77/376
そして彼女の使命とは
アファトスは父の部屋の前を無事に通り過ぎ、塔の最上階の部屋に到着した。扉を締め、空へ向けて突き出したような窓を開けて、身を乗り出すようにして暗い夜空を眺めた。月どころか、星の一欠片も輝きを見せない、真っ黒な夜が広がっていた。風がアファトスの頬に吹き付ける。長い髪が背中の方へとなびく。アファトスは両腕を拡げ、空へ向けて開く。
「北の魔女よ。」
何年ぶりのことだろう。アファトスは北の魔女に話しかけた。トルフに降りかかる火の粉はどんなことをしても避けるのは、彼女の使命だった。アファトス自らがそのように自身に課していたのだから。




