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もふ49 もふもふ・オブ・ザ・ゴールド


 凄まじい光と轟音に大地が揺れた。


 セニョリータ・パパゲーナが両翼を広げアンドレアとレアルの前に立ち、魔法陣でシールドを作るのがあと一瞬遅かったら、アンドレアは衝撃波と共に襲い来る火花放電に飲まれ、黒焦げになっていただろう。


 しかし、パパゲーナの魔法陣はちーちゃんのごく近距離にいたドン・サンチェスまで守ることはできなかった。


「サ、サンチェス様っ。」


「アンドレア様、動いてはなりません。」


 アンドレアはレアルの手を振り払いドン・サンチェスの元へ行こうとするが、シールドに阻まれ先へ進めない。


 アンドレアは泣きながらシールドを叩いた。


「パパゲーナさん、シールドを解いて!」


「できません。」


 パパゲーナの無機質な返事はアンドレアの耳には無情に聞こえた。


「いやあっ! サンチェス様っ、サンチェス様あーっ!」


 私のせいだわ。私がサンチェス様に松の実を食べさせるよう言ったから……私の、私の……!


 アンドレアはそれ以外言葉を続ける事ができなかった。





 眩い光と砂埃にとざされていた視界が、次第に元の中庭の風景を取り戻していった。





「お前、本当にサンダードラゴンの子だったのか。」



 ドン・サンチェスの穏やかな声が、光と涙でまだ目の眩んでいるアンドレアの耳に届いた。




「ごめんよ、ガロ・ジュニアなんて呼んじゃって。嫌だったよね。」


「ち、ち。」


「そうか、そうか。ははは……。」





「さすがはドン・サンチェス。あの凄まじい雷を吸収しておしまいになるとは。」


 セニョリータ・パパゲーナは改めて偉大な主人に畏れを抱いた。


「何と言う強大な魔力だ。」


 パパゲーナのシールドのこちら側にいても、びりびりと強力な気を感じ、レアルも感嘆の声を上げる。




 両手で涙に濡れた顔を覆っていたアンドレアが恐る恐る顔を上げると、そこには




 黄金に輝く



 熊ちゃん・オブ・ザ・ゴールド(しっぽ付き)



 の姿があった。



 電気を帯びた毛が総立ちになり、まるでしっぽのついた巨大な金の卵だ。


 卵はくるりとアンドレア達の方を振り返り、黒目がこちらを見て



 ちょんちょん。



 と、まばたきをした。




 ズキュウウウゥゥーーン!!



 アンドレアの心臓は雷に撃ち抜かれ、



「んふぁぁああーー!」



 再びその場に崩れ落ちた。



「アンドレア様、お気を確かに!」


 セニョリータ・パパゲーナが慌てて抱き起こす。



 尊い……。


 尊すぎる……!



 アンドレアはほんの一瞬でもちーちゃんに心を奪われ、夫をほったらかしにしてしまった自分を恥じた。


 ドン・サンチェスの未だ秘められたもふもふの可能性に手を合わせずにはいられない。


 彼のボサボサの手の上で、放電の名残りで白い光の玉になったちーちゃんも嬉しそうだ。



 それにしても。



 ちーちゃんはむしろドン・サンチェスの隠し子では!?

 


 この場にいる誰もがそう考えたものの、目下放電中のドン・サンチェスを前に、流石に口には出せなかった。




「ちーちゃんはやっぱりドラゴンちゃんだったのですね。」


「いいえ、アンドレア姫。」


 ドン・サンチェスは、バチバチっ、と、放電をしながらいささか厳しい口調で返した。


「ちーさん、いや、ちー殿とお呼びしましょう。」


 魔族の首領、ドン・サンチェスの言葉は絶対である。


「生物の頂点に立つドラゴンに、ちゃん呼びは如何なものかと。」


「はあ、ちーさん、ですか。」


 アンドレアは、若干違う、と思いつつも、可愛くも神々しい我が夫に反論するつもりは微塵もなかった。





 お読みいただきありがとうございます!


 ブックマークとても励みになっております。


 引き続きよろしくお願いいたします。


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