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危険な信号は黄色か

カメレオンマン EP3「危険な信号は黄色か」


ブルルルーン、


赤信号を無視して突っ走る暴走トラック。

ガンガン、ガガガン、

弾け飛ばされる対向車たち、

ブオオオォーーーン

トラックは黒い噴煙を撒き散らしながら、ますますスピードを上げていく。

「きゃー」逃げ惑う人々、

トラック車内、

運転手は小刻みに震えていた。脂汗を浮かべ、筋肉は硬直し、全身の血管が浮き出ている。

明らかに普通じゃない。

新しいドラックの症状か?

グボッ、

今度は、口から黄色い液体を吐き出した。

絵の具のようなどぎつい黄色が、喉元を垂れる。

瞳が金色?いや、黄色。

運転手の血管も黄色に変化していた。

人間ではない、そんな姿だ。

某国の軍事薬物を思い出した。服用すると新陳代謝が速くなり、赤血球が薄くなる。似た症状だ。

ガガガガガ、ガーー

トラックは、右に左に蛇行しながらスピードを上げる。

とうとう、運転手の身体までも変化してきた。鱗状の皮膚、ツノも生え、まるで異形の化け物。

「チッ、また一般人を」

レオンは腹が立っていた。

奴らは、人の命など微塵とも思っていない。使い捨ての駒以下だ。


少し前、

「解った、メル」(小声)

レオンはノートを閉じ、荷物をまとめた。大学の教室を抜け出すのだ。

「蒲田君、」

同級生の桐子が声をかける。

「しーっ」

人差し指を口にあてるレオン。

「だって、蒲田君…この授業は必須の大事な…」(小声)

「えっ?!」

目を離した瞬間に、レオンの姿は消えていた。

「あれ?どこに行っちゃったんだろう蒲田君……」


湾岸道路、

ガガガガガ、ガーー

暴走トラックは、標識や看板をなぎ倒しながら走っていた。

「酷い運転だな〜」

「免停だな、いや、免許取り消しだよ」

「もう一度、教習所からやり直した方がいいですね。レオン」メルの声。

「おっ、最近いいこと言うね〜」

バコーン、ビュン

弾けた標識が、カメレオンマンの方に飛んでくる。

シュン、

寸前で避ける。

「危ねぇー」

ガガガン、ゴロゴロゴロゴロ、転がる標識。

「とうとう、標識まで壊したよ〜」

「この先は、液化プラント地帯です。こんなトラックが突っ込んだら、大惨事を起こしてしまいます」

「この国にも、奴らの組織が忍び寄って来たな」

「さて、どうやって対処しますか、レオン」

「俺がトラックに飛び移り、アブダクションで乗っ取る。そして、運転手を席から振り落とす」

「いい作戦ですね」

「それを考えるのが、メルの仕事じゃないのかよー」

「まあ、いいじゃないですか。レオン」

「なんか、最近、人間みたいだな〜」

「ハハハ、」

バババババーーー

カメレオンマンはトラックを追い越し、先回りをして歩道橋に立つ。

ジャンプ、

シュン、ガガガン

「おっと」

一瞬落ちそうになるが、無事飛び移ったカメレオンマン。

当然、保護色で一般人には見えない。

「体重が0.5パーセント増えました。運動不足です」

「うるさいなぁ、褒めるとこだろう」

「アブダクションカメレオン!」

「OK照合確認、アブダクション開始」メルの声。

カメレオンマンの身体から、みるみる数本の触手が伸びた。トラックの取り込みが始まる。

カチャカチャ、カチャ、

トラックは走りながら必要な部品を解体され、あっという間にカメレオンマンの身体と一体化した。

「再構築確認、アブダクション成功」

「ライディングカメレオン!」

元のボディより流線型に変化したトラックは、運転手の操舵を失った。

ハンドルが無い。すべてがカメレオンマンに委託されたのだ。

この方が、既存のトラックより安全で低燃費、性能も格段に高い。

「ガルルルルルーー」

運転手がイラつき、顔を歪める。

ギュン、ガガガガガ、ガン

トラックは、前輪をロックし大きく反転した。

バシュッ、ギギュン

反転するトラック、天地が代わる。

その瞬間、運転手がドアから飛び出した。

「ガルルル」

「今だ、」

トラックから金属の手が伸び、大地を掴む。バン、

反転を反転する。

くるり、

一回転するトラック。

キキーッ、急ブレーキ。

無事、止まるトラック。損傷はない。

「車両保険も使わなくて良かったぜ」

「ガルルルルルーー」

怒りが収まらない運転手。

もう彼は、完全に人間ではなかった。

まるで、黄鬼。口から黄色い煙を吐き出していた。

「どうする、メル」

クンクン、

見えないカメレオンマンを、臭いで嗅ぎつけようとしている鬼。

「居場所を見つけられるのは、まずいな」

「ワクチンはないのか、メル」

「対LSDワクチンはありますが、効くかどうか」

「それでいい、」

「解りました」

カパッ、

カメレオンマンの背中の一部がゆっくりと開く。

小さなボックスが手前に突き出てきた。

スチャ、

素早くそれを左手の人差し指に差し込み、装着するカメレオンマン。

グーン、爪の部分が青色に変化する。

「よし、」

ズバッ、

高くジャンプして、頭上から鬼の頚動脈を狙うカメレオンマン。

ヒュルルルルーーーン

ブルブルブル、ブルー

鬼が震えた。

「こっちを見たぞ」

「気づかれたか、」

グバッ、

大きな手が、カメレオンマンに襲いかかる。

ひらり、

間一髪、鬼の一手をすり抜け長い人差し指が鬼の頚動脈に突き挿さる。

ガクン、ガガガ

しかし、

鬼の皮膚は想像以上にぶ厚かった。

「半分しか針が刺さらない、どうする?」

ポキッ、

カメレオンマン、残りの爪を折り口の中に突っ込んだ。

「注射がダメなら、飲み薬だ!」

ゴックン、

「グガガガガガーー」


「ワクチン注入!」


「ぶるるるる……」鬼の動きが止まった。

全身の黄色い皮膚が、だんだん肌色に戻ってくる。

バッターン、

仰向けに倒れる鬼。

もう、元の人間の姿に戻っていた。

「ワクチンの効果は的面だな、メル」

「はい、私も驚いています」

「この運転手は、どうなる?」

「しばらく後遺症が残りますが、命は大丈夫です」

ピーポーピーポー

パトカーがやって来た。

「よし、撤収だ」

シューン、シューン、

電線を伝わりながら、その場を離れるカメレオンマン。

その横、

壊れた信号が点滅している。

色は、黄色……


「危険な信号は黄色か」ーーーつづく


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