第63話「ラブゲーム」
「サーティー ラブ!」
「フォーティー ラブ!」
「ゲーム ジャコビッキ&フェラーリ! 1ゲームス トゥー ラブ!」
特に番狂わせも何もなく、たったサーブ4球で終わった1ゲーム目。
ベンチに戻ったカリンとリサは、客席のフォンデュたちとミーティングをすることにした。
「何であんな化け物が出てるのよ!? あんなの無理に決まってるじゃない!?」
「まあまあカリン氏、落ち着くでござる。確かにあのサーブを返せたプレイヤーは未だ存在しないとまで言われるジャコビッキの超高速サーブですが、つけ入る隙がない訳ではありませんぞ。というのも、彼は『サーブだけ決めていれば負けることはない』という慢心から、サービスゲーム以外では露骨に手を抜く傾向があるのでござる」
「そして、これはダブルス。彼のサービスゲームは4ゲームに一度しか回ってきません。他をしっかりと取れば……まだ勝機はあります」
「と、言われてもねえ……。それができる気もしないんだけど……」
ここでタイム終了のアナウンスがあり、カリンたちは既に半ば諦めムードでコートへと戻っていくのであった。
***
続いて迎えたリサのサービスゲーム。リサがサーブを放つと、ジャコビッキからはやる気の無さそうな緩いリターンが返ってくる。
チャンスボールをリサは見逃さず、必殺のショットで返す。スピンの利いたその打球は大きいカーブを描き、後衛のジャコビッキから逃げるように右へそれていく。
「出ましたな。リサ氏がテニス漫画の知識だけで習得した必殺技『コブラ』が」
追おうともせず、棒立ちのジャコビッキ。決まった。誰もがそう思ったその瞬間。
「ラブ フィフティーン!」
先ほどまでネット際にいたはずのフェラーリが瞬間移動のごとく現れ、鋭いカウンターショットを決めたのだった……。
「ゲーム ジャコビッキ&フェラーリ! ツー ゲームス トゥー ラブ!」
その後もフェラーリの鉄壁の守備範囲を前に成す術もなく、2ゲーム目も落としてしまうのだった……。
***
「うん、無理ね。フィギュアは諦めてちょうだい」
完全に諦め、帰り支度を始めようとするカリン。
「そこをなんとか! 景品のフィギュアはここでしか手に入らないプレミア物なのでござる!」
必死の表情で懇願するフォンデュ。
「そう言われてもねぇ……。あんなのにどうやって勝てばいいって言うのよ……」
「フェラーリは100メートルを1秒で駆け抜ける俊足の持ち主ですからな……。その俊足はコート全域を守備範囲に変えますぞ。腕力は低いのでパワー系の打球には差し込まれがちになるという弱点こそありますが、リサ氏は気合いで推しの技を習得しただけのノーパワー戦士ですからな……」
「相性としては最悪と言ってもいいですね……」
「カリン氏がその有り余るゴリラ力を如何なく発揮することさえできれば、或いは……」
「オーケー、分かったわ。まずはアンタを血祭りに上げてからね」
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