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第60話「店に架かる虹」

「続いての商品はこちら!」


 次にガウェーインが取り出したのは、真っ黒にコーティングされた金属製の小手のようなものであった。人差し指の部分だけが50cm長の真っ直ぐな管になっているのが特徴的で、その根本には謎のタンクも付けられている。


「火炎魔法を使う際、なかなか真っ直ぐ飛んでいってくれない。そんな悩みはありませんか? この『着ッ火ァーマン!』なら、そんな悩みも楽々解決できます!」


「へぇ? カリンにピッタリじゃん」


 ノアがニヤニヤ笑いながらカリンの方を見る。


「うるさいわね……。でも、確かにこれはさっきのやつよりは使えそうね」


 試しに装置を右手に着けてみるカリン。


「結構重いわね……」


 50cmの金属筒と謎のタンクのおかげで、はめると中々の重量感があった。


「しかも筒の内側なんかベタベタするんだけど……何よこれ……」


「そのベタベタこそがこの製品のミソなのです! 申し訳ありませんが、我慢してください!」


「そうなの? なんか気持ち悪くて嫌なんだけど……」


 カリンは苦虫を噛み潰したような表情になりつつも、筒部分に左手を添えて、スナイパーライフルのように狙いを定める。その照準の先には、的代わりのキャンドルが置かれていた。


 カリンが指先に火を灯した次の瞬間。筒の先端からものすごい火柱が上がり、あっという間にキャンドルを蝋部分ごと消し炭に変えてしまった。


 天井のスプリンクラーが作動し、雨が降る店内。発射の反動で後ずさりしながら、唖然とした表情のカリン。


「こちらのタンクには、ラードとホルモンをミキサーにかけた燃料液が入っていまして、筒の内部に燃料を供給できる仕組みになっています! 超火力を実現することで、炎がブレるのを防ぐことができます!」


「は、はぁ……」


 あまりの惨劇を前に、コメントも出てこない一同。


「とりあえず……手洗ってくるわね……」


 装置を外したカリンの右人差し指は、酸化した脂でギトギトになっていた。


 *** 


「最後の商品はこちらです!」


 何事も無かったかのように商品紹介に戻るガウェーイン。


「いや、もうどういう路線か分かったから、帰ってほしいんだけど……」


「最後の商品は一味違いますよ!」


 そう言って取り出したのは、一見なんの変哲もなさそうなワイヤレスイヤホンであった。


「その名も『魔力増幅イヤホン』です! 脳波に直接作用する超音波を発することで、使用者の魔力を増幅させ、パフォーマンスをアップすることのできる優れものです!」


「へ、へぇー……」


「順番的にアオイ、使ってみる……?」


 さっきまでのガラクタ二つを見せつけられたカリンとノアは既に半信半疑だ。


「え、いいの? わーい! じゃあ、床のお水をちゃちゃっと片づけちゃおうかな!」


 嬉々としてイヤホンをつけるアオイ。とても同じガラクタを近くで見ていた者の反応とは思えない。


 スプリンクラーで水浸しになった床の水分を、増幅された魔力で一片に移動させてしまおう。そう目論んでアオイが術を使った、その時だった。


 浮き上がった水がその質量をみるみると増していき、巨大な水柱となって物凄い勢いで打ち上がる。水柱はあっという間に店の天井に風穴を空け、勢いそのまま空の彼方へと消えていった。


 開いた口が塞がらない一同。


 見事な吹き抜けとなった天井に架かる綺麗な虹を眺めながら、三人は同じことを思うのであった。


「ああ、今月も給料なしかぁ……」



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