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報道者の思惑

 山道って、最初の頃は色々あって面白いんだけど、ずっと歩いてると変わり映えしないような気がしてくるんだよね。何が言いたいかというと、もう飽きたんだよー。ギレーアが言うにはもうすぐコールスに着くはず

らしいけど、本当かなー。


「ねー、ねー、まだコールスにつかないのー?」


「もうすぐだって言ってるだろ。この道をまっすぐ、二時間だか三時間だかで着くはずだ」


 遠すぎるでしょ、だって二日歩いてるんだよ? いくらウルテアが端っこって言っても、こんなに時間かかるものなの? どっか道間違えてない? ものすごーく文句言いたかったけど、言っても意味無さそうだったから大人しくしてるよ。それにしても、獣道って感じから、ちゃんと人が通る道になってきた感じだね。たまーに、人を見かけるようになったよ。山菜とってるんだって。


「あ、また誰かいるよー」


「なんか採ってるんだろ。邪魔するなよ」


 道の先には、二人居て、どっちも女性でどっちも眼鏡かけてる。背の高い方はインテリっぽくて、低い方は何だろ? 汚れた白衣着ててぼさぼさの髪の毛で、なんか対照的って感じがする。あれ、こっちに気づいたみたい、何だろう? インテリっぽい人は見た事があるような。


「奇遇ですね? 今私はオフなので、あまり詮索するつもりはありませんが、ここへ来たことに対する興味はあります」


「えーっと、誰ですか?」


 あ、インテリな人が固まった。その様子を指さしてボサボサの人が爆笑してる、もうお腹抱えて派手に笑ってるけど、そんなに面白い事あったのかな? ギレーアの方見てみたら、なんか呆れてるみたいだった。確かに見覚えはあるんだけど、誰だっけ?


「紙上の折手の深守です。有名人ともなれば、一度会っただけの人なんて、忘れてしまっても仕方が無いですね」


「お前、忘れてたのか……。最初の取材の時、新聞記者をまとめてたやつだろ」


 あー、もう昔過ぎて忘れてたよー。ウルティアムを引っこ抜いた時にインタビューしてた人だよね。あれから一度もあって無かったんだから、覚えてなくても仕方ないよね? ボサボサの人はまだ笑ってるんだけど、大丈夫? 苦しくない?


「……いつまで笑ってるつもり?」


「アッハッハ! いやー、すまないネ! 自分は蛙蛇あだっていうヨ、よろしくネ! ところでこの二人だ誰かナ? 最近有名な勇者って事かナ? だとすれば、それはそれで面白いネ!」


 蛙蛇さんって、すっごく明るいというか、ハイテンションな人みたい。なんか見た目も凄い個性的だよね、眼鏡だと思ってたのは、スコープみたいだし、変な機材みたいなの背負ってるしね。ギレーアってこういう人苦手みたいで、すこし後退りしてる。悪魔がそれでいいの?


「貴方は少し黙っていてください。勇者スフィアさん、ここへ来たという事は、鉱山都市〈コールス〉に向かうものとみて良いでしょうか? そして、中央都市<イニシア>へ向かうのですね?」


「え、なんで知ってるの?」


 私もギレーアも、どの道を使うかなんて言いふらしてない筈だし、相談をしてた時に居たのは、町長さんと幾岐さんだけだったよ。どうして知ってるのかな?


「紙上の折手は、何処にもいます。ある時は通行人として、ある時は観光客として。そして、私達に完全なオフはありません。どのような状況であったとしても、事実だけを一言も間違いなく記録します。解りますか? 今この会話さえも事実の一つとして収集されています」


「なんかよく解らないけど、凄いねー」


 あ、深守さんが凄い複雑な表情してる。私なんか気に障る事言っちゃったかな? でもよく解んないんだもん、どうしようもないよー。蛙蛇さんがまた笑ってる、本当によく笑う人だねー。


「アッハッハ! 勇者さんって面白い人ネ! こういうのを大物って言うのかナ? 堂々と弱みを掴んでやるっていわれてるんだヨ? それでこの反応は笑うしか無いネ!」


「……こいつは大物じゃない、ただ何も考えてないだけだ」


 ギレーアが物凄く失礼な事言ってる気がするけど、私はただ、なるようになるしか無いよねって前向きに考えてるだけなんだけどなー。それに、弱みって言われてもよく解んない。なにか聞かれて困る事ってあったかなー。


「まぁ良いです。勇者が通りかかったら案内するようにと伝えられてます」


「おや? 良いのかナ? まだ見つかってないネ」


「こちらの役割の方を優先しなくてはならないのです。協力を要請しておきながら、申し訳ない」


 なんかよく解んないけど、案内してくれるみたい。あれかな? コールスに連れていってくれるって事なのかな? 深守さんが誰かに頼まれてるみたいだったけど、どういう事なんだろうねー。その辺は私が考えても仕方ないと思うから、ギレーアに任せちゃおっと。背中をぱんぱんって叩いたらため息ついてたけど、ちゃんとわかってくれたみたい。


「それは、コールスに案内してくれるという事か、いや、正確には紙上の折手の本部と言った所か」


「察しが良いですね。所長より、全紙上の折手に通達が来ています」


「その所長というのは」


「勿論、知恵の天使フェイクライフ様ですよ」

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