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旅路への呼び声

 ギレーアと一緒に幾岐さんに連れてこられたカフェは、落ち着いた雰囲気の良い感じの場所だった。だけど、良いのかな? お客さんどころか、お店の人も見当たらないのに勝手に入って。


「何でお客さんも、お店の人も居ないんだろ?」


「ふふっ、それは私のお店だからですよ」


 へぇー、幾岐さんのお店だったんだー。そういえば、このお店がやってるの見たことないのは、ずっと出掛けてたからなんだね。


「おい、店をそんなに放置して良かったのかよ」


「良いんですよ。どうせ誰も来ませんから」


「そうなの? 落ち着いた感じで良さそうだけど?」


 長いあいだそのままにされてたせいで、ちょっとホコリっぽいけど、掃除すればすぐキレイになると思うし、誰も来ないなんて事は無いと思うんだけどな。


「ふふっ、そうですね。今開けばきっとお客さんは来てくれると思います。ですが、例の話を広める前は町自体に人があまり居なかったんです。というより、若い人なんかはどんどん都会の方へ出ていってしまったんですよねー」


「なんでそんな所に店開いたんだよ」


「土地が安かったんです。連日お客さんなんて来てくれなくて、困っていたんです。そこに町長がやってきて、まぁ、町に人を寄せる為の策を練る協力者に仕立て上げられてしまいましたねぇ」


 軽く言ってるけどなんか、苦笑いって感じだね。幾岐さんも私と同じような立場なのかも。もしかして、こういうのを策士とか言うのかな? 町長さん、見た目は冴えないおじさんって感じなのに実はすごい人だったりして。


「おいおい、お前もだったのか……」


「まぁ、してやられたとは思ってますけど、別に現状に不満がある訳でも無いんですよね。あの人が本気でこの町を良くしていこうとしているのは見てきましたし。例えば、中央から遠く離れたこの町で、電気を使えるようにしたのも今の町長なんですよ?」


 そういえば、この町に観光に来る人で、電線がある事にびっくりしてた人が居たけど、そう言う事だったんだー。まだ私の知らない事とか出てきそうだよね、こういうのを考察とか言うんだっけ? もしかしたら違うかもしれない。


「俺には関係ない話だな」


「ふふっ、ギレーアさんにはそうでしょうね。そろそろ本題に戻りましょうか、勇者さんには少しばかりの苦難が待ち受けているのです」


「え、苦難?」


 思い当たる事といえば、マカロフさんとか、トカレフちゃんの事かな? そうなると、レアルさん関係って可能性もあるね。だって、今までこんなにフラグっぽいイベントが続いたんだよ? そろそろ回収されてても良いかなーって思うしねー


「紙上の折手に、勇者は魔王を倒すって言ってしまったのでしょう? 曖昧に言ったとは言え、その話も広まっているんですよ」


「あ、そっちだったんだ」


 広まってるだろうねー。私の言った言葉、そのまま新聞に載ってたみたいだし。紙上の折手って、言葉に関しては一文字も間違いなくそのまま載せるらしいね。とにかく事実であることが重要で、何かの違いがあっちゃダメなんだって。


「そっちとは?」


「何でもないよー」


「そうですか? まぁ、気にしない事にしておきます。現状として魔王を倒すと、そう言ってしまったので、紙上の折手はそのまま載せるのですけど……。そうですねー、真偽は兎も角として、事実だけを書くんですよ」


 何を言いたいのか全然解らないよ。ホントとか、嘘とか、そう言うの関係なく事実だけを書くって事でしょ? 勇者の伝説が嘘だったとしても、そう言われた事実があるから新聞に載せるみたいな感じなんだよね。でも、それって何か関係あるかな?


「でも、私には関係無いでしょ?」


「ふふっ、魔王を倒すといった人の動向、未だに町の外に出ていない。これは確かに事実ですよねー? そして、事実であれば紙上の折手は広めます。紙上の折手が広めたものは事実です。周囲の人はどう思いますかねぇ」


「あー、私、やっちゃった?」


 そうだよね。魔王を倒すって言ったのに、この町から一歩も出てないもんね。怪しいって思われても仕方ないって事になるよねー。これは、本当に魔王を倒しに行けって言われるパターンかな? んー、もしかしなくても詰みって事?


「そう言う訳ですので、勇者さんには魔王様に会っていただきます」


「あ、会えば何とかなるかな?」


「ふふっ、そしたら、和解でも、一撃殴られておくでも、何でも良いので紙上の折手から追及されないようにしてください」


 あ、うん。私は勝てない前提なんだね。それは、そう、私もそう思う。でも、それで許してくれるのかな。だって魔王だよ? ものすごーく怖いんじゃないかな。あと、しれっと言ってたけど、殴られるのは嫌だな―。別に痛いとかそう言うのは無いけど、気分は良くないもんね。


「だって、ギレーア」


「俺も行かなきゃいけないのか……。本当に勘弁してくれ」


「ふふっ、王都までの道のりは私が精査しておきますね。おそらく、遠回りルートか、直通ルートの2パターンになると思います。明日にでも、町長さんの所で話をまとめる事にしましょう」


 大変なことになっちゃったって思うけど、もしかしてやっと勇者らしい感じになってるんじゃない? ギレーアは、物凄く嫌そうにしてるけど、なるようになるしか無いよー。そういうものだよね?

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