もふ51 もふもふ毛糸のぱんつの秘密
「お留守番なんて嫌ですうー!」
アンドレアは手足をジタバタさせて抗議した。
「しかし、アンドレア姫、ドラゴンの縄張りの山は険しく森深いだけではないのですよ。ドラゴンが外敵を退ける為に襲って来るかも知れませんよ。」
ドン・サンチェス単身ならば何とか山へ入れるが、アンドレアを連れて行くとなると話は違って来る。
彼女を護りながら山道を行くのは、足手まといとまでは言わないが、いや、やっぱり足手まとい以外の何ものでもない。
「でも、でも、ちーちゃんは私が見つけたんです! 今は私がお母さん代わりです! うわーん!」
しかし、ドン・サンチェスやちーちゃんに近づくこともできないアンドレアは、セニョリータ・パパゲーナのシールドをガシガシ叩きながら泣き出してしまった。
「困ったなあ。」
黄金の卵は腕組みをして黄金のしっぽをぴょこぴょこさせた。
しかし、
「一緒に行きますー!」
がしっ!
アンドレアがシールドを力任せに叩くと、驚くべきことに、シールドが掻き消えた。
「ええっ!?」
凄まじい放電をも耐えた私のシールドを魔力を持たないアンドレア様が破るとは! パパゲーナは戸惑いを隠せず、レアルを振り返った。
レアルは苦虫を噛み潰したような顔で首を振っている。
さらに、
「とっ、とっ、と……。」
「危ない、アンドレア様!」
急にシールドを失ったアンドレアは、つんのめり、未だ帯電しているドン・サンチェスに身体ごと突っ込んでしまった。
しかし、次の瞬間、パパゲーナはアンドレアが黒焦げになるのを覚悟したのにも関わらず、
もふんっ。
ドン・サンチェスからパチパチと火花が飛んだものの、もふもふはいつものようにアンドレアを受け止めた。
「な、何故なの?」
パパゲーナはドン・サンチェスに埋もれたアンドレアとレアルを交互に見た。
レアルはパパゲーナに目配せをする。余計なことは言うなということか。
「仕方ありませんね。」
ドン・サンチェスはふわふわパリパリした毛の中にしがみつくアンドレアの肩に手を回した。
この前のお出かけも途中で切り上げてしまったし、元々、奥さんには甘いのだ。
「けれども、森の中は寒いですから、暖かくしていかないといけませんよ。」
「ちー!」
意義なし、とばかり、ちーちゃんがふわふわとアンドレアに近づき肩に止まった。
「ありがとうございます! サンチェス様、ちーちゃん!」
ぱあああっ、と、アンドレアの顔が輝き、ドン・サンチェスに一層、強くしがみついた。
「大丈夫です! サンチェス様の(毛糸で編んだ)腹巻きと毛糸のぱんつを履いているからちっとも寒くありません!」
「け……ぱ……!」
金色に光るドン・サンチェスの頬が、ぽっ、と、ほんのり赤く染まった。
「アンドレア姫ったら、淑女がぱんつの話なんて……!」
「だって、この前のショールはみんなに不評だったから、ほどいて編み直したんです。見えなければ平気でしょう?」
「口に出したら同じことです!」
こほん! と、咳払いをしてレアルがたしなめた。
アンドレアは雷で吹き飛ばされて方々に散らかってしまったお菓子を拾い集めて籠につめ、手に下げた。
「お弁当はこれで良し。準備できました。」
「では、参りましょう。じゃ、レアル、セニョリータ・パパゲーナ、夕飯までには戻るから。行ってきまーす。」
「ち!」
こうして、ドン・サンチェスとアンドレアは、サンダードラゴンの赤ちゃんのちーちゃんを母親の元へ返すべく、ドラゴンの統べる山へ出かけて行った。
「アンドレア様は何故、私のシールドを破ることができたの? それに、帯電しているドン・サンチェスに触れても平気だなんて。」
セニョリータ・パパゲーナは複雑な表情で彼らを見送った。
やはり、ドン・サンチェスの毛で編んだモノを身につけていたのか。
先日の誘拐騒動の時も、ホセの放った魔法に反応してシールドが発動したと言っていた。
アンドレアもカミラも、レアルの使い魔ピアの仕業だと信じて疑わない様子だが、恐らくはアンドレアの編んだショールのせいだろう。
抜け毛にまで力が宿っているとは、いやはや、凄まじい魔力だ。
レアルは首を振った。
いつもお読みいただきありがとうございます!
ブックマークとても励みになっています。
引き続きお楽しみいただけたら嬉しいですʕ•ᴥ•ʔ




