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ビーチパラソルは水色か

カメレオンマン EP6「ビーチパラソルは水色か」


パッシャーン、


水飛沫が飛び散る。

「きゃーっ」

波に戯れて喜ぶ桐子たち。

「こっちおいでよー、レオン君〜」 

手を振る桐子。

気にせず、ビーチパラソルの下で本を読んでいるレオン。

「お前って、ホント変わってるよなぁ」

拓磨がぼやいた。

「こんな天気が良くて、青い海があって、可愛い女子がいて、何が不満なんだよ」

ポリポリポリ、頭をかくレオン。

「ちょっと、気になる本があって…」

お手上げポーズの拓磨。

「早くーこっち、こっちー」

「今いくよー」拓磨が返事をする。

無理矢理、レオンを海へ連れ出す拓磨。

「あっ、」

日光に当たり、一瞬レオンの腕が緑色に変わった。

「ううん?」

目を擦る拓磨。

消える。

「目の錯覚か?まあ、いっか」

ザザーーーッ、波の音。

「お待たせ〜」

波がレオン足元にかかる。

「久しぶりだな、海に入るなんて…」


「ギャハハハハハ、」紗栄子の声。

大きな笑い声が、ビーチパラソル内に響く。

「凄い食べっぷりだなぁ」

大盛り焼きそばを食べている紗栄子の姿に、呆れる拓磨たち。

赤いビキニが、はち切れんばかりだ。

「たくさん泳いだら、お腹が空いちゃった〜」

パクパクパク、

「そんなに急がなくったって、なくならないよ」

桐子が、そっと紗栄子の頬に着いた麺を取ってあげた。

「ギャハハハハハ、」

紗栄子が再び笑う。

その横、レオンは遠くの海を見つめていた。

「どうしたのレオン君?」

桐子が隣に座った。

「いや、何でもないよ」

「はい、レオン君は焼きそばよりお握りが好きなんだよね」

お握りを差し出す桐子。

「ありがとう、桐子さん」

もらったお握りを一口食べるレオン。

湾の向こう、岬近くに不審な黒いボードを見えた。

キラッ、何かが光る。

バッ、突然立ち上がるレオン。

「どうしんだ蒲田、」

拓磨が驚く。

「ちょっと、トイレ」

「なんだよ〜」

「すまない」

急いで、ビーチを後にするレオン。

小走りに走りながら、すぐさまイヤホンを耳付けた。

「やっぱり、あそこで武器の密輸をしているようだ、メル」

「はい、予想した通りです」AIメルの声。

「こんな昼間の、こんな人が多いビーチで堂々と密輸なんて…」

「それが、彼らの組織の怖さです」

更衣室を見つけるレオン。

「よし」

バタン、

レオン、個室に入る。

カチャ、ピッピッピッピッ、

すぐさまポケットから端末を取り出し、操作する。


駐車場

ギーッ、ガッチャン、

レオンたちのキャンピングカーのトランクがゆっくりと開いた。

グーン、ガチャ

トランクの奥から、大きなハッチがせり出てくる。

カッチャ、バババッ、

透明な何かが、バックから飛び出した。

カシュン、

何も見えない、

何も、姿形も見えない。


ビーチ

「いったい、何処行ったんだよレオン〜」

拓磨がレオンを探していた。

ガッシャーン、

ジュースを落とす拓磨。

「キャ、キャンピングカーのトランクがー車上荒らしだー」


カシュン、カシュン、カシュン、

その何かは、道路を飛び越え、砂浜を飛び跳ね、真っ直ぐに更衣室に向かって行った。

シュ、シュッシュッ

カシュン、カシュ、カシュン

それは、瞬く間にレオンの身体に纏いついた。透明な鎧のように組み立たたる何か。

シュッ、

一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、カメレオンの形が見えた。

カッシュン、

「OK、装置」

レオン、全身が透明ボディーに覆い尽くされたカメレオンマンに変わる。

ギィー、

更衣室のドアがゆっくりと開く。

「誰もいないかな」

小さな子供が、その様子をじっと見ていた。

ポカンとしている子供。

「更衣室を使う時は、ちゃんとカギはかけようね!」レオンの声。

「う、うん」

うなずく子供。


シューン、シューン、

飛び跳ねながらビーチから湾に渡り、人気がない岬とへ辿り着くカメレオンマン。

そこでは、男たちが黒い荷物を大量に船から運び出していた。

「早くしろ、」

顔に傷がある男が、部下に命令をする。

その横、シルクハットの外国人が荷物を確認している。神妙な顔だ。

「あれは、銃だな」レオン。

ズームの映像。

「しかも、最新式のEM銃ですね」メル。

EM銃とは、旧式の弾丸が飛び出す銃ではなく。ほんの数ミリの鉛筆の芯のような弾が、電磁的に高出力で飛び出し、ターゲットを殺傷する武器だ。電磁投射銃とか電磁加速銃とも呼ばれる。構造的には、レールガンの小規模版と思われる。

