条件付き契約
王国の警備隊長だった彼が去って以来、状況はさらに悪化していた。
リグナムバイティの宮殿内の医務室
数多くの癒しのルーンに囲まれたレギリス
自分を包み込む温かい魔力に目を覚まし、やっとの思いで体を起こした。
「ここは…」
回復カプセルから起きて周囲を見回すレギリス
とても見慣れた雰囲気
かつて護衛隊長になる前の過酷な訓練を終え、毎日のように出入りしていたまさにその場所
しばらく郷愁に浸っていた彼の前にルーンが活性化し、周囲の魔力を集めてエルフの形を作り始めた。
彼の前に現れたのは、昔の友人であり上司でもあったハインリだった。
もう目を覚ましたんですか? 昔はこれよりもっと長く気絶したままだったんですよ。」
突然のハインリの登場にかなり驚いたレギリス。
懐かしい友達に会えて嬉しかったが、顔を合わせるには気まずいのか、目を合わせることなく小声で挨拶した。
「ハインリ.. お久しぶりです。 "
ここを出てから初めてですね。 レギリス
短い瞬間に彼と目が合うと、顔に影が差し、視線をそらす。
「今でもそのことで自責の念を抱いていらっしゃるのですか?」
森の外でシーフマスターという異名を得たとしても
彼の内面は依然として過去の足枷に縛られているようだった。
「プライムの死はあなたの責任ではないと、私がそう言わなかったでしょうか?
あなたがいた どうせ何も変わらなかったでしょう!」
エルフだとしても、彼がここに戻ってきたのは数十年ぶりだ。
それにもかかわらず、去った当時とまったく変わっていない姿の彼を見て、もどかしいハインリが叱った。
いや、あの時席を空けさえしなければ.. 代わりに、死んでも守れたはずです。
そして暗殺と言っても、結局関係者は誰一人見つけられなかったではありませんか。?」
レギリスがあまりにも激しく唇を噛みしめて後悔する様子を見せると
ハインリは自分が無駄な話を持ち出したと謝罪し、彼を呼び出した用件を明かした..
率直にお尋ねします。 あなた、王室に復帰なさるつもりはありませんか?」
予想外の突発的な質問に、似つかわしくないかすれ声で問い返すレギリス。
本気ですか? ハインリ
何も言わずにリグナムバイティの統計を展開して、彼に見せよう
想像以上に深刻な状況だと分かった。
その中でも特に目立つ3つ
-過度な平和意識にまみれて武力を失う-
-結界による周辺国との交流遮断-
-技術者の不在によるルーン技術の衰退-
「この程度だとは…」
自分が森を出て以来、戦闘力を失うのはまだしも、まさか技術まで衰えるとは思わなかったという反応。
途中で大臣のせめぎ合いに耐えられず、姫が機械帝国へ亡命すると、唯一の技術者が失われ、王室の後継者まで途絶えてしまった。
最悪です。 いろいろと。 もう望みがないと言うか…」
それでも女帝様が.. いらっしゃいませんか? "
"..."
ハインリは、女帝が王国の存続を否定したということだけはどうしても言えなかった。
王国の武力回復のため、藁にもすがる思いでレギリスに頼んだが
彼はすでに他国に忠誠を誓った身
そもそもここに来たのも、彼が単独で行動したに違いない。
予想どおり、簡単に黄金帝国を見捨てることができなかったレギリスは、丁寧に断った。
このような時に力になれず、本当に申し訳ございません.."
いいえ、承知しました。 お互いに守るべきことが多い立場だから。 私も半分冗談で言ったことですから、あまり気にしないでください
序論を終えたハインリが空咳をしながらレギリスと真剣に向き合った。
では、本題に入りましょう
「あなたもご存じのとおり、現在、機械帝国の人間たちがここに来ています。」
そもそもそれについて疑問だったのに.. 何ですって? あの気持ち悪い殺人兵器について? "
殺意と憎しみに満ちた表情で反応するレギリス。
「本人たちは上層部の命令でここに来ただけで、関係ない」と主張していました。"
ありきたりな答えですね。 やっぱりあの時、あいつを殺しておけばよかったのに..くすっ..!」
興奮で傷が再び開いたレギリスをハインリがなだめながら話を続けた。
少し落ち着いてください。 あなたを連れてきたのがその人です。 まず、彼らの言っていることは事実のようですが…..
捕まることは、彼らが到着した瞬間に、あいつによって会議場が襲撃されたということです.. "
襲撃だと.. あいつはずっと森でだけ活動してたはずだけど…?」
「帝国の人間たちが奴を粉砕したので、特に被害はありませんでした。 彼らが教えてくれた情報によると
あいつは、確実な帝国製で暗殺用に設計されたアンドロイド、通称「アサシンロイド」だそうです。
アサシン・ロイド.. なんて素敵な名前だ。 "
「隊長のアレスという男は、3号機で、まだ1号機と2号機、つまり少なくとも2基以上が存在し得ると教えてくれました。"
最高状態のレギリスと同等の強さを持つ兵器
そういうのがまだもっとあるということ
もしそれらが王国に侵入したら……..
