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遅れて重なる 第3話

第3話


風が止まっている。

開けた場所。

音が少ない。

崩れた構造体の内部。

閉じた空間。

イリスが立つ。

ギアは少し離れている。

距離は一定。

揃ってはいない。


「さっきのやり方」


ギアが言う。


「再現できるか」


イリスは答えない。

だが、動く。

敵が現れる。

三体。

近い。

速い。

ギアは踏み込まない。

見る。

イリスが先に出る。

少し早い。

敵が反応する。

揃いかける。

ギアはまだ動かない。

一拍。

遅らせる。

そこに入る。

一体、崩れる。

だが浅い。

倒れない。

位置がズレる。

想定と違う。

二体目が入る。

ギアが弾く。

押し返される。


「……足りないな」


低く言う。

イリスは止まらない。

もう一歩踏み込む。

今度は遅い。

敵の動きに合わない。

空を切る。

ギアがカバーに入る。

間に合う。

だが流れが切れる。

三体が揃う。

囲まれる。

一瞬。

静止。

ギアが言う。


「無理に作るな」


イリスの動きが止まる。

ほんのわずか。

その瞬間、敵の軌道が崩れる。

ギアが入る。

斬る。

一体、落ちる。

残り二体。

距離を取る。

呼吸を整える。

乱れていない。

だが、合ってもいない。


「……違うな」


ギアが言う。


「狙うとズレない」


イリスは短く返す。


「そういうものだ」


沈黙。

敵が来る。

今度は同時。

イリスが動く。

ギアは見ている。

合わせない。

結果だけを見る。

一体、落ちる。

もう一体。

遅れて入る。

仕留める。

静止。

風はない。

それでも、わずかに揺れる。

遅れて。

ギアが視線を上げる。


「……あるな」


イリスは言う。

「消えてない」


短い沈黙。

ギアが小さく笑う。


「じゃあ」


一拍。


「まだ使える」


イリスは否定しない。

二人は動き出す。

揃わないまま。

だが今度は。

少しだけ、意識してズレている。






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