表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/82

『勇者ユーリ=ハサマールの冒険 〜決着〜』

 姫たちが……自分から魔族の手に降りた……?


 目の前の魔族によって語られた真実に愕然とする俺。


「そんな訳があるか!? いい加減なことを言うな、この魔族め!」


 俺は精一杯の虚勢をイサベラへと向ける。


「まあ私も始めは何事かと思ったから、信じたくない気持ちも分からなくはないわ。でも、悪いのは貴方たち王都の人間たちよ。何か身に覚えはないかしら?」


 意地悪い笑みを浮かべ、イサベラは俺に問いかける。


 うーん……。身に覚えと言われても、正直姫たちの情報はあまり知らないが……。美人姉妹で、百合で、縁談を全て断っていたというくらいしか……まさか!?


「あら、気づいたみたいね? 姉妹同士愛し合っているにも関わらず、無理矢理縁談を持ちかけられるのがよっぽど嫌だったみたいね……」


 まさかこの事件の真相が、姫たちの意思による脱走だったとは……。俺はガックリと膝を落とす。


 姫たちが自ら魔界に行くことを選んだのであれば、ここでイサベラを倒したところで、姫たちが俺になびく可能性は限りなくゼロに近い……。


 くそっ……! 俺は一体何のために……!?


 いや、まだだ。諦めるにはまだ早い。


 俺は顔を上げ、イサベラを見据えて立ち上がる。


「あら? 私を倒しても姫たちは戻らないわよ?」


「かもな……。だが、俺は諦める訳にはいかないんだ! 挟まる為にな!」


 刹那、イサベラの瞳から光が消える。


「ああ、貴方そういう……」


 イサベラはそう呟くと、先刻までとは比べものにならないほどの威圧感を放つ。


「一ついいことを教えてあげるわ……。私がこの世で一番嫌いなものはね……百合に挟まろうとする男よ!」


 臨戦態勢に入るイサベラ。もう戦闘は避けられないか……。俺も背中の相棒へと手をかける。


「そんな棒きれで私と戦うつもり? 私、弱いものいじめをする趣味はないのだけれど?」


「ふん。俺の『ボウ・オブ・ヒノキ +10』を馬鹿にしてると痛い目をみるぜ?」


 王から貰った剣と盾は、あの日質屋に出してしまった。だが俺には、長年共に魔物を退け続けてきた相棒がある。コイツさえあればイサベラも恐れるに足らないはずだ。


 会議室の床を強く蹴り出し、俺はイサベラへと突撃する。


「まあいいわ。私はどのみち貴方を許す気はないもの」


 イサベラは冷たい笑みを浮かべると、魔法の詠唱を始めた。


「消えなさい。『灼き尽くせ 紅蓮の火矢フレイムアロー』」


 イサベラの構えた指先では、どこからともなく炎が集まり矢の形を成していく。矢と呼ぶにはあまりにも巨大過ぎるそれは、突撃する俺にめがけ、容赦なく真っ向から放たれた。


 もはや避ける術は無い。真っ向から切り裂いてくれる。


 そして相棒を振りかざした刹那、俺の肉体は跡形もなく焼き尽くされた……。


 勇者ユーリ=ハサマールの冒険 ~完~

お読みいだだきましてありがとうございます!

この作品を気にいっていただけましたら、評価やブックマークを押していただけると嬉しいです!

また、感想やレビューもいただけると大変励みになります!

もしよろしければお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