苦悩に沈むレギリスを見て、ハインリが別の脅威の可能性に言及した。
結界が張り巡らされたこの場所に外部から入ることは不可能であり、だからこそここは孤立しているのである。
森に侵入しただけでなく、王国にまで襲撃を敢行した機械帝国の兵器
これは果たして外部者が単独で行った行為なのだろうか?
もちろん違う。
「内部者」
ハインリは頷き、レギリスは自分の前に置かれている護衛隊長ローブと軍装を見つけた。
「これは…」
魔力と反応性に優れた素材とルーンを加工して装飾した軍装、そして迅速魔法がエンチャントされたローブ。
現在のリグナム・バイティでは、職人の不在により、もはや製造が不可能な貴重品でもある。
着用されていた装備がすべてボロボロになっていました。 私が用意した贈り物ですので、受け取ってください
ベルトを締めてローブを羽織ると、まるで見慣れた主人に会ったかのように、レギリスの全身を風が包み込み、やがてローブに吸収された。
世界樹の魔力のおかげか、普段よりもさらに強力な黄金の輝きを放つ短剣たち。
準備がすべて整ったら、ハインリは自分はもう用事が終わったと言い、女帝が待っているので「
面会しに行けという言葉を最後に、彼を構成していた魔力が散った。
レギリスは全身鏡に、護衛隊長時代の姿である自分を見つめた。
プレゼントが何でわざとらしいんだよ..
相変わらずだな、我が補佐官は
不機嫌そうな表情で見つめ、諦めたようにため息をついて医務室の外へ出て行った。
人の気配が減り、普段よりさらに静かな回廊
何十回、何百回と足を運んだ場所だからこそ、彼は慣れた足取りで女帝の執務室へ向かった..
執務室の窓越しに、複雑な表情で都市を見つめる女帝。
あれこれ考え込んでいた彼女を起こしたのは、ドアの向こうから聞こえた護衛兵のノックの音だった。
女帝様、レギリスです
アリサは「入れろ」という言葉とともに両手で頬を叩き、椅子に戻って座った。
扉が開くと、護衛隊長の姿をしたレギリスが入ってきた。
彼が謁見した女帝は厳かな表情で姿勢を正めていたが、頬が赤く腫れていて、どこか滑稽に見えた。
「あなた…あなた、その服はどうやって?」"
旧護衛隊長レギリス、女帝にお目にかかります
女帝はローブをまとった彼を見て、さまざまな感情が交錯し、昔話をしたくなったが
状況が切迫しているため、先延ばしにして彼を呼び出した用件を伝えた。
長々とは言わないよ。 レギリス、この場所を脅かす外部者を阻止してくれ。 人間たちと共に
予想していた話が出ると、即座に拒絶するレギリス
自分の種族をあまりにも惨たらしく殺害した、特に共犯かもしれない男と合流しろだと? 全く理解できない彼は声を荒げた。
女帝様、私はもうここに所属していません。 命令を受ける義務も、それを遂行する義務も、すべて私とは無関係なものです。
しかも人間たちと一緒にしろだとですか? これらすべての元凶は機械帝国ではありませんか?
でも、そこで来たあの人たちと一緒に争えというのですか? そんなのあり得ますか?」
ハインリの話を最後まで聞けなかったな。 これを見て
アリサがテーブルの上にスクリーンルーンを置くと、映像が再生された。
会議場の窓を壊して乱入した3号機、そしてそれに立ち向かうアレスとリズの姿
リーズさん…
かつてリズと組んだ記憶がよぎり、3号機が自分の技と動きを完璧に再現し、二人に猛攻を仕掛けた
アレスのレイピアで3号機の胸部が貫かれ、映像が終了した。
もう分かったよね? あのAndroidはレギリスやあなたのような動きを見せた。
アレスは相手の戦い方をコピーして対処するのが気まずくて
互いにデータを共有して、自分と同じケースを作り出すそうだ
確かに、彼が見た映像の中の3号機は自らの動きを見せており
初対峙後の戦闘中に、あいつが突然姿を消したのは、ここを襲撃するためにイムを
気づいたレギリスは押し寄せる自己嫌悪に体を震わせた。
そんな彼を見て、女帝が再び説得を始めた。
「多数が存在する可能性。 しかも、一つ一つがあなたと同等であれば..
