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真実の愛で捨てられる妻に転生してしまった!  作者: もも


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4/8

 3日後ウィルヘルムは物凄い勢いで仕事を片付けルシアをデートに連れ出すことに成功した。


ルシアのデイドレスは水色のプリンセスラインだ。

白いレースが襟と袖口に使われていて清楚さを引き出している。イヤリングと指輪は小さめのブルーサファイア。


部屋まで迎えに来たウィルヘルムは固まり口を押さえた。


「似合ってない?メイドたちが張り切ってくれたのだけど」


「そうじゃなくて、可愛すぎて言葉が出なかった。水の妖精かと思った」


「ありがとう、嬉しいわ。ウィルも素敵。黒のスーツに紫色のポケットチーフが効いているわ」


「気に入ってもらえて何よりだ。じゃあ出かけようか?お手をどうぞ、奥様」


「今日はどこへ連れて行ってくれるの?楽しみにしていたのよ」


「任せてくれ。君が喜ぶところだよ」





そう言ってウィルが連れてきたのは高級宝飾店だった。


「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。バーモント子爵様、奥様」

支配人がにこやかに出迎えた。


「妻にアクセサリーを贈りたい。ブルー系の宝石を見せて欲しい」


「ご用意は出来ております。奥の部屋へどうぞ」


豪華だが品のいい応接室のような部屋に通された。



テーブルにはサファイア、アクアマリン、ブルーダイヤモンドといった定番からタンザナイト、アウイナイトといった希少石まで取り揃えてあった。


流石王都の一流店だ。本物の輝きがルシアを捉えて離さない。


値段が分からないので顔に出さないように平気な振りで宝石を見つめる。

大きくて綺麗だ。途方もない値段だと思うが、ここは慰謝料のひとつとして受け取っておくべきよね。前世の記憶が囁く。


「結婚後の初デート記念だ。どれが良い?」


「どれが良い?」なんてケーキでも選ぶような言い方だ。


「ウィルの瞳の色に似てるのはこのサファイアかしら」


「じゃあこれを指輪に加工して貰いたい。お茶会や一緒に出かける時に着けるといい」


「ありがとう、ウィル」

にっこり笑っておいた。ここで震えてはウィルの顔に泥を塗ることになる。

指輪のサイズを測りデザインを決めた。出来上がったら屋敷に届けてもらうことになった。



次に行ったのは大型書店だった。壁一面に本、本、本だ。迫力に圧倒される。

陽に焼けないように店内はカーテンがしてある。

室内灯が店内のあちらこちらに吊るされて、本を読むのに支障がないようにしてあった。


「好きな本を買うといい」


頷くとルシアは刺繍の図案の本とミステリー小説と恋愛小説を数冊選んだ。

彼は歴史書を買っている。かなり買ったのでずっしりと重い。本は届けて貰うことにした。帰る頃には届いているだろう。


「ありがとう、大切に読むわね」


「うん、俺もミステリー小説を読んでみようかな」


「えっ?先に読む?この作家面白いのよ。私は図案を見るからゆっくり読めばいいわ」


「いや、ルシアが読んでからでいい。同じ本を読みたいだけだ」


「えっ?嬉しい。感想言い合うとか良いよね。推理し合うのも楽しそう」


薄暗い店内から表に出てウィルの腕を取った時、鈴を転がすような可愛らしい声がした。




「あら、ルシア様ではありませんか。マリア・サンドラですわ。ほら学院で仲良くさせていただいていましたでしょう。お忘れになったの?」


ヒロインだ。さすが美少女。艶のあるピンクブロンドの髪につぶらな金色の瞳、肌は陶器のように白く唇はさくらんぼのようにぷっくりと赤い。

細いのに出るところはでている。

男性の庇護欲を掻き立てる容姿をしていた。


だが「お忘れになったの?」と言われても学院で親しくした覚えはない。

挨拶はしたかもしれないが。


授業が終わると急いで公爵家での淑女教育を受けていたのだ。

友人は気の合うアイリス侯爵令嬢だけだ。


私は隣のウィルを見て首を横に振った。彼はヒロインではなく私を見つめている。私はウィルの手をぎゅっと握り直した。


「サンドラ伯爵令嬢様でよろしかったでしょうか?在学中に仲良くさせていただいた方の中にはいなかったように思いますけど。

ごめんなさい。愛する主人とデートの途中ですの。どなたかとお間違えですわ。失礼いたしますね。急ぎましょうか?ウィル」


「そうだね、時間が迫っている。それに…君の友人なら全員把握している。

私が知らないというのはあり得ない」


さらっと貶めてくれた。嬉しい。


「…そんな覚えていないなんて酷いです。あれほど仲良くしていただきましたのに」

ぽろぽろと涙を零した。えっ!?ここ、泣くところ?


私を責めて同情を買い夫と知り合いになろうとしているのかしら。


ウィルを見ると呆れた顔をしていてほっとした。


淑女がむやみに泣き顔を見せるものではないが、これがヒロインのイベント?


悪いけど話の通じない人と関わる気はない。

夫にぴったりと寄り添い彼女の前から歩き去った。




ウィルが味方についてくれた。これほど心強いことはない。


それともこれをきっかけに絡んでくるのだろうか?ヒロインは。

読んでいただきありがとうございます!

脱字報告ありがとうございました。

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