教信者の思惑
「レアドゥ研究所ではエネルギーの代替も計画されてるネ、それに、石炭がどれだけ埋蔵されてるか不明ヨ。だけど、どうにも動きが鈍いネ」
「へぇー、色々やってるんだねー」
今四人でコールスに向かってるんだけど、ギレーアはずっと無言だし、深守さんは案内以外で話さないから、ずっと蛙蛇さんと話してる。主に開発都市<レアドゥ>で研究してる事、なんかレアドゥ研究所で、そこそこ偉い人らしいよ。
「そういえば、斥卦は元気かナ?」
「せっか? 誰だっけ?」
「ウルテアの町長してる筈だヨ? あれ? 自分の勘違いだったかナ?」
そういえば、そんな名前だったねー。ずっと町長さんって呼んでたから忘れてたよ。もしかして、知り合いだったりするのかなー、あまりつながり無さそうに見えるけど。
「町長さんの名前忘れてたよー。うん、元気にしてるよー。知り合いだったりするの?」
「一応知り合いではあるネ。あのオッサンはどうでもいいんだヨ、態々ウルテアに行ったのが気になるネ。何か聞いてないかナ」
ウルテアに行ったって事は、元々違うところにいたって事かな? そんな事言われても何も聞いてないし、何も知らないと思う。ギレーアの方を見てみるけど、首を横に振ってるから何も知らないみたい。なんでそんな事知りたいんだろ?
「私は何も知らないよ? 好きで行ったんじゃないの?」
「んー、そりゃ言いふらしたりはしないネ。あそこってレアルの基地が近いんだヨ、だから何か隠してるかナ、なんて思ったんだヨ。だとすれば、卑怯者ネ!」
よく解らないけど、レアルさんと何か企んでるんじゃないかって事かな? どっちかというと警戒してたような気がするけどねー。それはギレーアだったかな? 少なくとも関わってるって話は聞いたこと無いね。
「多分レアルさんとは関係無いと思うよー」
「んー、まぁ良いけどネ。レアルの技術、一欠片でも大きな発展に繋がるヨ。例えば、皆気にせず使ってるカード。あれの動力って一体なんだろうネ? そういう話ヨ」
あー、そっか、そういえば何で動いてるんだろうね? 電気なんだろうけど充電はしたこと無いし、どうやって動いてるんだろ? 意外と光発電とかで動いてたりして。
「分解するのも難しそうだしねー」
「そうネー。あんな精密なものを解体する機材がないヨ」
話に夢中になってて気づかなかったけど、もうコールスの近くまで来てたみたい。高い壁とか、見張りのための塔かな? そんな感じの建物が見えてきた。なんかちょっと、要塞みたいだね?
「もう少しでコールスに着きます。門番とは私が話をしますので、余計な事は言わないでください」
深守さんは私達のことを問題児か何かだと思ってるの? そのまま歩いてると、大きな門が見えてきた。規模がね、ウルテアとは全然違うんだよ。これが田舎と都市の違いなのかなー、それなら、道も舗装してくれれば良いのに。
「解ってるよー」
「解ってるようには見えないな」
ギレーアうっさい! 私に対する文句ばっかり言うようになっちゃって! それはもう、置いといて。コールスの門の前には男の人が二人立ってた。一人は槍を持ってるから多分門番なんだろうね、目付きが鋭いよ。もう一人なんだけど、神父さんみたいな服をきて、にこにこしながらこっち見てる。
「鉱山都市<コールス>へようこそ。お待ちしておりました」
神父さん? は私達を待ってたみたい。でも、なんだろ? 深守さんは複雑な表情してるし、蛙蛇さんは嫌そうにしてる。ギレーアは、別に普段通りだね。
「何の用でしょうか、青喇さん」
「私は勇者様を迎える為、ここで待っていただけですよ? 深守さん、そんな邪険にしないでいただけますか?」
神父さんとは知り合いなのかな? 仲良しには見えないというか、深守さんが一方的に嫌ってるのかな? 門番さんは完全に蚊帳の外だね。何も言ってないけど、多分通るんだったらさっさと通れって思ってる気がする。
「貴方がここに居ること、それが不思議なんですよ」
「不思議では無い筈ですよ? あぁ、申し遅れました。私は紙上の折手の青喇です。ここから先、深守さんに代わり案内することになっております。よろしくお願いいたします」
この人神父さんじゃなくて、紙上の折手だったんだー。それならここで私達を待ってるのもおかしくは無いんじゃないかなー? それにしても、なんかずっとにこにこしてて、穏やかそうな人だし、神父やってても良いような気がする。
「私、そんな話聞いてないのですが……。いえ、解りました。後の事はお任せします。蛙蛇さん、行きますよ」
「あー、その前に、ちょっと良いかナ? 言っておくヨ、世界を変えるのはネ、天使でも、ましてや悪魔でもない。人間の力だヨ。いい気になってもらっては困るネ」
蛙蛇さん、青喇さんの事そんなに嫌いなのかな? ギレーアも深守さんもひきつったみたいな表情してるのに、言われた本人は変わらずにこにこしてる。心が広いってこういうことを言うのかな?
「紙上の折手の前でよくそんな事言えますね……。もう行きますよ」
あ、深守さんが蛙蛇さんの腕を掴んで引っ張って行っちゃった。何がそんなに嫌なのかな? 昔因縁とかそういうのがあったり? まぁ、私が考えても仕方ない事だよね。それよりも、目の前の事をなんとかしないとねー。
「色々ありましたが、ここから先は私が案内させていただきますね」