どんなにあなたでも、単独行動は死に直結だ。 だから人間たちと一緒に行けということだ
ご意図は理解いたしました。 女帝様
「あなたが合流する分隊には、人間だけでなくお姫様も一緒にいるだろう。 久しぶりだから、せめて挨拶でも交わしてよ」
アリサはアズサが改造した帝国製通信ブレスレットを手渡し、挨拶を終えた。
不機嫌そうに両手で物を受け取ったレギリスは、もう用件がないので彼らに合流するよう命じた女帝。
ご配慮に感謝します 女帝様
過去とは違う雰囲気
時が経っても変化の少ない種族であるエルフだったが
結局、彼らも知性体だ。
克服できない傷は、何十年、何百年が過ぎても消えない。
お姫様をお願いします。 「護衛隊長」さん
事務室の外に出たレギリスは、彼女が渡した腕輪のルーンを起動し、機械帝国の人間たちに通信を送った。
私は黄金帝国所属のシーフマスター、レギリスだ。 今いる場所に合流するので、位置を共有してください。 "
歓迎する!! エルフバーサーカー!! すごく心強い
このバカは無視していただいて構いません。 レギリスの座標をお送りしましたので、お探しいただけるはずです.."
「何だって?!」
馴染みのある二つの声が言い争う声が聞こえ、通信は終了した。 ブレスレットに小さな矢印が現れ、特定の方向を指し示し
壮大な回廊に再び足を踏み入れた彼は、複雑な表情で目的地へと歩き出した。
深い夜
闇に包まれた巨大な都市の真ん中で輝く巨大な赤いルーン
その間にヘッドライトを灯して立っている巨大な建物。
-機械帝国保安局-
事務所で書類を確認しているアンデス局長のもとに、秘書室長のサラが近づいて報告書を手渡した。
報告書の内容を確認し、作業が順調であることを確認した彼は、小さく微笑みながら指導部に連絡しました。
指導者と短い通信を交わしたアンデスは、報告書に署名し、サラに渡した。
サラは報告書を巨大な通信ルーンに装着された機械に詰め込み
ルーンの力で散らばった紙が魔力に変換され、指令がレーザーのように空へと舞い上がった。
赤い尾を残して飛んでいた魔力は、ドレッドノートのアンテナにまるでぶつかったかのように送信され、戦艦の通信ルーンが光り始めた。
アサシンロイドが手を変形させて通信機器と接続し、保安局の新たな命令をアップデートした4号機は外へ出て、再び森へ向かって高速で移動した。
送信を終えた通信ルーンの光が徐々に弱まり、吸い込んでいた魔力が散った。
アンデスは保安局のブラックエージェント名簿を見ながら席に戻ろうとしていたサラの意見を尋ねた。
君が推薦したのでテジナを送ったが.. 全然信用できないってことだ。 はたしてこの女が任務をきちんと遂行できるだろうか?」
局長のご懸念は理解しております。 しかし、彼女の武装がこの任務に適していると判断しました。 実力も確かです
サラはテジナに関する分析報告書をアンデスに差し出しながら話を続けた。
「我々は、両腕を失った彼女に技術を提供することで、帝国への奉仕を求めたではありませんか。
決して軽率に行動することはできないでしょう。 もう一度障害者に戻りたくはないのなら、の
テジナの可変式両腕と、補給品であるブラックエージェント専用装備のステルスローブなどが記載されていた。
彼女に関する情報が記録されたルーンを無効化するアンデス
「見てやるが、あいつをあまり信用するなと、単独で何をするかわからない。 人間性が濃すぎて、不完全に見える
彼女も人間ですから。
とりあえず、保険はかけておきましたので、大丈夫だと思います。"
終わりのない業務量で感情さえ枯れ果てたサラは、自分の席に戻りました。
局長はルーンスクリーンを再び広げ、テジナの情報に目を光らせ始めた。
再びエルフの森の奥深く
アサシンロイド1号機、2号機と待機しているテジナ。
まもなく4号機の信号が彼らに届き、新たな命令を受けてアップデートを開始した。
―エルフの国リグナムバイティの女帝を射殺せよ―
えっ、こんな内容を伝えたくてこんなことをしたのか?
最初から入力しておけって言ってるじゃん.. 本当に…面倒くさいな
ついに行動許可を得た手減長が、1号機と2号機の頭部に両腕を接続し、命令を再入力した。
-邪魔者が現れたら、それを最優先目標に設定-
2体のアンドロイドが目を輝かせて入力を終えると、テジナは隠密ローブを羽織り、両腕のルーンを発動させました。
彼女の脚に装着されたスピードアーマーが機械音を立てて共鳴した。
「鼻の高い指導者が自ら開設した特殊部隊の実力を見せてやろう」
巨大な木々の影の間を、4つの赤い閃光が軌跡を残しながら消えた。
バーサーカーエルフ! よく似合うあだ名です。
遺体は見つからなかったが、それでも自分の王国を案じる心の深い兵士です




