ。」


雫先輩の声は冷静だが、その言葉には確かな自信が込められている。


「『レッドアイズ・ブラックフルメタルドラゴン』は相手の効果を無効にする能力を持っているわ。それに、このカード自体が耐性を持っているから、普通の攻撃や効果じゃ簡単に倒せない。」


「くっ……!」


勇希はその言葉に額を汗が伝うのを感じた。



部室には静かなざわめきが広がる。


「すごい……雫先輩のメタル化デッキ、やっぱり強いな。」


「レッドアイズ・ブラックフルメタルドラゴンか……勇希、どうする?」


部員たちが見守る中、勇希は息を整えながら気持ちを切り替えようとしていた。


「さあ、どう動くか見せてもらうわ。」


手札に握られているのは、先ほど「幸運の鉄斧」の効果で引き込んだキーカード――『緑血の盟約』だった。


「まずはこのカードを発動する!」


勇希が勢いよくカードをフィールドに置く。そのカードは赤黒い光を放ちながら、独特の雰囲気を漂わせる。


「『緑血の盟約』!」


部室に響き渡る勇希の声。その効果を目の当たりにし、見守る部員たちも息を呑む。


『緑血の盟約』の効果発動


「このカードの効果で、デッキまたは墓地から通常召喚可能な緑血族モンスターを特殊召喚する!」


「その効果、無効にさせてもらうわ。」


冷静な声とともに、雫先輩がフィールドに君臨する《レッドアイズ・ブラックフルメタルドラゴン》を指差す。


「えっ……?」


「《レッドアイズ・ブラックフルメタルドラゴン》の効果を発動!相手が効果を発動した時に、それを無効にし、その後、相手フィールドの攻撃表示モンスター1体の元々の攻撃力分のダメージを与えることができる!」


フィールドのドラゴンが目を光らせ、黒い炎を吹き出した。そのエネルギーが勇希の『緑血の盟約』に向かっていく。


「『緑血の盟約』の効果、無効!」


赤黒い光が消え去り、勇希のフィールドには何も起きないままだった。


「そんな……!」


さらに《レッドアイズ・ブラックフルメタルドラゴン》のバーン効果が発動。攻撃力分のダメージは発生しなかったが、その威圧感は勇希にのしかかる。



「どうしたの、勇希君? さっきの勢いはどこへ行ったのかしら。」


雫先輩の声は冷静だが、その余裕のある笑みが勇希の胸に悔しさを生む。


「……でも、俺はまだ諦めない!」


勇希はデッキを見つめながら、次の手を必死に考え始める。


再び反撃の糸口を探る勇希


「『緑血の盟約』は使えなくなったけど……俺にはまだ手札がある!」


勇希は手札を確認し、冷静に状況を見極めた。


「さすが雫パイセン。やっぱり部内ナンバー3の実力者は違うな。」


デュエルの展開に見入っていた天保が、感嘆した声を漏らした。その言葉に、周囲の部員たちもうなずきながらざわざわと話し始める。

「やっぱ雫先輩、強いよね……!」


勇希の目の前で冷静にカードを操る雫先輩。彼女の姿には確かに風格があった。

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