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階段を駆け下りていく彼女は

アファトスは両手で両方の耳を覆った。父王の悲鳴にも似た高笑いも扉の向こうから聞こえてくる中、彼女は堪らずに走り出した。森の中を突進する猪にも勝る勢いで塔の階段を駆け下り、髪を振り乱しながらも、自らの耳を引きちぎらんばかりに覆っていた。そこにはまだ父王がいるという証明を確かに聞きながら。

塔の入り口を出たところでぜんまいが止まったように急に立ち止まった。鼓動はまだ高鳴り、息も切れていたが、アファトスはやっとそこに立っていた。

イメドがやっと降りてきたところで、なにごともなかったようにアファトスはがらりと表情を冷たく変えてこう言った。

「部屋へ戻りましょう。」

そこには、いつもと同じ冷静沈着で威厳さえ感じられるアファトスがいた。気が触れた、取り乱したかのように勢い余って階段を走り抜けた狂女の様相はなく、イメドは恐怖さえ感じていた。

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