「どの国からの密輸なんだ、メル?」

「解りません。情報が足りません」

「よし、側まで行ってみるか」

「えっ、せっかくの作戦が…」メルの声。


ジャップン、ジャップン、

海から船に近づくカメレオンマン。やはり目には見えない。

「さすが、カメレオンスーツは水にも強いな。寒くもなんともない」レオン。

「当たり前です」メル。

カチッ、指にアダプターを取り付けるカメレオンマン。

ウィーーーン、

船底に穴を開け始める。

「おおっ、良く切れる切れる」

ウィーーーン、

「何か聞こえないか?」顔に傷がある男が、聞き耳を立てる。

「そうか?」

シルクハットの男も聞き耳を立てる。

ウィーーーン、

「気のせいじゃないのか?」

再び、シルクハットの男が聞き耳を立てる。

ユラユラユラ、ガッターン、

突然、船が傾き出した。

「うわわっ、何が起きたんだ?」

慌てふためく男たち。

ウィーーーン、

「もう少し、もう少しだ」

ガクン、ガガガ、ザザーッ

船が傾き、荷物がずり落ち始めた。

ザザーー

「船底を調べろ」

顔に傷のある男が命令する。

部下、

「大変ですボス、船底に海水が浸水しています」

「何?」

慌てて、船底を見に行く顔に傷がある男。

ザザッーー

船底は、もう腰まで水が来ていた。

ガクン、

再びもっと、船が傾き出す。

「もう、この船はダメだ。荷物だけは陸へ上げろ」

「はい」


海中、

ウィーーーン、シュン

「OKだ」

ドリルをしまうカメレオンマン。

「メル、離脱する」

「はい」

スィン、

カメレオンマン、ゆっくり船から離れ泳ぎ出す(平泳ぎ)


ブクブクブク、

もう、船は半分も沈んでいた。

ザッパーン、

水面に現れるカメレオンマン。

「やっぱ、空気は美味い」

シュンシュンシュン、シューン

透明なドローンのようなものが、カメレオンマンの頭上を飛んで行った。

「頼むよ、メルマ」レオン。

「予定通り時刻より、9分オーバー」メル。

ガッチャン、

そのドローンから大きなアームが飛び出した。男たちの荷物を掴み上げる。

「荷物が浮かんでいくー」

「宙に浮くー」

「何事だ、」

慌てふためく部下たち。

海上のカメレオンマン、その光景を見守っている。カメレオンマンには、透明なドローンは見えている。

「やっと計画通りですね、レオン」

「ああ」

ガガガ、ガン、

銃の重みで、ドローンが傾き始めた。

「しまった、予想より重量がオーバーだ」

ガガン、ドサッ、ドサッ、

ドローンのアームから、荷物が落ち出した。

「まずい、」

男たちがわ、荷物をこじ開けEM銃を取り出した。

ジジジジジーーー

「あそこだ、撃てーー」

カシューン、

その時、

大きな網のような物が、男たちを覆い尽くした。

ババババッ、

網の中で弾け飛ぶEM銃の弾。

パンパンパン……

その網の磁力で、男たちのEM銃を不能にしたのだ。

「わわわわわっ、」

その傍ら、こそこそと男たちが落としたEM銃を拾い集めるカメレオンマン。

EM銃を全て拾い集め終わると、泥棒のように抜き足差し足と去って行くカメレオンマン。

「お前らには、まだ50年早いよ」ポツリ。


ビーチ駐車場、

「そんなバカな〜」

「確かにトランクが開いていて、バックが開いていたはずなのに〜」拓磨。

警察官が困った顔をしていた。

「何も被害がないと、コチラとしては…」

「ホントなんだよー」拓磨。

「まーまー、誰にも間違いってことはあるよ」紗栄子。

「ホントなんだよ…」

紗栄子になだめられ、うな垂れる拓磨。

プップッーー

クラクションの音。

運転席から、顔を出すレオン。

「さて、帰ろうか」


帰り道、

「いったい、何処に行っていたんだよ〜レオン」拓磨。

「ホントに〜」紗栄子。

「皆んなのビーチパラレルが、解らなくなっちゃって」レオン。

「困った奴だなぁ」

「しかし。なんか、この車。行きより車重くねぇ?」

「そうですか」桐子。

「帰りは、行きより軽くなるはずだけどなぁ〜」拓磨。

ガッチャ、

トランクの中、EM銃が揺れている。

その横、ビーチパラソルに小さなイラストが描いてあった。

拓磨、紗栄子、桐子の泳ぐ姿。そしてその横、笑顔のレオンの顔とお握り。サインはない。

「きっと、皆んなの思い出がいっぱい詰まったから重いのさ…」


「ビーチパラソルは、水色か」………つづく


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